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(オリジナルストーリー) 酒ファンタジー Ultimate ONE ~第八話~【トノト】

Ultimate ONE ~第八話~【トノト】

リサ達を乗せたフライングバギーはコマースへ辿り着こうとしていた。
コアとなったバウンサーもモブたちとはうまくやっているようである。
モブの依頼主、そしてリサが会おうとしているトノトとはどんな人物なのか。
その答えはこの先にある…

モブ 「おい!バウンサーさんよ。もう少しでコマースへ着くぜ!その後どうするつもりだい?」

バウンサー 「何故俺に聞く。リサに聞いてくれんか?」

モブ 「あ、そうだったな!俺らはトノトっていう依頼主にブツを渡しに行くんだが、リサも一緒に行くだろう?」

バウンサー 「トノトだと!?」

モブ 「おうよ!確かそうだったよな?リサ」

リサ 「はい!彼に少しお願いしたことがありまして…バウンサーさんも一緒に行きましょう!」

バウンサー 「あ…いや、俺は遠慮しておくよ。やることがあるからな」

リサ 「え?やること? それなら…じゃ~仕方がないですね。モブさんたち、一緒に行きましょう!」

モブ 「任せとけい!」

シャボン 「あまり、ハメを外さないでくださいよ~」

モブ 「大丈夫だって!俺は酒癖が悪くないからな!」

モブ 女癖は悪いでしょうが…

バウンサー 「では、ワシは用事を済ませつつ留守番をしているので、遠慮せずに行ってくれ」

モブ 「おうよ! さーそろそろ町だぜ、みんな準備しておくんだな」

フライングバギーはハッチに着き、ようやくコマースへ辿り着く。
コマースは小さな町ではあるが、飛行艇の行き来が多い各街への中継地点でもある。
そのため、飲食店や宿屋などの施設が多数あり、観光地としても有名である。
モブたちは料理屋で待つトノトと会うためにフライングバギーを後にする。

