見出し画像

大阪の商売人の「かくし言葉(隠語)」と「子供の考え物(なぞなぞ)」(秋田實『日本語と笑い』より)


※まずは大阪の商売人の「かくし言葉(隠語)」、流石に上手いこと言うもんです。あんまり隠れていない気もしますが。

○貧乏稲荷(鳥居「取柄」がない)
○桶屋の前垂れ(輪擦れる「忘れる」)
○金時の火事見舞(えらい赤い顔)※金時は坂田金時、いわゆる金太郎ですね。もともと赤かった顔が火事の火でさらに真っ赤に。
○生木の筏(木「気」が浮かん)※気が沈むってことですね。
○竹屋の火事(ポンポン言う)
○かいこの小便(桑の葉の上にシイ、桑シイ「詳しい」)
○仏さんのお椀(金の椀「かなわん」)
○たならび(タ並び「タダ」、青田を引く)
○破れ障子(はってやりたい)※「張り倒してやりたい」という罵りなのか、「気張って頑張りたい」という決意なのか不明。
○金槌の川流れ(頭が上がらぬ)
○日蔭の庭(木「気」が付かぬ)
○欠け徳利(口が悪い)
○うこんの鉢巻(黄「気」が廻る)
○淀川のごもく(杭「喰い」に掛ったら離れない)※ごもくはゴミのこと。
○猿の小便(木「気」に掛る)
○材木屋の鳶(お高く止ってる)
○死んだ魚(行き処なし)
○北国の雷(北鳴り「着たなり」)※着の身着のまま、「着たきり雀」。

○傘屋の小僧(骨折って叱られる)※苦労して頑張ったのに逆に叱られる。今もよくありますね、切ない。
○上町の井戸(深い仲)
○新米のすし屋(押しがきかん)
○雪駄の土用干し(反り返っている)
○いかき(ざる)にしょんべん(とんとたまらん)
○黒犬のおいど(尻)(尾も白くない「面白くない」)※「犬が白けりゃ尾も白い」の逆。
○池田の牛(伊丹入る「痛み入る」)

○大盛り飯(鼻につく)※悪い意味なのが面白い。鼻に届くほどの大盛なんですね。
○五合徳利(一升「一生」詰らん)※「一升五合(一升半升=一生繁盛)」とはまるで逆で、これは切ない。
○妹の嫁入り(姉ねぇ「値」と相談)
○夏の蛤(身腐っても貝腐らん「見くさっても買いくさらん」)※見るだけで買わない客
○魚屋のゴミ箱(アラ溜まる「改まる」)

※続いて「子供の考え物(なぞなぞ)」。昔の学習雑誌の付録なんかでよくこんなのが出てました。

○自分のもので、自分より他人が余計につかうものは、何でしょう?【自分の名前】
○自分で買うが、必ず他人にやってしまうものは、何でしょう?【切手や葉書】
○二字では真っ白であるが、半分の一字にすると真っ赤になるものは、何でしょう?【チチ(乳→血)】
○どこにでも必ず四つあるものは、何でしょう?【東西南北の四つの方角】
○いくら切ってもきれないものは、何でしょう?【トランプにカルタに親子の血】
○これ一つあれば、何度でも貸したり売ったり出来るものは、何でしょう?【顔】
○誰でもつかうが、一度つかったら、二度つかわぬ箱は、何でしょう?【棺桶】
○骨なし、皮なし、見たくなし、これは何でしょう?【糞】
○今こそ白状するが、俺には好きな女が一人居って、いつもその女の膝に抱かれていた→【自分の母親】※子供のなぞなぞですからね。
○毎朝、散らし髪で家中を飛び歩くものは、何でしょう?【塵払い】
○朝早く細道通るものは、何でしょう?【雨戸】
○お前昼行きや、わしゃ夜行くものは、何でしょう?【戸・障子】
○四十八切れ、豆腐屋の看板は、何でしょう?【障子】
○六尺男に眼一つは、何でしょう?【唐紙】※「唐紙」は「襖」のことでしょうか?引手を「目」にたとえているのかな?
○場所どころの無商売は、何でしょう?【臍】※これは私の書き写し間違いだと思いますが意味が分かりません。たぶんドーナツの穴的なことかな。
○一段畑に豆一つは、何でしょう?【出臍】
○買う人はつかわず、つかう人は知らぬもの、それは何でしょう?【棺桶】※前もって自分で買う人もいるかも。
○初め四本足、次に二本足、仕舞いが三本足、これは一体何でしょう?【人間】※スフィンクスのなぞなぞですね。
○切っても切り口の無いもの、何でしょう?【水】
○削るほど大きくなるもの、何でしょう?【節の穴】
○頭を叩かぬと、言うことを聞かぬものは、何でしょう?【釘】
○座蒲団の上にいても、頭を叩かれるものは、何でしょう?【木魚】
○からだ一つで歯が千枚、これは何でしょう?【鋸】
○頭が水呑んで口から吐くものは、何でしょう?【土瓶】
○坊主五人に槍一本、これは何でしょう?【串団子】
○いくら入れても一杯にならぬものは、何でしょう?【漏斗】
○蓋があって底のないもの、何でしょう?【蚊帳】
○金山越えて、竹山越えて、金山で火が揚るのは、何でしょう?【煙管】※火皿と吸い口が金属で間を竹で繋いでいる様子から。
○一里行って、二里行って、三里目に皿一杯は、何でしょう?【煙管】
○兄やの家から火が出る、弟の家から煙が出る、これは一体何でしょう?【煙管】
○つかう時につかわず、つかわぬ時につかうものは、何でしょう?【筆の鞘】
○要る時に要らず、要らぬ時に要るものは、何でしょう?【風呂のふた】
○通る時に通らないで、通らない時に通るものは、何でしょう?【列車の踏切】

※うん、今回はそんなに難しくありませんでした。

いいなと思ったら応援しよう!