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再び日本からイギリスへ。「イギリスの学校に戻りたい」という娘の強い意志表明。今度は娘だけでイギリスのボーディングスクールへ。どうする我が家?

お父さんです。

このブログは地元の公立中高で学び、地方大学を卒業した庶民派お父さんがひょんなことから子供二人の都内私立小学校受験を経て、またまたひょんなことで子供たちがイギリスのボーディングスクールに合格するまでの道のりを綴っています。

今回の記事について                                      
今回は、我が家の娘が "再び" 日本からイギリスの学校に戻るまでの過程について書きます。第一章で書いたように、我が家は小学校受験(通称"お受験")をしました。続く第二章では私の突然の海外赴任によって家族でイギリスに渡り現地の学校に入る時のプロセスやその他生活面における色々なできごとを書きました。続く第三章では、イギリスから日本に帰国した際に入学した日本のインターナショナルスクールについて書いてきました。そして第四章では、イギリス滞在時後半にパブリックスクールの受験にチャレンジした事と共に、我が家の二人の子供たちが今度は子供達だけで再びイギリスに渡り、ボーディングスクールに入学するまでを書いていきたいと思います。皆さんの参考になれば嬉しいです。


第一章で「日本の小学校受験」、第二章で「イギリスの小学校や生活」について書いてきました。我が家は娘と息子の2人とも小学校受験(いわゆる"お受験")を経て、小学校低学年までは東京都内にある私立小学校に通っていました。第一章に色々と書いてますので、ぜひ一章をご覧ください。

そんな中、突然の海外転勤により家族揃ってイギリスに渡る事になり、そこでの生活や小学校選び、その他色々な事を書いてきたのが第二章です。

第三章では、日本に帰国した時に入学した、日本のインターナショナルスクールについて書いてきました。

第四章では、イギリス滞在時の後半に子供達がイギリスのパブリックスクールを受験した経験について書きました。第三章と第四章は少し時間軸が入れ替わる事(娘のボーディングスクール受験は日本帰国前です)がありますのでご注意ください。


さてそんな中、日本に帰国してから子供達が何とか無事にインターナショナルスクールに入学し、学校にも慣れて日本の生活に馴染んで2年ほど経った、初冬のある日の事から書き始めたいと思います。

「お父さん。やっぱり私、イギリスの学校に戻りたいんだよね」

と寒い日の土曜日の朝、突然娘が言い出しました。この時、娘は14歳(Grade7)。日本で言うと中学1年生の学年でした(娘はイギリスの学校入学時に1つ下の学年に入学しましたので、14歳で中学1年に相当するGrade7に在籍)。

娘が言いだした時、私は思わず「ん?」と最初聞き直してしまいましたが、どうやら元々通学していたイギリスのプレップスクール(小学校)に戻るという事では無く、イギリス滞在時にチャレンジして合格したイギリスのシニアスクール(ボーディングスクール=中学・高校)へ進学したいと言っているようでした。シニアスクール受験時の詳しい経緯は以下の記事をご確認ください。


イギリスから日本に帰国して約2年。娘が通学していた日本のインターナショナルスクールに少々物足りなさを感じてるのかなーとは、時々娘を傍目に見ながら感じていた私は、

「遂にこの時が来たか」 

と比較的冷静に受け止める事ができました。同時に、娘は一時的な気持ちで言っているわけでは無く、おそらく自らの意志で本気で言っているのだろうなとも思いました。というのも、娘がこの発言をするまでには、幾つかの伏線があったからです。具体的には日本で通学していたインターナショナルスクールに100%満足しているわけではない様子が時々見られました。いくつか例を挙げると以下です。

①インターナショナルスクールの先生の質がイギリスのそれと比べて低い
以前別の記事でも書きましたが、先生の質については私も娘と同じような感覚を持たざるを得なかったことが何度かありました (https://note.com/ukjpdad/n/nad618e82c08d)。全てのインターナショナルスクールでは無いと思いますが、我が家の娘が通っていた日本のインターナショナルスクールに在籍していた教師の質にバラつきが多すぎて、とても良い先生もいれば、おいおい大丈夫かなという先生もそれなりに沢山いて、インターナショナルスクールに在籍する教師の質には若干の疑問を持っていたのは事実です。あくまでもイギリスで通っていた学校との比較だとは思いますが、娘はそれを感じていたのだと思います。公平に言って日本のインターナショナルスクールに来る教師の質は期待できないと思います(良い先生ももちろんいますが、全体としての話です)。

