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メシを食らう

僕には癖がある。行動するたび周りに許可を求めるような言葉を発する癖。
「さあ、あと10分したら風呂入ろかな」とか「唐揚げはサラダを食べてからがいいかな」とか、どうでもいいようなことをいちいち確認するように言うのだ。
 それは自分の存在を言い訳しているみたいに
「いやあ、なんで生まれて来てしまったんですかね、生きてていいんですかね」みたいなことと似ている。いいよ、大丈夫と言って欲しがってるんだなたぶん、周りの人は煩くてしょうがないだろうな。

子供の頃、僕は父とも母とも性格も顔も似てなくて僕のやることなす事気に入らず「なんでお前みたいなのが生まれてきたんだ」と、ことあるごとに言われ黙り込んだ。今も自分で自分にそう問い続けているのかもしれない。

目の前で息子が晩メシを無言で食べている。

美味いとも不味いとも言わないで無言でかき込んでいる

「俺は腹が減った!メシを食う!」って全身で叫んでるのが聞こえるようで僕はなんだか無性に嬉しくなって、泣き出したいような気持ちで背中をむけ「おかわりあるよ」って言う。

なんで生まれて来たのかなんてどうでもいいのかもしれないと、ふと思った。

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