モブ 「さー! トノトさんにガッツリおごってもらおうぜ!」

シャボン 「なんか、報酬までもらって、さらに接待されるのは申し訳ないですね」

モブ 「ま、俺もワンドを運ぶのは初仕事なんだが、そういうものなのだろう?」

リサ 「トノトさんは、私…いえDQNのお得意さんでもあるので、お金持ちなのでしょうね」

シャボン 「お金持ちの人って…なんか、堅物っていうか…神経質なイメージがしますね。粗相のないようにしないと!」

モブ 「そうだな。変なことをして仕事がなくなっちまったら大変だ、気を付けろよ!シャボン!」

シャボン 「い、いや~気を付けなきゃいけないのは私じゃなくて…」

リサ 「私たち、どこへ向かっているのですか?」

モブ 「ああ。この町でも有名な料理屋でな、そこに来てくれって頼まれている」

リサ 「私たちもお腹が空きましたね」

シャボン 「フライングバギーでは、あまり美味しいもの食べられなかったし、久しぶりに美味しいものが食べられそうです!」

モブ 「飯もいいが、俺はまず酒が飲みてぇ~。フライングバギーに乗っている間は飲酒運転もできないしな」

シャボン 「モブさんもよく頑張りましたね! さ、そこの角を曲がればお店に着きますよ!」

リサ 「私…ウエピナ以外の料理を食べたことがないので楽しみです!」

モブ 「はははは!ハンバーガーばかり食ってたら、体壊すぜ~」

リサ 「なんで知っているんですか!?」

リサ達はコマースでも有名な料理屋に入る。
お店の中は庭園のようになっており、とても綺麗に整備されていた。

シャボン 「ここは地元の人間でもなかなか入れない、格式の高いお店ですからね。私も来るのは初めてです」

モブ 「おうよ、確かこの部屋だな。大広間か?俺たち入れて4人なのに広すぎじゃないか?」

シャボン 「金持ちの力の見せどころじゃないですかね?」

モブ 「ああ~そういうことか! じゃ、遠慮なく入ろうぜ!」

部屋に入るリサ達
人がたくさんいる。
その中に酒を持ちながら人に何かを説明している男がいた。

男 「このシュタインへーガーという酒は、生のジュニパーベリーを発酵させ、胃を活性化するのが目的でビールを飲む前にショットで飲むのが…」

リサ 「確か…あの方がトノトさんです」

トノト 「では!このジンをビールを飲む前に飲ませたときにどういう化学反応が起きるか!見てみましょうか! そこの君!」

モブを指さすトノト

モブ 「え?俺?」

トノト 「そうです!まずは飲んでみましょう!」

モブ 「あ、ああ」

モブ 「って、なんじゃこりゃ~~! こんなうまい酒飲んだことねぇ~ぞ!」

トノト 「そうでしょう。そうでしょう!君!リアクションがよいですね!」

シャボン 「あ、あのう…私たちワンドを持ってきたのですが」

トノト 「ほう!忘れていました、ワープリングですね!」

シャボン わ、忘れていた?本題なのにこの人どんな人なのだろう?謎

シャボン 「ところで、トノトさんは何をやっていたのですか?」

トノト 「いやいや、君たちが少し遅れると言っていたので、暇だから酒の勉強会を開いていたんですよ」

モブ 「それにしても、美味い酒だったな。この世のものとは思えなかったぜ」

トノト 「ほう!君が依頼した…モブさんですか? シュタインヘーガーの味がわかるとは筋が良い!」

トノト 「ま~酒もそうなのですが、ここの料理も最高なので皆さん楽しんでいってくださいね! では」

モブ 「おっと、トノトさん!ブツを忘れていますぜ!」

トノト 「あ、ワープリングですね! すっかり忘れていました」

シャボン この人、本題を2回も忘れているし。謎過ぎますよ

モブ 「これで、間違えないか?」

トノト 「ありがとうございます。たぶんワープリングですね」

モブ 「それに~。ちょっと付き合ってくれねぇ~か。一緒に飲みてぇ~」

トノト 「そういう話なら、お断りできませんね。いいでしょう」

モブ 「ありがてぇ~。リサもトノトさんに話があるみたいだしな」

トノト 「リサ? ああ~、君がDQNのリサさんですか? 研究員がなぜここまで?」

シャボン 「長い話になりそうなので、トノトさん、席はあるでしょうか」

トノト 「席なら向こうにありますよ。では、今日はモブさんとサドンデス利き酒でもやりましょうか!」

モブ 「おう!望むところよ!」

シャボンが小声で言う

シャボン 「リサさんあの二人…飲むことしか考えていないみたいですよ」

リサ 「はは…二人ともお酒が好きなのですね」

シャボン 「早めに伝えるべきことは話しておいた方が良いです!」

そして席に向かうリサ達

モブ 「くは~!美味かったが、酔っちまったぜ。トノトさんは全然酔っていないみたいだな?」

トノト 「ええ。私はドランクシティー出身なので、酔いたくても酔えないのです」

モブ 「ん?ドランクシティー?聞いたこと」

シャボン 「えええええええええーーーーーー! ドランクシティー出身なのですか? あの伝説の侍たちが住むという!」

トノト 「ええ。私はドランクシティー出身の酒人 (シュジン) です」

リサ 「え? 侍たちが住む? バウンサーさんもそこの出身でしょうか」

トノト 「ほう、そのバウンサーという侍とはお知り合いですか?」

リサ 「え、ええ~…しかし」

リサは今まで起きたことをトノトに話す

トノト 「なるほど。で、そのバウンサーという侍は妖刀オロチという刀を取り戻しに来て、戦に負け、死に…いまは機械に意志を移行されていると?」

リサ 「はい…私たちの調査が足りなかったばかりに、侍の命を失うことになってしまいました」

トノト 「ふむふむ…で?」

リサ 「で? あ、バウンサーという侍とはお知り合いではなかったですか?」

トノト 「んん~。知らないですねー。そもそも酒人は人間と見た目は変わらないので侍が犬っていうのもおかしい話です」

リサ 「そうですか…」

リサ 「あ? では。お願いがあるのですけど…」

トノト 「良いよう? 美女のお願いならね!」

シャボン モブさんと気が合うわけだ

リサ 「私たちをワープリングでメタリカへ連れて行ってくれませんか?」

トノト 「メタリカかぁ…ワープリングでマーキングはしているはずだ。確かに飛行艇で行くには遠すぎる街だが、ワープリングならすぐに行くことができますよ!」

リサ 「では!私たちを連れて行ってくれますか?」

トノト 「まぁ~、あそこならそのバウンサーという犬のボディーを製造する技術があるかもしれない。ただ、硬い金属を作るのには有名な街だが、動く機械を作る技術があるだろうか?」

リサ 「それは、私がやります!」

トノト 「なるほど!メタリカの技術とDQN最高の研究員がコラボするのか! そりゃ面白いね!」

リサ 「バウンサーさんにどうしても刀を使えるよう、戻してあげたいんです!」

トノト 「その犬も志だけは侍のようですね。いいでしょう」

リサ 「本当ですか! ありがとうございます!」

トノト 「しかし、気を付けてほしいことがあるな」

リサ 「何でしょう?」

トノト 「メタリカには最近、辺りの人間を撃ち殺している銃士が現れたと噂で聞いています。 くれぐれも巻き込まれないように気を付けて!」

リサ 「そんなことが…いえ!大丈夫です!十分に気を付けますから!」

トノト 「後…」

リサ 「はい」

トノト 「その格好で街を歩くのはまずい。服を買うことと、それにボディーを作るのにも金が必要だ…これを持っていきなさい」

リサ 「え?いいのですか?」

トノトがリサにカードのような機械を渡す

トノト 「そのカードは好きなように使うといいよ。ただし、大きな街でしか使えないけどね」

リサ 「あ、ありがとうございます。でも本当にいいのですか?」

トノト 「もちろんだよ。ワンコちゃんに刀を使えるようにしてあげてください」

シャボン 「僕もなりたいな~…金持ちに」

トノト 「じゃ、モブちゃんは寝ちゃったし、私は他に行きたい店があるので失礼するよ。 飲みたいだけ飲んで、食いたいだけ食ったら好きな時に帰るといいです」

リサ 「あ、では私たちはいつワープさせてもらえるのでしょうか」

トノト 「明日の朝、ハッチに行けばよいかな?」

リサ 「分かりました! シャボンさん大丈夫ですよね」

シャボン 「もちろんですよ! モブさんはこのまま寝かせておきましょう!」

店を立ち去るトノト

リサとシャボンは幸せそうに寝ているモブを店に置き、ハッチへと向かった。

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【今回登場したお酒】
シュタインヘーガー
 
通常、ジンを作る時は原料である麦芽・トウモロコシなどを発酵・蒸留して、香味付けとしてジュニパーベリーを加えたりしますが、生のジュニパーベリーを発酵するところが、シュタインヘーガーの大きな特徴です。
 
ドイツではビールを飲む前にショットで飲みますが、その理由は胃を活性化するのが目的です。
また、ジュニパーベリーには、殺菌や利尿、消化促進と言った効果があります。
 
良薬口に苦しとありますが、ウイスキーのような香りとジンのボタニカルがさらに複雑な味わいを作り出しています by 神酒 トノト


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