2024年2月3日(土)の300字小説
「ふう~。終わったぁ!」
私はストーリークエスト、略してストクエというゲームをクリアした。ラストで主人公の友人が命を懸ける選択をしたことに涙が止まらない。
この感動を誰かに伝えたい。
時間はまだ夜8時だったので、一番の親友にライン電話をかけた。
「もしもし。なしたぁ?」
私が、
「ストクエクリアしたんだけど――」
「ああ、私もクリアしたよこの間。なんかさあ、お涙頂戴って感じでちょっと冷めちゃった」
「…………」
感じ方は人それぞれだ。私が彼女の感想を否定できないように、彼女も私の感じ方を否定できないだろう。
「私は、良かったよ」
「そっか。なんかごめんね」
「いいよ。素直な感想言えないのは悲しいし」
おしまい