泥
何の為にこんなに頑張るのか。誰かの為なんて思っているのなら綺麗事。誰もが結局は自分の為でしかない。
俺は苦労することでしか自分を表現できない。昔から努力は苦手で、苦労することは得意。骨とは違って心はいくら折れても目に見えない。骨折り損のくたびれ儲け、くたびれた数では誰にも負けない。
文章を書く為に鉛筆を削り、やりたい事の為には身を削る。加減が分からずに削りすぎて地獄が見えそうになる時もある。まるで地雷が埋まっているかのように、これは一歩でも間違えると危ない橋。俺は石橋を叩くことに慣れてないから、目の前の石橋を叩きすぎてぶち壊してしまう。
年齢と経験は重ねるほどに深みが増す。深いところまで、見たことがない景色を見に行く。その景色を見て感じたことを文章に残す。自分にはそれくらいしかできない。
立っている足が震える。だけどこの震えはビビってるわけでもなければ貧乏ゆすりでもなくて、人生に対しての武者震い。成功者は家に帰って靴を綺麗に磨く。靴は自分をどこまでも連れて行ってくれることを理解する。靴の泥臭さは洗えば落ちるが、この身に染み付いた泥臭さは一生消えない。
人生の旅路。人間は何があっても生き延びなければいけない。俺は無口で止まることができない生き物、まるでマグロみたいだ。もしも一緒に来るなら泳ぎ続けるから逸れるな。人は1人で生きられない。この長い旅は道連れだから。
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