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イギリスのパブリックスクール受験。 そもそもパブリックスクール、ボーディングスクールって何なのか?

お父さんです。

このブログは地元の公立中高で学び、地方の国立大学を卒業した庶民派お父さんがひょんなことから子供二人の都内私立小学校受験を経て、またまたひょんなことからインターナショナルスクールへ行き、さらにイギリスのボーディングスクールに合格して進学するまでの道のりを綴っています。

今回の記事について                                      
前回までの記事では、我が家の娘のイギリスボーディングスクール受験について書いてきました。今回の記事では、そもそもイギリスのボーディングスクールって何かについて書きます。「パブリックスクール」とか「ボーディングスクール」とか色々な呼び名がありますが、そもそもそれって何?とかそれらの学校がどういう位置づけにあるのか等について書いていきたいと思います。皆さんの参考になれば嬉しいです。


さて、これまで第一章で「日本の小学校受験」、第二章で「イギリスの小学校や生活」について書いてきました。我が家は、娘と息子の2人とも小学校受験(いわゆる"お受験")を経て、小学校低学年まで東京都内にある私立小学校に通いました。第一章に色々と書いていますのでぜひご覧ください。

そんな中、突然の海外転勤により家族揃ってイギリスに渡る事になり、そこでの生活や小学校選び、その他色々な事を書いてきたのが第二章です。

第三章では、日本帰国後に入学した、日本のインターナショナルスクールについて書いてきました。

第四章では、イギリス滞在時の後半に子供達がイギリスのパブリックスクール(ボーディングスクール)を受験した経験について書いてきました。第三章と第四章は少し時間軸が入れ替わる事(娘のボーディングスクール受験は日本帰国前です)がありますのでご注意ください。



さて、今回の記事の本題に入りたいと思います。
「イギリスのボーディングスクールって一体なに?」という事について書いていきます。最近では海外の学校への教育熱の高まりによってイギリス等の学校についても色々な情報が手に入るようになってきたと思いますが、一言で言うと、

「寄宿舎を持った私立の学校」

という定義で考えてほぼ問題無いと思います。
そもそもなのですが、私はイギリスの学校の全体像について以下のような構造だと理解しています。

■イギリスの私立学校は2,300校以上。
■そのうちボーディングスクール(寄宿舎アリの学校)は500校以上。
■更にそこから伝統や特徴などによって名門校と呼ばれる学校アリ。
 (イートン校やハロウ校)

イギリスの学校の構造。解釈の違いはあるかもしれませんが私の理解としてご認識いただければ。


加えて、ブリティッシュカウンシルのウェブサイトによると、以下のような情報が公開されています(2022年時点の情報です)。https://www.britishcouncil.jp/studyuk/options/under-16/education

①私立/公立に関わらずイギリスで学ぶ全ての生徒数(大学除く):870万人
②そのうち私立学校に通う生徒:約550,000人強(全体の約6%強)
③そのうち外国籍でイギリス国外からの留学生数:約25,000人
④そのうち日本人留学生の数:約1,300人

まず私立の学校に通う比率が約6%強という数字ですが、この数字が高いのか低いのか実感としてよく分かりません。そこで、まず日本において私立の学校に通う生徒数と比べたものが以下です(文部省ウェブサイトより)。

-小学校:1.3%(約80,000人)
-中学校:7.7%(約250,000人)
-高校 :34.3%(約1,015,000人)

日本の各学校における学生数 文部省ウェブサイトより https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/main5_a3_00003.htm#topic2



日本の私立中学/高校に通う合計人数を上記数字から計算すると約126万人。イギリスの55万人よりは多いですが、日本の全ての小中高に通う合計の人数がだいたい1,250万人弱なので比率では約10%となります。イギリスの6%と比べると日本の方が約4%ほど高いという事になります。

次にイギリスにおける外国人留学生25,000人のうち、日本人が1,300人という事は比率で約5%程度になります。ちなみに先日東京で開催されたイギリスのボーディングスクールのイベントにお邪魔した際に「多様性を確保するためにも日本人にもっと来て欲しいと学校のアドミッションは思っている」という話を聞きました。アジアにおいては中国や香港からの出願数が多いとの事で、それとのバランスを取るという意味もあるのかなと思いました。私も5%という日本人比率は少ないと思うので、現時点でイギリスのボーディングスクールへの留学を考えている日本人のご家庭にとっては「チャンス」と言えるのではと思います。

続いてイギリスのボーディングスクールの種類についてですが、

①小学校から高校までカバーする学校
②小学校のみをカバーする学校
③中高をカバーする学校

という3分類に分かれると思います。そもそもイギリスの教育システムは日本と少し異なります。学年システムは日本と比べて以下の図のような違いがありますが、主にYear8までを「初等教育」、Year9からが「中等教育」という2つに分かれています。上記3つのタイプの学校のうち、どのタイプの学校に出願するのかを決めるのかは、ご家庭の状況によって分かれるところだと思いますが、我が家の場合は、イギリスに住んでいた時は子供たちは小学生でしたので②に通い(プレップスクール=私立)、一度日本に帰国した後に、③のボーディングスクール(私立)に進学しました。具体的に言うとYear9(中学2年)の入学時点でイギリスのボーディングスクールに進学した事になります。

