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2024年 9月 それでも準備する?

電車に乗って、車椅子コーナーに寄せたら、怒鳴られた。

9月の最初の日曜日、正確には夕方 5時 10分すぎの JR山手線 6号車でのこと。

車両に乗りこむところから床面を赤色やピンク色で目立たせて、
「ドアの前は広くお空けください」と日英中韓 4か国語で大きく表示してある。それにもかかわらず…まず車両に入る正面のところで仁王立ちしている大きなお兄さんに(目が不自由ではなさそうだったけれども)声をかけてよけてもらった。やっと乗車したが、車椅子スペースは他人同士とおぼしき数人に占拠されていた。自発的に空ける人は一人もいないので、近づいて、車椅子を寄せさせください、と口にしながら空けてもらえるように促した。

そのうちの一人が、自分が占拠していた場所のキャリーケースに車椅子の後ろ側が触れたのが気に入らなかったらしい。

縦列駐車のように車椅子を専用スペースにおさめていたときに、不法占拠の品なのだからバンパーでおしのけても別に良いのではないかと思われるし、そもそも目の前にいて手が伸ばせばいいのは当人だった。その人が池袋駅が近づくと、自分の荷物に触れたことに気づいているのか!と詰問口調から始まった。私が呆れ果てていると、周りの乗客が一斉に振り向く大声の巻き舌で、罵詈雑言を吐き捨てていった。

降りるときに言いだすという、予想通り弱い者いじめの小さなヤツだな。洗いたての草色の作務衣に黒いキャリーケース、頭の薄い太鼓腹。しかし、周りの乗客は驚いて凝視していたのに、何もしない。何も言わない。ザ・日本。

太鼓腹よ、目の前にある自分の荷物は、背中向きの車椅子に触れられたくなかったら自分でひけ。

原宿駅に着いてエレベータで地上に出ようとしたら、エレベータから次々と降りてくる人たちは誰一人としてドアを押さえないで去って行く。やむなく外からエレベータのボタンを押し続けてドアを開けていたが、長すぎたようでドアの開延長機能は突如、時間切れとなった。自分が乗りこもうとした途端にドアは急に閉まって来て、エレベータのドアの端が車椅子を一撃。その衝撃で乗りこんだエレベータは、ドアが閉まってから動かなくなってしまった。地上階には行けないし、締め切りの個室のなかでは蒸し暑さが増すばかり。仕方ないので、SOSボタンで駅員を呼んで、脱出した。
駅の裏側に出るエレベータで、雨舞う街に降りたった。

こんどは駅前の混雑する横断歩道を渡りきって、歩道にあがろうとしたら正面に立ちはだかって阻むヤツがいた。短い青信号をやっと渡りきるところだというのに、このまま狭い車道にとどまるわけには行かない。「チッ」とおしゃれをきめこんだ若い男は舌打ちをしたが、こんなに大きな舌打ちを聞いたのは初めてというくらいよく鳴っていた。

雲のなかを行くような蒸し暑い日だから、イライラするのはまあ皆同じ。

弱い者いじめに走る動物以下の輩(ヤカラ)、マナーのわるい輩、が放置されているのが昨今見る、ザ・日本。

車椅子になって可哀想な私(笑)
「こんなにいじわるされて、あー、pity、pity」と笑い飛ばそうにも、わずか半時間のあいだに、続けざまな上に、誰もが見ているだけで無反応。だから、さっさとつぎのことをしようとしているのに、涙がにじんでくるのは当たり前だ。

                                                             ◇

準備を進めよう。
英国方面との打ち合わせは順調。教えてもらうことばかりで恐縮しているのに、先生は「原画を貸し出しましょうか」とまで申し出てくださる。

この世界では雲の上のような人、とささやかれる方の作品だ。
サイズも大きめなので、イーゼルで展示しようかとも一瞬考えた。
だが誰でも出入り出来る会場で丸一日その作品を守り抜き、搬出入で考え得ることだけでも、ストレスに弱っちい私は負けてしまいそう。
「また今度、安全確保できる環境があるときにぜひお願いします」と、またとないありがたいお申し出を惜しみつつ、遠慮せざるを得なかった。

                                                             ◇

さてと、潤んで赤くなっているであろう自分の目のことはおいて、
「さあ、買い物するぞ!」
と今一度、気合いを入れて動きだした。

ここに来て、ついでにカフェで一服するのも楽しむつもりだった。だからベッドから這いでて、少なからぬ支度にエネルギーを注いできたのだけれども、辿りつくまでのあれこれのために、食欲などとうに失せてしまった。

なんどとなく楽しい気持ちを奮い立たせるも、そんなふうにいられるほうが不自然なのだろう。私も自然体でいますよ、生身ですもの。私に気づかないところでこの日、これ以上の惨事にならないように、見えないしぐさで守ってくれた人たち、ありがとうね。

わる口など言いたくない。
が、現実に反応すれば、日本で女性とか障がい者とか、さまざまなマイノリティの目の前に広げられる世界は決してお花畑ではない。

この世にジゴクを作るのが人ならば、私たちはこの世にテンゴク(天国)を作ることだって出来るというのに。

自分の思いこみで誰かの動きをはばみ口をふさぐ、赤の他人ってなんなん(怒)
イマイチな生き方をしている人ほど、口出し手出しが多すぎませんか。

ふふ、私はまた掲載号が発行されて、自分史に刻まれる有難い週でした♡

写真:とってもおいしいジュースです、が、絵筆を洗う水色にそっくり…
グラスに入れて作業机におくと間違えてしまいそうなので、こればかりはラッパ飲み推奨!(←誰に?)


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