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TOEICリスニングとかの「単語はわかるのに文章になると聞き取れない」を解決するカスタムAIボットをChatGPTで作ったので共有する

先日人生ではじめてTOEICを受けてきた。

高校くらいまで、英語のペーパー試験はできる方だったが、それからもう軽く十年単位で時が過ぎている。特に留学や海外出張の経験もないので、会話の経験はほぼゼロに近い(2回くらい海外旅行したことがある)。

久しぶりの試験にどきどきしたが、なんとなく目安にしていた800点を超えていきなり875点がとれた。

役に立ったTIPSというかツールがあるので、まとめておきたい。


解くべき課題:「『プロウリー』って聴こえるけどネイティブはなんと言ってる?」

さて、発端はこれだ。YouTubeを見ていたところ、芸人の矢作さんとアイクぬわらさんのサムネイルに目が惹かれた。

「プロウリー」の答えは、中学生くらいで習う単語だったが、自分はこういうのが苦手だった。

単語でもわからんのに、文章になったらそりゃもう聞き取れない。

これをきっかけに英語の発音について調べてみた。

解決策: どんな英文でも「耳で聴こえる音」を教えてくれるAIボット

自分はこれまで、「単語の発音はなんとなくわかってるし、文章はそれをつないだもの。速くて聞き取れないのは慣れの問題」とシンプルに思い込んでいた。

しかし調べてみたところ、文章中では前後とつながったりして発音そのものが異なってくる、と理解した方がよいらしい。この歳ではじめて知った。

「of(オブ)」のブは発音しないし、「on it(オンイット)」は「オニ」になる。

英会話できる人には当たり前だろうこんなことを、はじめて理解した。

出来ること: 変化した文章全体の発音記号を教えてくれる

あんまり理不尽で腹が立ったので、なんとかやっつけてやろうとChatGPTさんといろいろ試行錯誤してたらこんなふうになった。

聞き取れなかった英文を投げると、発音をつなげて教えてくれる。

上の画像で質問した文章は

「Would he be willing to let us stay at his place?」
(彼は僕らを彼のとこにいさせてくれそう?)

なのに、発音全文つながって

/wʊd‿i bi‿ˈwɪlɪŋ‿ɾə‿lɛɾ‿əs‿steɪ‿jət‿ɪz‿pleɪs/

になる。
カナのとこ「うでぃびうぃりnる、れらstえいやtizpれいす」(←自分なりに口ずさんでみたらほんとに元の英文としてきこえる)だ。わかるかこんなもん。

中学生のころに「発音記号」というものがあるということ自体は学校で習ったが、こんなふうに使えるものだとは知らなかった。

リンク: カスタムChatGPT 「英語の発音教えてくれる人」

いろいろな文で試してみたら目から鱗落ちまくって便利だったので、毎回プロンプトを入力しなくても下記のリンクから英文投げるだけでボット使えるようにしておいた。

今はカスタムGPT使うのは、無料版でも使えるようだ。

ひとつひとつの単語の発音記号は辞書を引けば載っている。

しかし、文としてつなげて教えてくれる教材はリスニング専用教材くらいしかなく、日々の学習で聞き取れなかった全ての文について知ることはできない。

これで、聞き取れないくらいの相当速い発音の英文も、かなり近い速度で口ずさむとこまで行けるようになった。

読み方について: 発音記号はわからないところからやればOKだと思う

先ほど出てきたのはこんな記号だ。

/wʊd‿i bi‿ˈwɪlɪŋ‿ɾə‿lɛɾ‿əs‿steɪ‿jət‿ɪz‿pleɪs/

英語に見えないちょっとキモいところの読み方はこんな感じ。

  • 「ʊ」 :口をすぼめた「ウ」

  • 「‿」 :前後の文字をつなげて読む(wʊd‿iなら「うでぃ」)

  • 「l」 : 舌を上の歯茎の裏にくっつける「る」

  • 「ŋ」 :「んグ」

それらをくっつけると「うでぃびうぃりnる、れらstえいやtizpれいす」みたいになる。

あと上に出てきてないやつでアルファベットっぽくなくて「うっ」ってなるのは下記くらいじゃないだろうか。

  • 「ʃ」 :湯気がわくときみたいな「シュ」(「s」=スと区別しないといけない)

そのほか発音記号の詳しいところは「英語耳」の本がわかりやすかったけど、とりあえずよくわからないとこ、苦手なとこから見るのでいいかもしれない(もちろん完璧に仕上げるに越したことはない)。

勉強法:聞き取れないところをひたすら口ずさむ

Kindle UnlimitedでCNN English Expressの音声をボットになげまくって、下記を試験前の1週間ひたすら反復した。

試験後もいろんな教材で2週間ぐらい続けてるけど、なんか英語のニュースとか字幕なしでも少し聞き取れるようになってきた気がする。

結果: TOEIC 875(リスニング435、リーディング440)

今回がはじめてのTOEICだったので、これでどれくらい点数上がったのかはわからないが、期待スコアよりだいぶよかったので効果はあった(と信じたい)。

合計800を目指していた。文法問題は正答率97%だったので、基礎はあってそこに上積みできたのだと思う。

そのほかTOEICに使えたボット・参考リンクなど:

