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生命を輝かせる「性」の力 〜春に秘める美しさ

 春は、体をゆるめるために、秋から蓄積された歪みや偏り、停滞した不要物が表面化し、排泄が促される季節です。生命力が旺盛になり、体が最も変動しやすい時期であり、若返りや体質改善の好機でもあります。骨盤が開くと体もゆるみ、逆に骨盤や胸が開きにくいと、気持ちがふさぎ込んだり、不安になったりしがちです。この時期は、胸を広げ、明るい希望を抱きながら、好きなことを始めるのに最適なタイミングです。


 春は気の交流が活発になり、生命同士の共鳴作用が強まります。他者との一体感を求める気持ちが高まり、気が外へ向かって発散されます。そのため、人と関わりたくなり、活力が湧いてくるのです。もし元気が出ないと感じるときは、周囲とのつながり(共鳴)が弱まっているのかもしれません。人は互いに共鳴し合うことで、生きる喜びを感じるものです。異性を求める気持ちも、一体感への本能的な欲求の表れでしょう。共鳴することで活力が生まれますが、共鳴に執着しすぎると、かえって気が乱れてしまいます。


 ここでいう「性」とは、生殖に関わるものだけではなく、生命そのもののエネルギーや、他者との共鳴を求める力、そして理想や夢を生み出す創造的なエネルギーを含みます。春に咲く花が、その彩りのままに咲き誇り、蝶を引き寄せるように、人の「性(さが)」もまた、自然なエネルギーとして湧き上がるものです。しかし、人間の「性」は、ただ発散するだけではなく、内に秘めることで、より深い美しさを引き出します。


 下腹に気を満たし、恥骨を引くことで、「性」のエネルギーが自己抑制され、それによって慎みの心が生まれます。性を抑制することで、内なるエネルギーが高まり、それが理想を描く力や夢を膨らませる力、他者を思いやる心、そして品格のある所作へとつながるのです。


 「性」のエネルギーが高まると、自分の存在を主張する力も強くなります。一方で、自己抑制の力は、腰の力や「性」のエネルギーをさらに高める働きをします。このエネルギーを憧れや理想へと昇華できる人は、夢を描き続けることができ、その心はいつまでも若々しくあり続けるのです。

#2月の養生法
”黄版

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