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2024年2月26日(月)の300字小説

 僕は後悔している。
 春の日の中、桜が舞っていた空。最後に君の手を握りたかったけど、できなかった僕は臆病者だった。
 君の髪に桜の花びらが付いていた。夢の中の様な、光景。
 君の唇が動く。
「来月にはお別れだね」
「そうだね」
 上手く君の眼が見られない。
「札幌だっけ?」
「うん」
「私は東京。あっちはもう桜は終わったかな」
 特に意味のない会話も、もうできないと思うと、胸に刻むように聞く。
「この制服も、着納めだね」
「うん」
「私、自分の卒業式より、隣の子が『もうローファー履くこともないのか』って言っていたことの方がすごく卒業を感じたの」
「そんなものかもね」
「君は感じている? 卒業」
「今この瞬間が、一番感じているよ」
おしまい

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