Project Xi07
1.キャラ製作に至った経緯
1-1.過去の経験
以前から、
"オリジナルキャラを作ってみたい!"
という思いは持ち続けていました。
短編小説などでは時折設定を考えたり書いたりはしていましたが、
ワンオフでキャラをモデリングした経験や
イラストを描いた経験はほぼありません。
実は、2022年に素体作りにはチャレンジした事がありました。
当時VRChatを始めたばかりで、フレンドさんにBlenderの使い方などを
教えて頂く中で、顔・素体・髪の毛を作った事はありました。
しかし、その時は明確なキャラクター像をイメージできておらず、
とりあえず作ってみたい、くらいの気持ちで挑戦していました。
当然、イメージが固まってないわけですから、
自分の中で正解を見つけられず、カワイイ顔ところか
宇宙人顔をこねこねしたところで断念していました。
(当然、リギングやテクスチャなどもせず、
モデリングをかじった程度で断念していました。)
そこで、VRChatで使用していたアバターを
Boothで販売されている衣装などを着せて改変して楽しんでいました。
販売アバターを改変した方がより自分の好みに近い女の子を作る事が可能。また、労力も一から製作するよりも圧倒的に減らすことができます。
そういった理由から、モデリングからは長らく遠ざかっていました。
大体2年くらいでしょうか。
小説や何度か3D作品で登場したメイドちゃんも元々は他の方が作ったモデルを改変しているものです。
Blenderで素体を変えるかつ形状も頂点をゴリゴリにいじって改変していた
ので、体に関してはほぼ原型が残っていませんでしたが。。。
1-2.きっかけ
時は流れ2024年8月末頃。
実は2024年に入ってから引越等で生活環境が大きく変わり、
VRChatへのログイン率も大きく減少していました。
(というか、3ヶ月くらいろくにネットが開通していませんでした。)
改変等はしており、フレンドとDiscordで通話する程度であれば
問題がないWi-fiはあったので、
Blenderには日常的に触れていた環境ではありました。
ただ、長期間VRChatにログインしていない環境に慣れたせいか、
何かイベントやゲームに参加しないのであれば
Discordで事足りるなぁ…と感じ始めたのもこの頃です。
※もちろん、VR特有の臨場感は唯一無二のものなので
楽しいのですが、視点が変わったということです。
その上、月平均1000kmも出張で移動していると、
HMDを付けた途端に猛烈な眠気に襲われるわけです。
そうなるともはやVR機器が超高級アイマスクになり果てていました。
そこに加えて、直近の流行しているアバターや
改変の趣向が好みに刺さらないことも結構影響していました。
可愛いとは思うんだけど、タイプじゃない的な何かですね。
もちろん、フレンドさんやイベントで活躍されている方の素敵な改変を
Xで見ていてかわいいなとか、綺麗だなと素直に思います。
ただ、一旦離れて見た時に、
無理に流行についていきたくないな、
と思ったのでしばらく離れていましたね。
久しぶりに小説で何か書こうとキャラ設定を考えていました。
小説はネットが貧弱でもスマホでポチポチと執筆できるので、
割と時間・場所を問わずに思いついた時にかけますからね。
そんな時にXi07のキャラ像がふと頭の中に降りてきました。
これ、いいかも!
直感で作品を作ったり小説を書いている人間なので、
エンジンがかかったらその後は成り行きで行動できちゃったり。
以前からサイバーというか、SFというかそういったジャンルに
漠然とした興味があったのに加えて、
ふ〇なり+近未来的な女の子を作ってみたいと思いついたわけです。
販売されているふ〇なりモデルは後付けタイプがほとんどなので、生えている描写も難しいしどうしたものかと悩んでいるうちに、
どうせなら作っちゃうかという気持ちになりました。
何かを始めるときって、割と思いつきなんですよね。
そんなこんなで、2024年の9月中旬に
初のちゃんとしたキャラモデリングがスタートしました。
2.素体製作
2-1.素体編(胴体)
改変や作品製作で1000時間以上はBlenderくんと会話してきたので、
大抵の操作に支障はきたしませんでした。
ただ、一からモデリングとなると、
考え方や進め方に違いが出てくるなとは感じていました。
改変は元々あるきれいなポリゴンに手を加える程度なので、
最初からある程度の正解は見えているからと私は思っています。
余談ですが、Blenderなど3Dソフトの操作を覚えたいのであれば、
改変はいいチュートリアル材料だと思っています。
胴体に関しては、ある程度完成形をイメージできていたので、
製作に試行錯誤しつつもほぼ滞りなく進めることができました。
乳首の造詣なんかも資料を見る事も無く自分の好きな形に向かって操作していたら出来ていました。
恐らく普段見ている作品や改変で頭の中のイメージが
しっかりと出来ていたんだろうな、と振り返りながら思っています。
その他、体の造詣に関しては
『スカルプターの為の美術解剖学』
という本を参考に製作していきました。
かなりわかりやすい資料で、これもフレンドさんに教えて頂いたものです。
人体について勉強しながらモデリングしていると、
人体の構造が複雑であることを思い知らされていました。
筋肉のつながり方などについても、こういった資料を見ないと
意識すらしていなかったかもしれません。
イラストを描いている絵師さんはこういった点も
意識しつつ描いているのかな?と思っていました。
正直胴体はかなり順調で、いいスタートを切れていました。
しかし、そう簡単に完成はしません。
次の項目からは、苦労したポイントをまとめておこうと思います。
2-2.素体編(手足)
素体のモデリングで壁を感じたのは大きく4つでした。
四肢、手足、顔、髪です。
このうち、四肢と手足にまず取り組んだ私の頭に思い浮かんだのは、
関節の構造とか知らないぞ?
