お金はお金。・・・という話。page20

配達には大きく2つ種類があって、

荷物の代金を支払い済み、もしくは後で振り込むもの と、
荷物の代金をその場で払う、代引きというものがある。

この代引きというのは、少しだけ時間がかかる。
当たり前だ、お金が絡むんだ。

しっかり、数えなきゃいけないし、お釣りも間違えたらいけない。
そのまま渡すより神経は使うのだ。


その代引きがあった、
あれは19時頃、辺りは夜だし、田舎だということもあり、暗かった。


お客さんの家に行く、

代引きの荷物。
代金は2321円だ。

こっちからしてみたら、
この額だったら、ぴったり用意できなかったとしても、
5000円札を出してもらうくらいで収めたい。


そこに出てきた10000円札。
でかいな。

まぁ、19時だ。
ラスト2軒だ。
お釣りを使いきったって良い。
仕方ない。

そう思ったのも束の間。


細かい方、321円・・・分の1円玉。

簡単なことですが、説明します。

321円というか、321枚です。

これを小さなビニール袋に入れたままの状態で渡してきた。

いや、
申し訳ないが、
渡してきた。ではない。
渡してきやがった。だ。

辺りは暗く、
玄関でお金のやり取りをしていたが、
明かりが足らなくて、ちょっと薄暗い中での321枚の丸いアルミニウム。

最初に言ったのは
『1円玉しかないですか?』です。
そりゃ、そうだ。
出来ることなら100円玉が欲しい額だ。


ただ、彼は
『これしかない。』の一点張りだ。
2回聞いてもこれしか返ってこない。


小銭を30枚だか、50枚だかを一気に支払いに使われた時は断っても良いみたいなことを昔聞いたことがあったんで、正直な話、面倒くさいし断ってしまおうかと思ったんですが、


小さい頃に見た織田裕二主演ドラマ『お金がない。』で、織田裕二演じる萩原健太郎は貧乏な家の長男で、
その弟たち2人が兄ちゃんにと必死に貯めた小銭でネクタイを買おうとデパートに行くのだが、あまりにも多い枚数の小銭で支払おうとした2人に店員はお断りをし、その際に揉み合いになり、小銭をぶちまけてしまい、それを店員さんがホウキとチリトリで片付けようとするシーンが蘇ってきて、ちょっと、悲しくなってきて


『これは、ちゃんと数えよう。お金はお金だ。』と、決意。

今考えたら、10000円札で会計してしまえば良かったんですが、なんか、少々の意地もあり数える気になりました。


で、結果、
1円玉が、221枚しかないっていう。

あのね、
321枚と221枚って100枚差あるけど、
わかんないもんよ。


真意はわかりませんよ、
真意はわかりませんが、
思いましたよ、

こいつ、確信犯じゃねぇか?
まさか、真剣に200枚数えるわけないだろ。と、
一気に1円玉出してきたのか?と。


ちょっと、ムッとしながら、
でも、声には気持ちを出さずに

『221枚しかないですね。』

と、言ったら、
財布を覗いて、
1枚小銭を。

500円玉だった。

薄暗いから、100円玉出したつもりが500円玉出してきた。

間違えたの、なんでわかったかって?


おっさんが、
『やべっ。』って言ったからだよ。


8000円と、
『次はないですよ。』という、
優しい捨て台詞を発して帰ってきました。


ちなみに、
この話を会社で、したら

『他の人なら断るどころか、怒る人いるかもしれないよ、よく数えたね。』って言われました。

まぁ、怒っちゃダメなんだけど、

やめてほしいよね。

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