②日本の学校における学びの質が期待していた事と少し異なる
これは娘の学校の例ですが、アメリカ式のカリキュラムを基本的に導入していた事もあり、比較的自由過ぎる感じが、娘には少し物足りなかったのではないかと思います。加えて、娘が質問した事に先生がキチンと答えてくれないとか、そもそも指導レベルが低くて必要な事を教えてくれないという事も何度かあったようです。先生に関して「だってあの先生、全然教えてくれないだもん」などと、よく家でブツブツと言ってました。イギリスの学校に在籍していた際にも、そう言う事が無かったわけでは無いですが、だいぶ違うんだろうなぁとは私も感じていました。これはカリキュラムの問題でもありますが、イギリスの学校というのは日本の学校と比較的近いと思います。「しっかり勉強もスポーツもやりましょう」という方針が明確にあって、全力で色々な事に取り組む事が前提にあります。一方でアメリカ系の学校は、よく言えば「自由」。悪く言えば「緩い」感じがします。これは「良い悪い」の問題ではなく、自分の子供に合うか合わないかという問題だと思いますが、イギリスの学校が合っていた娘には合わなかったという事だと思います。

③インターナショナルスクールなのに日本語が飛び交う
これも「日本のインターあるある」ですが、休み時間や放課後になると日本語が飛び交うのも、少し影響があったかもしれません。とはいえ、あまりこの点についてはイギリスの学校に戻りたい大きな要因では無かったと思いますが、インターに行く意味って何?という素朴な疑問ではあります。ちなみに補足ですが、学校によって日本語を話す・話さないというのは違いが明確にあります。例えば違う日本のインターナショナルスクールに通っていた息子の場合、日本人同士でも英語で話すことがルールとして徹底されていたのですが、娘の場合はそのルールは無かったと記憶しています。

娘の場合は、主に①と②の理由が大きく、イギリスで通っていた学校の学びの雰囲気や、継続して連絡を取っていたイギリス時代の友達の進学状況などを聞くにつれて、「イギリスの学校に進学したい(戻りたい)」という気持ちが徐々に強くなっていったのだろうと思います。


いずれにせよ娘の意向を受けて、その週末に我が家では家族会議を開催しました。息子は明らかに面倒くさそうに最初は足をブラブラさせながら同席していましたが、自分にもちょっと関係ありそうな事でもあり、最後まで席に着いて聞いていました。具体的に話をしたことは、

■本当にイギリスの学校に行きたいのか
■どの学校に行きたいのか
■お父さんやお母さん等家族と離れるけど良いのか?

など、ごく当たり前の事を話し合いました。

イギリスの学校に行きたい理由としては、上記の通り①と②が大きな理由であると共に、やはり色々な国の人達とお互いに学び合うような雰囲気の中で学校に通いたいという事のようでした。まぁ色々と理由はありますが、簡単に言うとイギリスにいた時の良い感じが、娘の頭の中に良い記憶として強く残っていて、「イギリスの学校に戻りたい」という気持ちが強かったのだろうと思います。

行きたい学校については、イギリス在住時に受験をして幸運にも合格をいただいた4つの学校のうちの1つです。これらの学校についての詳しい説明や受験の際の経緯は過去記事に約2万字に渡って書かせて頂いたのでそちらをぜひ読んでいただければと思いますが、親としては「行きたい」と思ってから試験のプロセスをゼロから始めるのと、既に行く学校のアテがあるのとでは全然違うので、良かったです。またそれらの学校を訪れた経験もあったのでその意味での安心感はありました。


ちなみに、娘が当時に試験を受けたプロセスをまとめると以下の表のような感じになります。Year6の時にイギリスのシニアスクール受験に挑戦し、Year7の初めに日本に帰国。そして東京にあるインターナショナルスクールに入学しました。

