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好きと得意で地域を盛り上げるには、「顔の見える関係性づくり」が大切

自身の好きなことや得意なことで地域を盛り上げている人はかっこいいですよね。でも、いざ自分がやるとなるとなかなか難しいです。

そこで、本記事では自身の好きなことで地域で活躍するまちづくりの実践者2名から話を伺いました。
まちづくりに興味がある方や、自身の好きなことで地域を盛りあげたい方は、ぜひ最後までご覧ください!

ローカルなつながりを編み直し、地域のプレーヤーを育み、見守る「北区親戚ごっこ」

親戚ごっこ

北区親戚ごっこは、場づくりの関心と実績のある龍田春奈さんと細川千夏さんが立ち上げました。家族ほど近くなく、知り合いほど遠くない、親戚のような応援しあう関係をつくりつつ、心のなかにある「やってみたいこと」「なんとかしたいこと」を形にすることで、まちづくりのプレーヤーを育む土壌をつくることを目指した事業。今年はコロナ禍によりオンラインで実施しています。

ゲスト

角谷香織さん(Sumiya Kaori)振り売りの八百屋

角谷さん2

京都生まれ西陣育ち。大学卒業後フリーランスを経て、京都農家さんの野菜を届けるGg'sを立ち上げる。「車でもらいに行ける範囲」を基本に京都の生産農家さんから野菜をいただき、飲食店舗や個人宅に届けている。その時期にある京都の「畑にあるもの」だけを、在庫を多く抱えず必要分だけを集め、届け、毎回売り切るスタイル。毎週日曜日に「晴れときどき雨、のちお野菜」紫野本店で販売している。


織田博子さん(Oda Hiroko)食を旅するイラストレーター/漫画家

織田さん

各国を旅してその国の魅力をマンガやイラストで伝えている。また、自分の住んでいるまち・駒込を旅して楽しむ・発信する活動をしており、フリーペーパー「こまごめ通信」とまちの人がまちを楽しんで発信する独自のメディア「駒込を楽しみ隊」の運営をしている。誰に頼まれたわけではなく地元駒込を発信したいという想いから超ローカル話を書き、「まちの人の個人的な話を伝える」をモットーに活動中。


自分のやりたいことを実現しながら地域を盛り上げるには、顔の見える関係性をつくる

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角谷:地野菜の販売をはじめたのが2012年。震災が起きた後、最初は京都の農家さんというより福島の農家さんとの出会いがきっかけでした。

震災後で風評被害が大変だったのに震災のせいにするのではなく、「大きい流通に頼りすぎていたから」「もっと顔が見えて自分たちの野菜を良いと思ってくれるファンをつくってこれてなかったから」とおっしゃったことが印象に残り、そこから地野菜の販売をスタートしました。


角谷さんは自身のやりたいことを始める前に、顔の見える関係性づくりの大切さを知るきっかけがあり、京都の農家に伝わる伝統の販売方法である「振り売り」方法で販売を始めました。

織田さんは、駒込が好きで始めた「こまごめ通信」に同じ想いをもった方々が原稿を送ってくれるようになり、3か月に1回発行予定がいつのまにか毎月発行になりました。

お二人とも自身のやりたいことを大きなコミュニティに向けて発信するのではなく、地域の人に届く「顔の見える関係性」を大切にしながら活動しており、その結果、地域を盛りあげるプレーヤーとして活躍しています。

そこで、お二人が大切にしている顔の見える関係性を築いていくために意識すべき2つのポイントをご紹介します!


顔の見える関係性のつくりかた①「情報を伝えたい相手によって発信する媒体を選ぶ」

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角谷:八百屋を始める前からTwitterやFacebookに農家さんのことを書いていて、すぐき漬けのお手伝い写真をあげていると、SNSを見ている人から「どこで買える?」と連絡がきて、結果的に顔の見える販売に繋がりました。

今は、届けたいフェーズによって媒体を選び、自分のお客さんにはクローズドなコミュニティアカウントを使ったり、お店のことはSNSを使って情報発信をしています。


発信する媒体を上手く活用すると、自分で届けたい相手を選べるということ。自分の活動を広めていくには、知り合い、そしてその知り合いとリアルに会える人に活動内容を伝えられる距離感が初期フェーズでは大切になります。

角谷さんの活動は商売なので、敢えてクローズドなちょうどいいコミュニティを選んで発信しており、口コミベースで広めやすく発信しやすかった媒体はFacebookだったようです。

Facebookは他のSNSと違って実名で登録している人がほとんどなので、顔の見える関係性を生みだしやすくオススメの媒体です。まだ活用していない人は、一度チャレンジしてみてもいいかもしれません。

また、はじめてSNSで発信する際に大切なことは、誰と一緒にやっているかの見せ方です。
「この人とやってるから面白そう」と興味をもってもらえるきっかけづくりになるため、自分のやりたいことと届けたい相手の気になる人を上手く組み合わせることが大切なのかもしれません。


顔の見える関係性のつくりかた②「活動拠点の規模感を大切にする」

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織田:まちの魅力は「区」で区切られるのものではないので、「駒込地域」として3つのまたがる区を紹介しています。区でやるより、地域でやるほうが活発なコミュニティになりやすいです。

「自分が関わっている地域」と思える規模感が大切なのかもしれません。


豊島区のコミュニティをつくったときはあまり盛りあがらず宣伝ばかりになり、大きすぎる範囲よりも自分が関わっている地域の情報をシェアできる規模感が大切だと感じた織田さん。
その結果、独自メディアの「駒込を楽しみ隊」は現在1500人の大きなコミュニティになりました。

元々はクローズドのなかで安心してやりとりできる関係性をつくり小さなコミュニティで動いていましたが、コロナ禍でステイホームが広がり、元々都会に出てた人が地元の情報収集のために登録し、口コミで自然と大きいコミュニティになったそうです。

登録者は駒込に住んでいる人、住んでいた人、職場が駒込など、やはり「自分が関わっている地域」に関心がある人が多いです。その方々が書いた記事が広まり、紹介されたお店が一躍人気になったりと静かなブームを生みだしています。

独自メディアはfacebookを利用しており、実名で登録している人が発言するので不適切な発言をする人はおらず、コミュニティの中の人たちで駒込地域を純粋に楽しんで発信しているため、今後もどんどん口コミで広まり大きなコミュニティになっていく気がします!

自分が関わっている話題や、限られた地域にしか伝わらないものを好む人が多いので、やりたいことの中でもキーワードを絞って顔の見える関係性づくりを大切にし、結果的に多くの人に活動を知ってもらえる状態を生みだせるのかもしれません。


「顔の見える関係性づくり」まとめ

顔の見える関係性づくりのために意識することは「情報発信する媒体と規模感を大切にする」でした。

そして、最後に織田さんからは「自分が一番楽しむこと」、角谷さんから「誠実の積み重ね」が大切というお言葉をいただきました。ひとりでも楽しめるというスタンスで活動し、関わってくれている人には出来る限り誠実に向き合うこと。お二人から多くの学びとヒントを得た時間となりました!

是非みなさんも、自身の好きや得意を整理した上で、自分にあった媒体と規模感を探してみてください!


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