3Dモデル製作にあたって、最終的にはそのモデルを動かして
静画・動画作品製作で使用するわけです。
当然、動かす場所のトポロジーを意識して製作する必要があります。
考えなしにとりあえずハイポリにして製作していくと
後工程や製作時のレンダリングで困るのは目に見えていたので、
やってみるにあたって人間の体の構造や
筋肉を意識しながら作っていたのですが。
これが難しい!
腕の筋肉の流れはねじれながら親指に向かっているし、
足も外側の大きな筋肉が同様の所もあったので、
斜めにトポロジーは想像が難しくてかなり苦労しました。
そして手足!
普段見慣れているはずの手でさえ、
実際に3D空間でモデリングしてみようと思うと
すごく複雑に感じてしまって時間がかかりました。
足も山の尾根を意識しながら、指をはやすだけだと満足できなくて、
指や土踏まずの形状を試行錯誤していました。
とりあえず初めてのモデルとしては満足できるところまで
目の下にクマを作りながら格闘していましたね。
2-3.素体編(顔)
正直、3Dであれイラストであれ重要な部位ですよね、お顔。
体がどれだけ魅力的に出来ていても、
お顔フィルターで視聴者の方の評価が下がる事、
大いにあると思います。
思い返すのは以前の苦い記憶。
というわけで脱・宇宙人顔を目指してこねこね…
ハイ、宇宙人2号完成!
どうしてなんだ…
さすがにリアルよりの資料である先述の資料だけを見ていても
進歩がないなぁ、と感じ、
イラストレーターの方の動画や以前少し絵を描こうと思っていた時に
購入していた資料などを読み、
改変で使用していた3Dモデルなどでパーツのバランスなどを
参考に製作を進めていきました。
が、なんか思ってるのと違う。
流石に自分の知識を超えていて対応できそうにないなぁ、と感じ始め、
後述するイラストレーターさん、普段お話しさせて頂いているクリエイターさんに意見を伺いました。
特に顔のバランスや、瞳に関しては
目から鱗のお話ばかりで大変助かりました。
瞳ってモデルを印象付けるパーツでもあるので、
かなり重要なんだと恥ずかしながらここで気づきましたね。
(このnoteを執筆している今もテクスチャをいじっているわけですが)
あと、耳は写真とBlenderの画面を往復しても
上手くイメージが付かなかった部位ですね。
トポロジーの流れをどう作ればいいか。
なれれば簡単とフレンドさんはおっしゃっていましたが、
私はまだまだ時間がかかりそうですね汗
自分でも顔の部分で頑張ったと言えるポイントは、
唇と口の中(歯)です。
唇はテクスチャと合わせて艶やかな感じを出したかったので、
形状とテクスチャ・ノーマルマップは苦慮していました。
後々テラサイズシチュでも使いたいと思っていましたから、
ドアップで撮影した時に映える唇にしたいと思って製作していました。
歯に関してはこの時点ではただの板ポリに近いもので、
後々いつもお話ししているフレンドさんにブラッシュアップとして
どうかと意見を頂いて、修正した箇所です。
2-4.素体編(髪)
髪ってなに?どう生えてるの?