TOEICに使えたボット:「単語の例文くれる人」

もうひとつ使い倒しているカスタムGPTがある。それが下記の「単語の例文くれる人」だ。


一定の語彙数を越えてくると、辞書をひいても例文があまり載っておらず困ることがある。

そこで、意味と語源、おおまかなレベル感と、主なコロケーションと例文、類義語・反意語、ニュアンスの違い、似た綴りや似た発音の語をまとめてくれるボットを作った。

例えば7/28のTOEICで出題されてた「palpable」は下記で出てきたので、既知として処理できた。

2024年5月16日のVOA Learning English (アメリカのラジオ局の語学学習コンテンツ)の記事に出てきた「tactile」という単語がわからなくて調べたメモ

ChatGPTなので細部の事実確認はハルシネーション(幻覚、嘘の情報)も紛れている。基本語彙や語法は辞書を引いた方がよいと思うが、多読多聴で語彙を増やすのにはかなり重宝している。

こいつはニュアンスや似た発音の単語、同語源の単語など、関連情報までおさえられるのがよい。

同語源の単語を追加質問したところ。

注意点: できる人は自分で作った方がいいかも

上記のリンクからたどれるボットは、いずれも自分個人で使っているものだ。

使えなくなることも、動きが変わることもある。

長く自分用に使いたい人は、自分用に作った方がよいかもしれない。 

参考までに「英語の発音教えてくれる人」の指示プロンプトを公開しておきます。

あなたは、言語学のバックボーンを持つ、英語の先生です。

以下の指示に従い、指定された文や単語を最速でつなげて発音した場合の発音を解説してください。

# 指示
* 発音記号、解説、原文を指定された書式で表示してください。
* 発音は米式で最速で短く発音した場合のものとし、(ə)など、脱落する箇所は脱落してください。
* 発音記号の後に、最速で短く発音した場合にリンキングが発生する箇所の発音記号をスペースを入れずにつなげて書いたものも示してください。その際、明確に区切って発音する箇所は、スペースを入れてください。
* リンキングした発音の後に、「母音を含む音節をひらがな、子音のみの個所をアルファベットで表記した発音例を記載してください。
* リンキング、弱形、脱落、フラッピング、アクセント、固有名詞など発音上の注意点を理由とともに解説してください。


# 書式

原文:
原文

発音:
/本来の発音記号/
→ /リンキングした発音記号/
→ /発音例/

解説:
* 箇所1
* 説明1


# 例「Would he be willing to let us stay at his place?」の場合

原文:
Would he be willing to let us stay at his place?

発音:
/wʊd hi bi ˈwɪlɪŋ tə lɛt ʌs steɪ ət hɪz pleɪs/
→ /wʊd‿i bi‿ˈwɪlɪŋ‿ɾə‿lɛɾ‿əs‿steɪ‿jət‿ɪz‿pleɪs/
→/うでぃびうぃりnる、れらstえいやtizpれいす/

解説:

* 「Would he」
* 「Would」の/d/がフラッピングにより弱化し、「he」の/h/が弱形化して消えるため、/wʊd‿i/となります。

* 「be willing」
* 「be」と「willing」の間でリンキングが生じ、/bi‿ˈwɪlɪŋ/と発音されます。

* 「to let us」
* 「to」は弱形で/tə/と発音されます。
* 「let」の/t/がフラッピングによって/ɾ/に変わり、次の「us」とリンキングして/lɛɾ‿əs/と発音されます。

* 「stay at」
* 「stay」と「at」の間で母音が連続するため、「at」の/a/に「y」の音が挿入され、/steɪ‿jət/と発音されます。

* 「at his」
* 「at」の/t/がフラッピングにより弱化し、次の「his」とリンキングして/jət‿ɪz/と発音されます。

自分好みのプロンプトを作るコツ

よくやる作業がある場合、ひととおりChatGPTに相談しながら作業してもらってから、「今日やった作業を毎回依頼したいのだけど、ここまでの作業をプロンプトの形式に整理して」っていうと、ChatGPT自身がおよそまとめてくれるので、それをメモしておいて気になるところを修正していくと早い。

教材について:多聴につかえる定番の教材

よく使ってるリスニング教材、無料のだと有名どころだけれどもこのへん。ニュースは、アナウンサーが読んでるのでわりと聴きやすい。

Podcastは、画面の下の吹き出しみたいなところタップすると、下記のように字幕つきできける。テキストを選択もできるので、聴きやすい。

YouTubeの無料どころでは下記。DWはドイツの公共放送らしいけど、英語が聴きやすいアナウンサーが多い気がする。TOEICは、ニュースよりはビジネスシーンが多いので本当はもう少し近い映像教材を知りたいところ。

YouTubeは右上の「CC」から字幕をオンにできる。一見コピーできないけど、画面キャプチャすると、画面キャプチャ上の文字は選択してコピペできる。ちょっと手間なのでPodcastとは好みの問題かも。



いやーしかし、テキストスクリプト付きのリスニング教材はたくさんあるし、ChatGPTあれば独学でも個人教師ついてるようなもんだし、いい時代だ。

他にもいい使い方あったら教えてください。

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