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指点字という言語・「桜色の風が咲く」を観て①

全盲ろう者(視覚も聴覚も失われた方)として
初めて東大教授となった 福島智(さとる)さんの実話を元にした「桜色の風が咲く」という映画が今日公開されました。

福島さん自身が3歳で右目の光を失い、9歳で全盲になり、18歳で音を失うその過程で
どんな思いを経てきたのか。
また、福島さんのお母さま(令子さん)がどんな思いを経て
「指点字」を考案されたのか、
とても丁寧に描かれていたように思います。

私の中の令子さんの勝手なイメージは
芯が強くて、我が子を守るためなら
前向きにできることは何でもする…
というスーパーウーマンのような人を想像していました💦でも、そんな人居るわけないですよね。

彼女もまた、私たちと同じように

まさか大丈夫だろうと思って手当が遅れたり
ホントにこの治療でいいのか迷ったり
後悔したり
悩んだり

家族とぶつかりながら、支え合いながら

だんだん逞しくなっていったんだろうなぁと
思いました。

そして当然のことながら
その過程で
智さんも
家族だけでなく
様々な人との触れ合いによって
気づきを得たり励まされたりして
今に至っています。

見えなくても聞こえなくても
「考えることができる」
と、友人のことばによって救われたかのように
劇中では表現されています。
でも先月の記者クラブの会見で
この苦悩には意味があるのでは、と
「思おうとした」と
ご本人が仰っています。
(記事の最後にご紹介する動画の25分過ぎ辺りです)

自分を納得させないと
生きていけない

私には想像することしかできない
ご本人にしか分からない
苦悩があっただろうし
今もあるのだろうと思います。

劇中で朗読される 吉野弘さんの
詩の中の
一節が
頭の中でグルグルします

 「世界は多分
    他者の総和
    しかし
    互いに
    欠如を満たすなどとは
    知りもせず
    知らされもせず
    ばらまかれている者同士
    無関心でいられる間柄
    ときに
    うとましく思うことさえも許されている間柄
    そのように
    世界がゆるやかに構成されているのは
    なぜ?」

映画館を出てからも

なぜなんだろう…

考え続けています


先月行われた会見の動画を以下に貼ります。
この動画で、私は初めて
指点字」とはどういうものかを知りました。
通訳の方たちが
福島さんと「会話」しているように見え、
その温かい眼差しが印象的でした。

1.5時間もの間、音と光の無い世界で話し続けるのは孤独じゃないのかと思いましたが、会場の雰囲気を伝えるかのように通訳の方がほほえんで
福島さんの手を握る様子に温かいものを感じました。

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