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小屋入る 《『思い出にニスを塗れ』の話》

本題に入る前に、Maison book girlの新譜「闇色の朝」が大変いい7拍子を刻んでいるので聴いてください。

はい。

ということで、関係舎 と カミグセ「カミグセ短編集vol.2」、これでもかと日々稽古しました。
2作品あるので俳優はみんなどちらかしか出ないんですけど、脚本家と演出家はわたしひとりしかいないので、もう何度分裂しそうになったことか。
でも分裂しそうになっても稽古は毎日必ず面白くて、稽古がわたしの救い、みたいなところもあった(それ以外の全てがぐっちゃぐちゃで大変だった)。

座布団品評演劇、『思い出にニスを塗れ』。
嘘です座布団は仮小道具だよ、絵画教室の話です。

カミグセ史上最速の会話劇で、もう7回もカミグセに出ている中村佳奈を現在進行形で困らせている。ちなみに佳奈は7回中5回お母さんの役をやってるのだけど、今回のお母さんが一番お母さん感あっていいと思う。
常連すぎて、今回は珍しくわたしに「焦る必要ないよ」とかいろいろ言ってくれる立場の人、一緒にやりすぎて言葉のバックボーンが強すぎる。

会話劇経験が一番浅い廣瀬樹紅は、大変そうにしているけどでもちゃんと楽しんでくれているのかなあ、と、思う。
あと周りの人たちが樹紅をちゃんと可愛がってくれてるのを見て、わたしが勝手に喜んでいる。とにかく頑張り屋な上に、この作品のキーキャラ(みんな重要どころなんだけど)なので、お楽しみに。

Qさんの役だけは、最初からこの役、と決めていた。そして1mmもブレないまま脚本になって、それが立ち上がったので、やっぱりQさんにお任せしてよかったなと思っている。
可愛い人である、そしてちょっとしたズルさも持ち合わせていて、それがまた堪らなくいい人なのである。
序盤は稽古場間違いやらを引き起こしまくっていたけれども、後半からはちゃんと来てくれるようになりました、よかった。

岩永さんは、とにかく美しい、これが大事な役(観るとわかる)。
その上で、器用で丁寧。誰よりも丁寧。しかも、物語の性質上、シーンごとに心情も風景もサッと切り替えていかなければいけないので、だいぶ難しい役をお願いしているのだけど、とても丁寧に提示してくるので、俳優である以前に人としてとても素晴らしい人なんだなと思う。

コメディ隊長担当(に任命した)唯一の男性、塩原さん。
わけわかんないけど我々の小屋入りである8/6(火)に、この人は別の現場の千穐楽である。自分で「塩原祭り」と言っていたけれど、だいぶ笑えないスケジュールを笑いながら(しかし目は死んでいる)こなしているのでやはりこの人はおかしい。
女性陣から衣裳案のTシャツを全力でdisられたり、自分でやるネタに自分で耐えきれず吹いたりしていますが、本当はめっちゃシリアスな役でもあるので大忙しです、あと段取りが鬼。

女性陣から総disをくらったTシャツ姿で謎のダンスを踊る塩原さんと女性陣。ダンスの謎は本編で解き明かされ、る、のか・・・?

いつものカミグセの1.5倍速でお送りしつつも、ある意味一番カミグセらしさが出ている作品かなあ・・・とおもう。
「思い出」はちゃんと振り返ったほうがいいし、捨てても捨ててもついてくるから、たとえ形として持たなくても、しっかり保存はしておいた方がよくないでしょうかね、みたいな話です。

あと、わたしどうしても死にたくてですね。冗談で無しに。
いや、多分まだ死なんのだけども、でも死んでしまいたいと何度も思う。
だから、「もしわたしが死んだら」というのを、何度も何度も考えながら作ってみました。もし死ぬなら、好きな人、気にかけている子、文句を言いたい奴、親友、それぞれなんて言おうかなって。

そうやって、わたしは虚構で一度死んで、また延命を図ったりしたのです。
でも作品づくりって、いまここにある世界、ではない世界をツギハギしてわたしだけの新しい世界をつくるものだと思ってるから、良いということにした。

死なずに、小屋入りをする。

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つくにうらら
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