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いざゆけ、未開の領域。

ここ最近「えっ!今年30歳なんですか!?もっと若いと思いました…」みたいなこと言われることが増えた。

これは別に自慢という訳ではなく、僕自身も言われたところで「まぁリップサービスでしょうな」と思って愛想笑いを返すことしか出来ていない。
小・中・高校の頃から延々と、やれ老け顔やれおじさんと言われ続けた事実がある以上、周りからの「若々しさ」に対する褒め言葉を真っ直ぐに受け止められるほど僕は純粋ではなかった。

或いは「歳の割に顔から苦労が感じられない」というニュアンスの言葉だったんだろうか、とも思った。
社会人8年目にして「キャリアプラン」や「人生設計」といった畏まった言葉から目を背けてピンネタをシコシコシコシコと書き続けているので、おそらく一般的な30歳と比べたら顔面に苦労の形跡は滲み出ていないだろう。

どちらにせよ、お世辞か皮肉に二択だろうと思い「ああ、どうも…」くらいのお茶を濁すリアクションを返す日々を送っていた訳だが、ある時お笑い芸人としてデビューした際の映像を見る機会があった。
先日開催した、自身初の単独ライブ「泣けるほど最高のよしなに」の幕間映像に初舞台の映像を使いたいと思い、お笑い事務所「仙台ティーライズ」の社長に依頼して素材を提供いただいた。

どれ、当時の正義正義はどのくらいウケていただろうか、と映像を再生したところ、そこには、全く見た目を気にしていない頃の正義正義が映し出されていた。

何だお前その髪型は。前髪がおでこの半分くらいの長さしかないのに襟足が肩にかかってるぞ。初舞台なんだから前日に床屋くらい行っておけ。
その異様に伸びたモミアゲも何なんだ。尾崎紀世彦かお前は。人間自然なままが一番とは言うけどそのモミアゲは長すぎて逆に不自然だぞ。
あと恐らくお前眉毛も整えてないな。お前もう少し舞台に立つ人間としての心構えをだなー。

ここでようやく気付いたことがある。
「身なりを整える」という行為は、-(マイナス)やゼロを+(プラス)にする行為ではなく、Unknown(アンノウン)を評価対象まで持ち上げる行為なのだと。

「身なりを整える」という行為は、人間として最低限必要な行為の割に、時間やお金をそれなりに投資しなければ最低限のラインにも立つことが出来ないとようやく気が付けたのだ。
そういう意味で、少し前までの正義正義という男は「若く見える・見えない」の土台にすら立っていなかったのだ。

つまるところ「もっと若いと思ってました」という言葉の真意は、アマチュアなりに舞台に立つ人間として、毎日お風呂に入りリンス入りのシャンプーで髪をケアし、ライブ前にはシャワーを浴びて髭を剃り眉を整え、風呂上りには肌のケアを欠かさず行い、月に一度は床屋に通う、という最低限の見た目に対する心がけが身を結んだ結果であり、正義正義が「見た目の評価」という土台にようやくのし上がったことを示しているのだ。

あと1時間余りで30歳を迎える正義正義。
これからは評価対象の人間として、まずは体重を減らすことに努めたいと思います。
よしなに。


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