と何度思ったことか…
髪に関しては消しては作り、また消してを繰り返した箇所です。
そもそも髪ってどうやって生えてるんだ?ってところから考え、
色々生やしてみるものの
なんかかわいくない
というワードが頭によぎるわけですよ。
意見を頂くと、ボリュームを増やしてみては?とのことで
髪を分けて考えてボリュームを増やすと一気に印象が変わって見えたときの
感動がすごかったですね。
ところどころに細い髪を入れてあげることで
軽い感じも出るので、
最初はすごい苦手意識がありましたが
途中からは結構楽しめてモデリングを進められていました。
とはいえ、髪に関しては今回の製作で課題を残した箇所だと思っています。
髪モデリングは今後も練習していきたい箇所の一つですね。
2-5.モデリングのまとめ
上記のステップまででモデリングパートが完了しました。
大体2週間くらいでした。
仕事以外の時間をほぼ費やしていたので、
日数で言えば短くできましたが時間的にはかなり長いと思います。
とはいえ、初めてなりに自分が満足できるポイントは
クリアしつつ作成することが出来ました。
しかし、ここからが3Dモデルを製作するにあたって
さらに厳しい道のりになることを思い知ったのです。
リギングに関しては省略しますが、
動かしながらなんとなくで割とできてしまったのが
自分でも正直謎ですね。
自分で作っていて何言ってんだとよく言われるんですが、
うまくできたぞ!って思っているポイント、
どうやって作ったか忘れちゃうことが結構あるんですよ、私。
これをロストテクノロジーと呼んでるんですが、
今回の3Dモデル製作でも結構ロストテクノロジ―が生まれちゃったので、
次回のキャラ作りの際にはまた同じことで苦労するかと思うと
頭が痛いですね。笑
2-6.UV展開・テクスチャ塗り(素体~髪)
ここからは本当に未知の領域だったので、
仮展開→色塗り→UV展開修正→色塗り…と、
試行錯誤しながらだったのでかなり時間を要しました。
私は絵師でもないので塗りの知識もなく
レイヤー?みたいなところから始まったのでマジで鬼畜でした。
(不思議と『もう俺やめる!』みたいな投げだしは発生しませんでしたが)
UV展開でシームを入れなおして再展開して、
また修正してという作業が結構大変。
最適解を見つけ出すためにこんな苦労してるんだなぁと思うと
良質な販売モデルが手の届く価格で展開されている現代
現代恵まれすぎでは?と思うほどでしたね。
最も謎だったのが『影』の部分をどうするか。
そもそもBlenderで使用することを前提としていたので、
ライティングで影を出せばテクスチャ本体にそこまで書き込まなくても
いいかなと思っていたがそうもいかず。
おまけでVRChatでも使えればと思っていましたが
シェーダーによって見た目が大きく変わるので、
トゥーンシェーダーではテクスチャに書き込んでおかないと
のっぺりした見た目になっちゃって頭を悩ませました。
瞳や顔…髪のテクスチャは周りの方々に
大いに意見を伺いながら、修正を重ねてました。
イメージカラーは最初から決めていたのでそれに沿っていましたね。
実は昨年からアーマード・コア6にはまっていて、
作中で私が使用している機体のカラーがXi07のカラーになっています。
水色とシルバーの組み合わせにビビッときちゃいました。
2-7.素体製作まとめ
大体ここまでで約1か月半程度の時間が経過していました。
当初年末に投稿しようと計画していたのですが、
思いのほか10月以降仕事が忙しくなり、おそらく無理ということで、
Xi07の名前にちなんで1月7日にデビューしてもらうことにしました。
3.衣装製作
3-1.デザイン
Xi07のコンセプトとして、
・近未来またはSF、サイバー的な要素
・ふ〇なり砲
この点は最初に決めていました。
女の子の体の部位を使った武器、というジャンルが結構刺さっていたので、
当初から主砲は絶対に欲しいと思っていました。
しかしデザインに関してもひよこの私。
一旦自分でデザインしていたのですが、
設定とデザインの整合性がうまくとれているのか自信がつけられず
ある方に相談し、意匠のデザインに関しては外注することにしました。
それが、夏風シグレさん(https://x.com/sigure_dd142)です。
https://x.com/sigure_dd142/status/1852196251997237287
↑ デザインを投稿しているシグレさんのポストへのリンクです。
言わずもがなサイズ界隈の中では特にメカや戦闘描写にも強いですし、
知識も豊富なプロのイラストレーターさんですね。
先述した意見やご相談をさせて頂いていたのもシグレさんです。
というわけでデザインを依頼。
完成までわくわくしながら待っていた中、
納品されたデザインを見て子供のように目を輝かせました!
