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夢(2024年10月6日(日)の300字小説)

 夢を見た。中学時代に通っていた塾の夢。私の夢は、中高生の頃が多い。大人になってから思い出したい思い出が特にないから、瑞々しい頃の夢を見てしまうのかもしれない。
 夢の中の私は、制服姿で国語だか数学だか判別できない授業を受けていた。
 目が醒めると、今はずいぶん遠くまで来てしまった、という感じがした。現実にそんなに不満があるのだろうか? 一度フロイトに夢診断をしてもらいたい。
 あの頃には戻れない、という切ない気持ちのままトーストを焼いて、待っている間に顔を洗った。
 大人になった私の顔。あの頃の面影を残して、大人になった顔。
 無理矢理笑ってみた。その笑顔が大人特有のわざとらしさがあって、私はため息を吐いた。
おしまい

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