幼少期に見る特撮

 今日、スーパー戦隊の40作目ゼンカイジャーが放送されるようで、新作の第一話を始めて見たという子供たちもたくさんいる事でしょう。既に他の作品にハマった子どもたちの中には、好きなヒーローが出来上がっていると思います。

今の時代、過去作が簡単に見ることができます。「今、大人になった自分が全ての作品を見る」という選択肢は有りといえば有りなんですが、現実という諸事情の壁があるので、ウルトラマンはリアルタイムで追いかけるけどそれ以外のシリーズは気になった作品を見るというスタンスで特撮作品を楽しんでいます。

幼少期に特撮作品を見るという事

 私の小さな頃の話になります(90年代生まれ)。リアルタイム視聴ではなく、VHS録画を繰り返し見ていました。初めて見た感動というのはもしかしたら無かったかもしれません。ある意味刷り込まれていたような感じがしています。特撮作品の絵本や怪獣図鑑等、「大人の持たない自分だけのモノ」として。

 幼稚園の年長辺りか、周りの物事がある程度わかってきた頃、「特撮作品は作りもので本物ではない」という感覚が出てきました。作品を繰り返し見ていると作品のどこかにワンシーンでもリアルに感じた自分がいました。一つ気づきがあると、今度はストーリーの展開にも気にかけるようになり、結果として「特撮作品は面白いもの」だと幼いながらも確信するようになりました。

小さい頃のトラウマ

特撮に限らず、小さな頃に見た衝撃的なことは深く心に残り続けます。私、の一番の衝撃作品は、「電磁戦隊メガレンジャー」終盤の展開でした。

 「電磁戦隊メガレンジャー」高校生5人が戦隊を組む1997年のスーパー戦隊。悪の組織ネジレジアに対抗するため、成り行きで戦うことになってしまった。初のシルバー追加戦士もここから。正体を隠しながら戦うヒーロー作品の王道の展開で進み、終盤には学校のクラスメイトに正体を明かして戦わざるを得なくなる。しかし、戦いの余波でクラスメイトと担任が怪我を負ってしまう。メンバーの実家も襲撃され、周りの住民はヒーローがいるから大変な目に合うと非難される。一度は心が折れかけるが、年上のシルバーの助言でネジレジアの襲撃に再度備えることになる。

 ある程度色んな作品に触れていれば、ありふれた展開であるかもしれないですが、小さい頃の自分にはおそらく初めてのシチュエーションでしょう。全ての物語を理解してなくても、それまで見てきた子どもなら「なんでヒーローに嫌な事を言うの」庇いたくもなるでしょう。私もこの辺りのシーンは同じような気持ちでした。

離れるのも突然、再び見たくなるのも突然

 幼少期にどっぷりとはいかなくても、触れていた特撮作品。年齢はどんどん上がり、このような事を書いてる私も特撮作品を見ない時期はありました。小学生になれば何かの習い事、ドラマ、アニメ。中学生になれば部活、勉強と自然と離れていきました。その中には、特撮は子供の見るものとして拒否する等、大人ぶりたいという感情が少なからずありました。

 ちなみに私は、「平成ライダー初期のスーツはカッコイイけど、何の話をやっているか1話でも見逃すと分からない。」、「デカレンジャーのマスクの形状がメガレンジャーに似ててデザインネタ切れかよ。」と小生意気な事をフッと思ってしまったことがあり、リアルタイムの情報はそのあたりから入れなくなりました。シンケンジャーの漢字マスクもぶっ飛んでるなと拒否反応がありました。上述のデカレンジャー・シンケンジャー等は、過去作配信等で見て、勝手な思い込みだったなとちょっぴり反省しています。

 私が特撮に復帰したきっかけは、ウルトラマンネクサスop「英雄」に触れたことでした。youtube等mad動画でよく使われていた事から、元は何の曲だろうと調べたらまさかの「ウルトラマン」。後にネクサスを全部見たので、作品と曲のハマり具合に納得しました。作品に衝撃を受けた私は、少しずつ過去に見ていた作品と見ていなかった作品を、レンタルや動画配信等で知識を増やしていくのでした。

成長してから見返す作品と見る作品

 前述のヒーローのデザインやストーリー背景等、拒否反応を示すことはありましたが、成人した今思う事はとてもレベルの高い作品を小さい時に見ていたのだなと。ウルトラマンの「ジャミラ」等、今でも語り継がれる名作は大人でも唸る話があります。それをわざわざ子ども向け番組でやるのはどういう事なのかと考えると、「良く分からないけど、普段と雰囲気が違う」というのを子どもながらに理解するのではないでしょうか。良く分からないけどカッコイイと思ってた物を成長してから見直すと、その設定の緻密さ、特撮の技術の凄さ等小さい頃に目を向けなかった分野を知る事でストーリーの真意や完成度を目の当たりにすることになります。

大人になったかつての子どもたちへ

 特撮は子供の見るものという意識は、今の時代古いのかもしれません。twitterを開けば毎週リアルタイム感想が飛び交ったり、過去作評価を呟いたり、youtubeを開けば公式配信や考察動画、紹介動画等沢山の人達が発信しています。

 特に自分より年下の子が結婚して子供がいる事を考えると、平成ウルトラマン、平成ライダーやスーパー戦隊を中心に特撮を楽しんでいた、もしくはそれまでハマっていた人が一緒になって楽しんでいるかと思います。そういう人達はぜひ子どもと楽しんでください。

 反対に特撮にあまり触れてこなかった親御さん達には、子供たちの要求等がもしかしたら鬱陶しく感じるかもしれません。しかし、いま現在の彼らの世界はとても狭いはずです。感情的な否定をせず、彼らの感じ取った世界に耳を傾けて下さい。成長していく内に飽きるか、のめり込むかは分かりませんが一つのコミュニケーションツールとして大いに助けになるはずです。

まとめ

 自分の心に残った物は、いつまでも心の支えになるはずです。私の場合は特撮作品が該当していたので、その思いを文章にしてみました。最後の項目はちょっとお節介かもしれませんが「小さな頃に感じた何か」が、子どもたちへの助けになるでしょう。

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