ヴァイキングのナイフ
ヴァイキングのウォー ナイフ
きらびやかな装飾を施した鞘に納められ、ヴァイキングたちが腰から吊るしていた「スクラマサクス」と呼ばれる刀剣。
刃を上に向けて水平に近い角度で腰から下げるナイフ状の刃物で、重く、槍の様な鋭い切先と、鋭い片刃を持っていました。
(ウクライナ、シェストヴィツァ遺跡で見つかった9-10世紀頃のスクラマサクス)
(スウェーデン、ビルカ遺跡で見つかった7-10世紀頃のスクラマサクス)
(複製されたバルティック様式のサクスやナイフ)
(複製されたサクソンのスクラマサクス)
およそ4-6世紀頃から、ヴァイキング時代の初期 (9世紀) までに主に使われていた刀剣で、ゲルマン系の民族が用いており、ナイフやナタなど、日常の「道具」として使われ、戦いにも使われました。
サクスの分類
スクラマサクスは「サクス」と呼ばれるグループの刃物で、サクスを分類すると、戦闘用とされる長い刀剣にスクラマサクス、ロングサクス、ナロウ ロングサクス、ヘヴィ ブロードサクスがあり、
短めの短剣をサクス、ライト ブロードサクス、ナロウサクス、ショートサクス、さらに短いものをナイフと分類する様です。
(北欧のショート サクス/サクス複製品)
定義により長さはまちまちですが、ある定義によると刃渡り50cm以上のものをロングサクス (ラングサクス)。
25-40センチ程度のものをスクラマサクスと呼び、18-24cm以上のものをサクスやショート サクス、
それより小さいものをナイフと定義している様です。
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ヴァイキングよりも実はサクソンのナイフ?
一般的にスクラマサクスやサクスは「ヴァイキング ウォー ナイフ」のイメージで定着していますが、実際にはヴァイキングに限らずフランク人、サクソン人、アングル人などゲルマン系の民族にヴァイキング時代より遥か昔から使われており、主にサクソン人が良く使っていた様です。
(サクソンのいでたちを再現しスクラマサクスを帯びたひとたち)
サクソンの語源がサクス?
サクス (seax) の語源がドイツ祖語の「切る」を意味する言葉sahsąらしいですが、その派生語源で古英語のseaxanという言葉が「ナイフを持った戦士」という意味で、「サクソン」の語源になっているとされています。
イギリス南東部、エセックスの紋章には三本のスクラマサクスが描かれています。
(イギリス南東部エセックスの紋章、、、あまりサクスに見えないけど)
(サクソンのスクラマサクスの特徴、切っ先頭部が欠けたブロークン バック式の刃)
ヴァイキング時代のサクスの位置付けは?
ヴァイキング時代盛期〜後期には、サクスやスクラマサクスはスカンジナビアでは実は既にあまり戦闘に使われなくなっていたとする見方と、サガに記されている様に「剣よりもむしろ好んで使われた」とする見方にわかれる様です。
実際にこの頃のヴァイキングの墓からサクスやスクラマサクスが見つかっていますが、多くがヴァイキング時代よりも前の時代の品だということです。
またノルウェーで発見される剣の5分の1が片刃の剣であることから、スカンジナビアではスクラマサクスが使われなくなった代わりに、片刃の剣に姿を変えて行った可能性があります。
(ノルウェーで見つかった片刃のヴァイキングソード)
ヴァイキング ナイフ
ヴァイキング時代の墓からはサクス型の拵 (こしら) えの、短いナイフがよく見つかっています。
短いナイフサイズのものは男性のみならず女性も身に付けていました。
サクスがボロボロになると、研ぎ直してナイフに作り変えられたりもしたそうです。
(腰に吊ったサクス様式のナイフ)
(サクス様式のナイフを身につける女性)
最終的に刃物は武器になりますが、ナイフは武器というより道具としての役割が大きいので、獣や家畜の皮を剥いだり、肉や野菜を切ったり刻んだり、枝を切ったり木を削ったり、一日の生活の中の様々な用途に使われました。
中世の初期、現代とは違う生活様式です。
テーブルに乗った肉やチーズもキレイにカットされてサービングされる訳ではありません。
自分のナイフで自分の分を切り分けて食べます。
テーブルの上のナイフであり、台所の包丁であり、オフィスのカッターナイフであり、洗面所の髭剃りの刃でもあるわけです。
(発見されたサクス様式のナイフ鞘)
(発見されたサクス様式のナイフ鞘)
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男のみだしなみ、サクスでサクセス
ヴァイキング時代の人たちは奴隷などの他は基本的に武器の携帯を許され、どちらかというと推奨されていた様です。
有事の時に直ぐに戦争に参加できる様にしておくのは男子の心得であり、帯刀は男のみだしなみでした。
ヴァイキング達が最も使った武器は斧と槍で、質の良い剣はコストがかかり、熟練の鍛治職人を要するため、実際にあまり使われなかったとする説があります。
剣は主にヴァイキング貴族の持ち物で、一般の人々は剣の代わりにローカルな鍛冶職人の作ったサクスやスクラマサクス使っていたという見方もあります。
「剣よりむしろサクスを好んで使った」と言われるのはもしかしたらこのためかもしれません。
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