後はこれを3Dに起こしていく作業。
完成されたデザインだけに、
『これデザインに沿ってちゃんと作らないと…!』
と一層身が引き締まった瞬間でもありました。
3-2.素体製作時とのギャップ
素体を完成させていた私は、
ある程度進め方と操作にも慣れていたので、
とりあえず暫定的に作る工程を頭の中でイメージし、
各パーツを順番に製作していきました。
メカパーツは直線的なデザインの箇所はきっちり線を出さないと
質感が落ちてしまう点が一番難しかったですね。
曲面だと、ぶっちゃけスムーズなどを使って馴らしていけば
ごまかしがきくのでスイスイ進めていたのですが、
これが平面や直線となるとそうもいかないわけです。
(そういった機能もありますが)
体に沿ってパーツを配置しながら作っていったのが
よくなかったかもしれません。
別の場所で各パーツを製作して
体に合わせていく手法も考えたのですが、
縮尺や体に合わないときに苦しいだろうと思って
そのまま製作していったのがよくなかったのかもしれませんね。
この点は次回に生かしていけたらな~と思っています。
3-3.SubstancePainterの威力
Adobe社製のテクスチャ製作ソフトのサブスタくん。
以前からVRChatのフレンドさんにおすすめされて持っていたのですが、
本格的に使い始めたのは今回の新キャラプロジェクトからです。
素人目線で見てもリアルタイムでテクスチャを反映させながら
塗っていけるのは効率的で、内包されている機能も豊富にあって
これはいいお買い物をしたなと個人的には思っています。
衣装・モデル共にほぼこのサブスタを使用して製作していたわけですが、
特にピチスーや装甲を製作するときに
とんでもない威力をぶっ放してきましたね。
『なんだこのけつは…!?』
『なんだこの太ももは!?』
『なんだこのちちは!?』
夜な夜な作業通話でこんな煩悩をぶちまけながら作業していましたが、
ピチスーの模様もノーマルマップで凹凸をつけて、
それがテカるなんてオーバーキルですよ。
その後しわを作れるんじゃね?と声をもらって
やってみたところ気づけば白目で天井を見ていましたね。
冗談はさておき、そういった質感を感覚的に手軽に作れちゃうすごさを
衣装製作で知ることができました。
その後はウエイト塗り、動作確認をしつつ
β版が完成したというわけです。
4.完成・感想など
4-1.β版~その後
β版として完成したのは、12月上旬頃でした。
9月中旬から始めたので、約2か月くらいですね。
ここからはブラッシュアップなどで時間がかかるだろうと思い、
年始に投稿かなぁ、という気持ちになってきてました。
正直この時点でも自分が完成させたことに驚いていたと共に、
周りの方々のサポートもあってここまでこれたということを
肌で感じていました。
この場をお借りして、感謝申し上げます。
いろいろご相談をさせていただいた方、
本当にありがとうございました!
4-2.製作に使用したソフトや製作総時間・感想
主に使用したソフトは以下です。
・Blender4.3(モデリング・リギング…設定等)
・SubstancePainter2024(テクスチャ)
・ClipStudioPaint(テクスチャ)
製作時間は正確に積算していないのですが、
大体以下のような時間だったと思います。
・Blender :約300時間
・サブスタ/クリスタ:約100時間
人生の中でも5本の指に入るくらい熱中していましたね。
つらいところももちろんありましたが、
どちらかというとほぼ楽しいという気持ちでできていたと思います。
時間が過ぎるのも早かったですし、
早く完成させた姿を見てみたいという気持ちの方が強かったですね。
また、今回自作で3Dモデルを製作してみて、
モデラ―さんたちがBoothであの価格帯で良質なモデルを
販売してくれているのがほんとにありがたいと思いましたね。
正直、よっぽど作りたいイメージの子がいなければ
改変で近づけた方がいいとは思いました。笑
ましてや、初めて作るのに
クオリティも担保されていない中で数百時間を費やすわけですからね。
そんなわけで誕生したXi07(シオナ)。
キャラ設定などは別途公開する予定なので、
こちらには載せないでおこうと思います。
モデリングは苦行と聞いていましたが、
苦行であれど楽しいという気持ちのほうが
個人的には強かったですね。
達成感も時間をかけた分段違いでした。
今後こう言った製作日記のようなものも
気が向けば書こうと思います。
以下のリンクは、今回製作したXi07を使用して製作した
初作品です。
よろしければご覧ください。
※高画質はリプ欄に貼っておきました。
https://x.com/ukon_gts/status/1876388276451594440
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。