日本・イギリス・アメリカの学年(グレード)比較


ちなみに日本からの留学生の場合、海外からの子供の受け入れ態勢(寮など含めた生活基盤など)の事を考えると、おそらく私立のボーディングスクール一択になるかな思います(既にイギリスに家族で永住している場合は公立校も選択肢に入ります)。

イギリスのシニアスクール(=私立中学/高校)は、Year7もしくはYear9から始まるケースが殆どです。我が家の場合はYear9でイギリスに渡航しましたが、いわゆるボーディングスクールと呼ばれる学校で多いのは上記③のタイプで、Year9からYear13までの5年間の学校です。もちろん①のタイプや②のタイプもありますが、イートン校やハロウ校などの日本でも有名な学校は③のタイプが多いと思います。Year13までを終えると大学への進学です。


少し分かりにくいかもしれませんが、上記①-③の学校のタイプを東京にある私立の学校を例にして当てはめると理解しやすくなると思います。

①小学校から高校までカバーする学校:
例:雙葉(四谷)、暁星(九段下)、桐朋(国立)など小学校受験で有名な学校。

②小学校のみをカバーする学校:
例:思い当たらないですが宝仙学園はこのタイプに近いかもしれません。

③中高をカバーする学校:
例:桜蔭、女子学院、豊島岡女子学園、開成、麻布、武蔵、灘などのいわゆる中学受験の難関校はこのタイプが圧倒的に多いです。

こう考えると、ボーディングスクールで③が多いのも理解しやすいかなと思いますが、日本でも①の学校で良い学校はたくさんあり、慶應においては更に大学まで進学可能です。イギリスと日本の大きな違いは、②のプレップスクールにおいても良い学校がたくさんあり、③に向けた準備を時間をかけて取り組むという事が浸透しているという事だと思います。よりたくさんお金がかかるという事でもあるのですが、イギリスにおいては②⇒③というルートが私立においては最も多いパターンである印象です。

このYear9からの私立の学校(インディペンデントスクール)入学に向けて、イギリス現地の教育熱心なご家庭は、子供をプレップスクールと呼ばれる小学校に通わせます。日本の中学受験と同様、プレップスクールでシニアスクールに向けた準備に時間をかけるのはどこの国も同じだなぁと当時の私は思っていました。プレップスクールとは私立の中高(シニアスクール)進学に向けての準備をサポートしてくれる学校の事です。ちなみにプレップスクールについては以下の記事で書いています。



少し話題が逸れましたが、改めて先ほど掲載した図を解説させて頂きます。

イギリスの学校の全体像


私立の学校=インディペンデントスクールと呼ばれます。日本から留学する留学生の場合は、私立一択だと思います。この中で寄宿舎(寮)の設備を持つ学校をボーディングスクールと呼び、その中でも伝統や特徴などによって名門と呼ばれる学校が存在します。

特にイートン校ハロウ校など、日本人にも馴染みの深い学校を中心とする「ザ・ナイン」と呼ばれる9つの学校や、ブライトンカレッジ等のトップクラスの学校を目指してイギリス国内からだけでなく世界中から留学生が集まってきている形です。「ザ・ナイン」と呼ばれる9校については設立700年を超える歴史があるところもあり(私はこの歴史の長さに驚きました)、加えてイートン校を代表としてイギリス王室などの教育を担当してきた事もあり、非常に教育の質が高く、人気もあるので結果的に志願者が多くなって入学するのが難しいという位置付けにある学校のようです。

ちなみに「パブリックスクール」ってパブリック(公共の)という名前なのに私立校なのには理由があるようです。主にイギリスでの呼称らしいのですが、昔は貴族など一部の階級にしか開かれていなかった教育機会の門戸を、一般の人にも開くという意味でパブリックスクールという名前が付いたと言われています。

ちなみにアメリカにおいてはイギリスとは真逆で、パブリックスクールはそのままの意味の通り公立学校の事を指します(ややこしいです)。

最後にイギリスの学校全般についてお話させて頂きます。
私は「日本とイギリスの学校は親和性が高い=日本人に合っている」と思っています。

わが家の子供達が日本の学校からイギリスの小学校に渡った時の一連の経験は第2章の記事で書いていますのでぜひ下記リンクからご覧ください。


私がなぜ日本人に合っているかと思っているかというと、「お勉強とスポーツ等のお勉強以外の学校生活全体のバランスが良いから」というのが一番の理由です。日本でお受験をして私立の小学校に通っていた我が家ですが、正直言って「少し勉強に寄りすぎかなぁ。もう少し運動や勉強以外の課外活動もたくさん経験して欲しいな」と思っていました。お勉強をたくさんするのは素晴らしい事ですが、お勉強だけでなく、スポーツでチームワークを学んだり、色々な活動を通して自分の興味のある事を色々とたくさん経験したり、とにかく人間としての幅を広げる経験をして欲しいと思っていました。そう思っていた折に、イギリスの小学校に入学したのですが「お勉強、スポーツ、課外活動のバランスがとても良いなぁ」と思うのに長い時間はかかりませんでした。自由過ぎず、かといって偏り過ぎないバランスの良さが私が日本人がイギリスの学校に合っていると確信する理由です。

今回も長々と書いてしまいましたが、今回の記事をまとめると、

-イギリスのボーディングスクールは「寄宿舎のある私立の学校」。
-日本人留学生の比率はまだまだ低いので日本人にはチャンス。
-日本の学校とイギリスの学校とは親和性が高いのでおススメ。

です。

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