2024年1月20日(土)の300字小説
カキーンと白球が飛ぶ音がする。
私は散歩の途中で河川敷に来ていた。何気なく土手に腰掛ける。
どこかの社会人球団が野球をやっている。ひとつのチームにはM電工と書かれていたが、もうひとつのチームは私の視力では分からない。
ぼーっと野球を観ていた。プロ野球もたまに観るが、高校野球が特に好きだ。
近くにいたおじさんが、
「4点差だね」
と言った。私の視力はあまり良くないから、点数板が見えなかったので助かったが、どっちがリードしているのか分からないので、おじさんに訊いてみた。
「どちらが勝っていますか? おじさま」
「おじさま。面白いことを言うね、君」
おじさんは可笑しそうに笑った。
「M電が勝っているよ、今のところ」
おしまい