「タンヤオ確定」と「高め一気通貫」の選び方
こんにちは!
ウルトラ立直ことうるりです。
前回記事→「タンヤオ確定vs高めタンヤオ三色」
なんとTwitterのインプレッションが24000を超えました…!
たくさん反応頂きましてありがとうございます。
今回もサポートやスキが多ければ次回記事につながります!
応援よろしくお願い致します!
タンヤオ確定か、一気通貫狙いか
前回タンヤオ確定vs三色の記事を投稿した際に
「一気通貫の場合はどうなるのか知りたい」という声がありました。
こういったリアクションを頂けるのはとてもありがたいです。
早速Twitterで反応を見てみることにしました。
投票ありがとうございます。
タンヤオ確定派が多数派となっていますね。
前回の三色と違い一気通貫だとタンヤオが複合しないので高めになっても1翻差しかないですし高めになるのは3メン待ちで1mの時だけ…
ですが
本当にタンヤオ有利でしょうか。
一気通貫とタンヤオの選択で困った時、この2つを確認して下さい。
①一気通貫高めになる牌が3枚以上。
②一気通貫の3メン待ちがタンヤオ確定より受け枚数が多く残っている。
この2つを満たす時、一気通貫狙いが有利になりやすいです。
Twitterの反応通り前回よりやや難しい問題ですがこの2つについて考えてみます。
①和了時の打点
完全一向聴に取る場合9mか4sの選択です。
9mを切った場合は2m58p235s、4sを切った場合は1247m58p3sで聴牌します。2m3sの縦受けはどちらもタンヤオの58p待ち聴牌になり同質なので比較するのは3メン待ちとリャンメン部分の受けです。
三色の時と違い今回は受け入れ枚数の差が発生します。
23456789mの3メン待ちは10枚受け、34sのリャンメンは8枚受けとなり2枚の受け入れ枚数差があります。ここが重要です。
○和了時の期待打点
まずは打点についてみていきましょう。
すべての牌を等しく引いてくるものとします。
打点差がでる部分のみを比較すると
一気通貫を狙った時
萬子3メン待ちの部分について聴牌時引く牌、または和了時の牌が
1mの場合:リーチ平和一気通貫で7700点のリーチ手
47mの場合:リーチ平和で2000点のリーチ手
となります。
9mを切ってタンヤオを確定させた時
こちらは引く牌による打点分岐がないので
9m切:リーチ平和タンヤオ3900点のリーチ手
として考えることができます。
ここからツモや一発、裏ドラが発生します。
「統計で勝つ麻雀」(p85)※1によると先制リャンメンの和了時の期待打点は
2000点リーチ:3700点
3900点リーチ:6200点
7700点リーチ:9000点
となっています。
先制3メン待ちの期待打点のデータが手元に無いためこちらで近似します。
一発率に影響が出るのでこの値より極僅かに上回ると考えられます。
一気通貫を狙った時は高め1mが4枚、安めの47mが6枚です。
平均期待打点は(9000×4+3700×6)/10=5820点
…おや?
1mが3枚残りの場合は約5466点
1mが2枚残りの場合は約5025点
と下がっていきます。
おやおや…?
期待打点で大きくタンヤオを離すどころか一気通貫を狙うと期待打点が下がりました。
やっぱりタンヤオ確定が有利なんでしょうか?
尚、リャンメンと同等の枚数で1mが4枚残りかつ47mが4枚残りの場合は6350点でタンヤオ確定の期待打点6200点をわずかに上回ります。(NAGA解析・注A)
高めの1mの端待ちが大きく影響して和了りやすくなり打点で上回る可能性はあるでしょうか?