補足で申し上げると、合格をいただいたイギリスの学校における我が家の娘の状況は、「入学できる権利を有している」という状態でした。具体的に言うと、Year6の時点で合否が判明し、Year9で実際に入学するまでの2年間はプレップスクール(小学校)の高学年としてYear7とYear8を過ごすというのが一般的なので、この期間に日本に帰国した我が家の娘は、入学する権利を保持しているという状況だった事になります。

イギリスにおけるシニアスクールへの進学プロセス(試験などのイベント一覧)


家族と離れるけど良いのか?という点については予め調べていたようで、①ちゃんと寮があって、海外から来ている子供達も結構いる事(10%-20%)
②実はお休みが3₋4ヶ月に1回あって(冬休み/春休み/夏休み)、その度に日本に帰ってこれる事。お金がそんなに無いと思いながらも機会はあり。

という事でした。実は私も既に調べていたのですが、確かにイギリスという国は「ボーディング(寄宿舎)スクール」という仕組みが整備されていて、世界中から生徒を受け入れ、安全に生徒が勉強および生活ができるような仕組みが伝統的に整備されているようでした。

「寄宿舎=寮」というと、大学とか高校からなんじゃないの?とそれまでの私は思っていたのですが、イギリスでは7歳という年齢からボーディングスクールに通う子供達もいるという事でした。一般的なボーディングスクールは、14歳(Year9)から5年間かけて学ぶ(中学と高校の5年間)のが一般的なようで、その意味でも娘が「行きたい」と言い出したのは、タイミングとしては良かったです。

改めて以下にイギリスと日本の学年比較をした表をご確認ください。
先述した通り、娘は最初のイギリス滞在時に1つ学年を下に落としたので、14-15歳でYear9に入学した事になります。

イギリスと日本とアメリカの学年と年齢の比較



いずれにせよ、家族会議で色々と話す中で確認できたことは、
「娘の意志はそれなりに固そうだな」という事でした。もちろん中学生なのでどこまで本気且つ継続的な意志なのかは分かりませんが、本人的にはよく考えて家族会議に臨んだのは間違い無さそうでした。また何よりも、

娘が14歳ながら、自分の意志を決めて一人でイギリスの学校に行こう

という意志を決めて話してくれた事は、とても頼もしかったです。


一方で、親の立場としては「うーん」という感じでした。
何と言っても、

「14-15歳の女の子を海外の学校に一人で送り出して良いのか」

という基本的な問いが私自身にモヤモヤとありました。もちろんイギリスには住んだ事もあり土地勘もある場所ですが、

「それでも家族で住んで学校に通う」のと、
「一人で通わせる」

のでは雲泥の差があります。

何よりも、私自身がまだ子供と離れたくないという寂しい気持ちが、個人的には、めちゃくちゃ大きかったです。

加えてイギリスのボーディングスクールに行くという事は、基本的にイギリスもしくはアメリカの大学への進学を前提にするという事なので、改めて子供の教育をどうするかを決めるという事でもあります。既に日本でもインターナショナルスクールに通わせているとはいえ、更に教育の方向性を更に確定させるという意味で、とても重い決断事項でした。

最後に費用の問題も非常に大きな要素です。私自身はただ日本の企業に勤めるサラリーマンでしかありません。妻は帰国後に元々働いていた会社に復帰をしたので共働きではありましたが、両方の実家も含めて庶民なので、資産がある訳では無く、マイホームも無くマイカーすら持っていません。それまで働いて貯めてきた貯金を少しずつ取り崩して子供たちのインターナショナルスクールの学費に充てていたので、妻と共に働く事は必須で、且つマイホームとマイカーは諦めざるを得ないだろうなという事は容易に想像できました。イギリスの学校に行くとなると更に貯金を取り崩す必要があるという事も誰でも分かるので、お金の問題は非常にリアルな問題としてありました。

とはいえ、お金のせいで子供たちの選択肢や希望を狭めるという事だけはしたくない気持ちは強かったので、お金の問題は認識しつつも、あまり悩むことはありませんでした。「最悪教育ローンでも組むか。あとは75歳までコンビニででも働ければ良いか」という開き直りは比較的すぐにできたと思います。

ちなみに学費ですが、
■日本のインターナショナルスクール:250万円/年
■イギリスのボーディングスクール:600₋900万円/年(1ポンド:180円)

です。この学費の中に寮の費用、つまり生活費も全て含まれているので追加で食費や住居費の心配はありませんが、いずれにせよビックリする金額です。。。幅が600万円~900万円と大きいのは学校によって異なるからで、いわゆる、イートンやハーローなどの有名どころの学校になると800万円~900万円/年間というのが標準的な学費の相場だと思います。

まとめると、家族会議の後、以下のポイントについて妻とは1-2週間ほど議論を重ねました。

①14歳の子供を一人で海外に行かせて良いのか
②単純に親として寂しい(特にお父さん=私)
③お金(学費)が高い

妻は、同性だからか娘の事をある意味一人前の人間として捉えていて、
「本人の意志なのだから尊重すべき。仮に上手く行かなかったら日本にまた帰って来ても良いのでは」という立場でした。

なるほど、一理あるなと思いながらも私自身はどうするべきかをウジウジと悩んでいた時に、たまたま見ていたYoutubeでリコメンドされた動画が目に留まりました。それは、花まる学習会の代表である高濱 正伸さんの講演会の動画で、「子供の教育は子供の年齢やステージによって変わります」という趣旨の事を話されていました。具体的には、

4~9歳の幼児期とは異なり、11~18歳の思春期には、子ども自身が尊敬できる親以外の第三者、『外の師匠』の存在が必要」

花まる子育てカレッジ講演会より https://www.hanamaru-college.com/videodetails.php?id=83  

という事で、

「これってまさにうちの子供達に必要な事なんじゃないか」

と非常に心に刺さったのを今でも覚えています。
具体的には、親として子供達に対する教育について、子供は少しずつ親から離れる準備ができつつあるのに、一方で私はそれを受け入れる心構えというか、準備ができておらず、自分だけで悩んでいるという事なんじゃないかという事です。

高濱正伸さんは、その考え方において私が普段からめちゃくちゃ尊敬をしている人なので、「高濱さんが言うのであればそうなんだろうな」と自分を納得させたのを覚えています。

という事で、この動画を見た後に私の考えはずいぶんとクリアになってきて、基本的には娘をイギリスに送りだす方向に進んでいきました。


学習環境という面で言うと、娘の課題感としては以下のような点が大事なポイントとしてあるようでした。

■イギリスでの勉強や授業のやり方が、「○○を覚えましょう」ではなく、「あなたはどう思うか?」などの考え方を議論したり、色々な実験や実体験を通して自らトライをしてみる事により主眼が置かれている事。そしてそこからの学びが、我が家の娘にはとても合っていると思う事。

■日本のインターナショナルスクールよりも、イギリスの学校の方が、この学びを最大化できると思うこと(先生の感じや環境面で)。

■イギリスが好きな事(イギリス在住時の良い記憶)。たぶんこれが一番大きなポイントと予想。


ちなみに「英語力をキープしたいから」という理由は、大事なポイントだとは思いますが、理由としては大きな理由ではありませんでした(むしろ日本語が疎かになる心配の方が大きかったです)。私自身の経験を踏まえると、英語は大人になってからでも身に付くと思います。もちろん「ザ・ジャパニーズイングリッシュ」な私の英語は流暢では無いですが、コミュニケーションで困った記憶は、あまり多くありません。それよりも、特に子供にとっては「どんな学び」をするかの方が100倍も1000倍も大切だと思います。

もちろん、日本の中学や高校に行ったからと言って、良い学びができない訳では無いですし、良い学校も実際にはたくさんあると思います。が、それまでのイギリスでの良い学びの経験(これが一番大きな理由)がイギリスの学校へ戻るという決め手でした。最後に、息子も含めて子供達が「イギリスの学校の感じが良い!」と声を揃えてハッキリ言っていた事も大きな理由です。


という事で、色々と考え抜いた後に妻と私は

「イギリスの学校に進学させよう。お金やその他の問題もたくさんあるけど、まずは動いてみよう」

という結論を出しました。
そうして具体的に娘を送り出すための準備を翌年の2月頃から進める事になります。

-VISA
-学校入学に向けた準備リスト
-入学に向けた学校とのやり取り

等です。

また、今回も文章が長くなってきたので次回に続きます。

今回も長々と書いてしまいました。いつも記事を読んでいただきありがとうございます。皆さんの参考になれば嬉しいです。
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