1mと47mの和了率に影響が出るのは聴牌時に萬子受けが残って更に自分でツモらない場合、
(リャンメンリーチ和了時ツモ割合について「統計学」の麻雀戦術(p26)※2では8巡目で56%、新科学する麻雀(p47)※3では25.58待ち先制リーチの場合どの巡目でも55%を下回らずおおよそ60%強)のみ。
1mと47mでは1mの方が使いにくいので同じ見た目枚数だと2m切りリーチでもやや1mでの和了率が上がるかもしれませんが高めが1翻しか差がない分
打点面ではタンヤオが有利傾向のようです。
打点でだめなら…和了率ではどうでしょうか…
②和了率の違いと局収支
リャンメンの和了率については結構書籍などで書かれているのですが
3メン待ちとリャンメンの和了のしやすさを比較したものとなるとデータがそもそも無いのでは…そんなマニアックな基礎データを出してくれている人は…
いました。
先制両面・三面待ち・変則待ちのアガリ率(麻雀数理研究会)※4
有料記事の内容のため今回のデータ部分のみ使用許可を頂きました。
麻雀数理研究会様の膨大な基礎データによる麻雀戦術発展への寄与は計り知れません。ありがとうございます。
こちらの牌譜解析によるデータ表から147mと25sを比較した場合
最終盤以外は和了率におおよそ10%ほどの差がでると読み取れます。
①で求めた和了時期待打点と和了率の差10%を用いて局収支の差を求めます。
(局収支とは和了率・打点・放銃率・流局率・他家の和了率などを考慮したその局の期待値のことです。)
「統計学」の麻雀戦術(p18)※2の簡易な局収支の求め方を利用して4巡目、9巡目、12巡目についてそれぞれ局収支を計算すると
4巡目
タンヤオ確定:約4029点
一気通貫狙い:約4598点
9巡目
タンヤオ確定:約2812点
一気通貫狙い:約3514点
12巡目
タンヤオ確定:約1903点
一気通貫狙い:約2460点
いずれも一気通貫狙いが有利となりました。
但しこれは最終形に3メン待ちが残った場合のみを比べている為実際の局収支はここまで大きく開かないと考えられます。先に3メン待ちが埋まった場合テンパイ時は結局リャンメンになる為です。
ここまで調べて今回のタンヤオ確定vs一気通貫狙いは打点の他に
3メン待ちvsリャンメンの和了率の差が多大に影響を及ぼしていることがわかりました。
これを踏まえて残り枚数などのパターンを変えて検証してみましたが
①一気通貫高めになる牌が3枚以上。(期待打点の維持)
②一気通貫の3メン待ちがタンヤオ確定より受け枚数が多く残っている。(和了率差の恩恵)
この2つを満たす時、ほぼ一気通貫狙いにしておけばいいのではないかと考えます。
NAGAによる解析
麻雀AI「NAGA」による牌譜解析を行いました。
NAGAの解析を載せておきます。
NAGAの判断も統計からの判断と大きく乖離が無いものとなりました。
付け加えるとすると、
①一気通貫高めになる牌が3枚以上。(期待打点の維持)
②一気通貫の3メン待ちがタンヤオ確定より受け枚数が多く残っている。(和了率差の恩恵)
①②を満たせば一気通貫狙い、逆に高め2枚以下かつタンヤオの方が受け枚数が多ければタンヤオ確定
といったところかと思います。
これ以外のケースは判断が難しいので後述する考慮すべき事項を参考にしながら考えてみてください。
基準から意図的に外す場合
確実に跳満の打点が必要になるケース
これは1m引きの裏1か一発で見たせる分一気通貫有利でしょうか。
打点が必要ではなく和了を重視するケース
タンヤオ確定しておけば筒子・索子のどちらからでもチーができますので門前枚数よりかなりタンヤオ有利になります。
但し索子が場に見えている場合は1mのチーや片和了り狙い、門前で聴牌の3メン待ちが見込める一気通貫に取ることもありそうです。
3900点和了すればトップのケース
タンヤオ確定の3900点以上でトップの場合はわざわざ安め高めがある待ちに受けずに打点を確保しましょう。
考慮すべき事項
待ちに該当する部分と同色の混一色仕掛けが入っている場合和了率にマイナス補正がかかると考えらえます。
自身が3~7牌を切っていない場合と切っている場合では打2mリーチとなった場合の1m出和了率は少し下がる可能性があります。(単純な余剰牌であった可能性が下がる為)
最終盤ではまずテンパイが重要になる為受け枚数が多い方が有利になりやすいと考えられます。
おわりに
タンヤオ確定と一気通貫狙いについて考えたnote、いかがでしたか?
正直、考察した内容とNAGA解析に大きく乖離がなく心底ホッとしています。打点以外にも和了率・テンパイ率で差が出る牌姿を考察するのは難しいですね。
毎回になりますが実戦中に時間を使って考えることと事前に考えておくことを分けておくと実戦の場の情報により集中できるようになります。どんどんパターン化していきましょう。
今回は自分でも複雑だなと思いながらまとめていたのでご意見、誤りの指摘などあればTwitterやコメントで教えて下さい。
ここまでご覧頂きありがとうございました。
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記事作成者
うるり/ウルトラ立直(10代目天鳳位,魂天)
記事作成協力者
pawa(天鳳十段)
本長浩斗(最高位戦日本プロ麻雀協会,天鳳九段,三麻魂天)
参考文献/関連書籍等
※1 福地誠.みーにん.「統計で勝つ麻雀」.竹書房,2015,p85参照
※2 みーにん.「統計学」の麻雀戦術.竹書房,2017,p26/p18参照
※3 とつげき東北. 新科学する麻雀.ホビージャパン,2021,p47参照
※4 麻雀数理研究会 https://note.com/mahjong_math