ウィキペディアに写真を撮って載せる
ウィキペディアを編集し続けてもう10年だ。そしていまだにウィキペディアには、出典が足りない。正確性が足りない、客観性が足りない。DPZの林さんは「事実はいらない。ウィキペディアで調べられるから」と言った。その事実すら、ウィキペディアに足りない。
例えば画像が足りない。この古墳の記事がそうだ。
この虫眼鏡の画像や、「画像をアップロード」の文言などは、画像提供依頼がでているとこうなる。「この記事には画像が必要です」という意味である。
誰かがこの古墳の画像を撮ってアップロードしない限り、古墳の姿はわからない。高さ何メートルだとか幅何メートルだとかのデータはある。そしてそれだけだ。見なけりゃわからない。
行こう。撮りに。駅から遠いけど。ウィキペディア活動はボランティア活動。だから、いいことだ。いいことをしよう。駅から遠いけど。
ついでの撮影が多すぎる
清水駅からレンタサイクルで、目標の三池平古墳へ向かう。予報では「どうにか曇りで……なんとか」という自信がない時の営業みたいなテンションだったが、案の定出発した時点で降っていた。
今日とるのは古墳だけではない。題材が古墳の近くにあって、他にも画像が必要な記事をあらかじめ調べておいた。石碑とビルとジャンクションだ。これが部屋とTシャツと私なら自宅で撮れるのになぁ。今回は古墳まで往復9kmだが、実際の走行距離は12kmぐらいになった。雨の中を。
レンタサイクル代は600円。電車賃あわせれば1000円を超える。ウィキペディア財団からお金は出ない。でもウィキペディア活動はボランティア活動だからいいことだ。いいんだ。そうでしょ。
雨が強くなってきたぞ。
石碑の撮影
まずは、秋葉山公園にある、清水工業高校の跡地の石碑へ。
石碑をとるときは、なるべく正面から撮る方がよい。ウィキペディアの画像はあくまで説明するためにあるのであり、こんなかっこつけた変な傾斜はつけなくてよい。そんじょそこらのスマホですら「正面からの画像に直しますか?」と確認してくる。
ではなぜ正面から撮らなかったかというと、この石碑の表面がツルツルだからである。
表面がツルツルだと、撮影している私の姿が反射してうつってしまう。
これでは使えない。
表面がツルツルなら、斜めから撮ろう。そうでなければ、正面から撮ろう。
建物の撮影
次の題材はジャンクションとビルだ。この時なんと、雨がやんできた。天が味方してくれている。次の撮影ポイントへ向かう。東名高速の清水ジャンクションへ。
ウィキペディアにはもともと、本線上から撮った、清水ジャンクションの標識だけがあった。しかし標識は、ジャンクションそのものではない。ジャンクションとはすなわち、このうねる道路である。
晴れてきて本当に良かった。映えるから、というよりも、曇っているとグレーのコンクリとグレーの雲の境界がわかりづらくなるからだ。
続いて、上の画像にもある、株式会社IAIの本社ビルを撮りに行く。
ジャンクションは周りが開けていて、うまいこと(順光になる)南側から撮れた。あのIAI本社ビルの撮影ポイントも同様に、順光、かつ邪魔なものが映らないような撮影ポイントを探しに行く。
すさまじい坂だ。地は味方してくれていない。しかもおそらく私有地だから許可なく入れない。農作業中の人がいれば声をかけようかと思ったが、いなかった。
古墳(大規模構造物)の撮影
そしてようやく、今日のほんとうの目的である三池平古墳へ向かう。標高はだいたい55メートルぐらいだから、出発した清水駅からの標高差は50メートルぐらいある。
レンタサイクルにアシスト機能があるものの、晴れすぎて暑い。さすがに曇ってくれないかなあ、と思っていたら、曇ってきた。天はわたしに味方してくれている。なぜならボランティアはいいことだからだ。そうでしょ。
全長65メートル、後円部径43メートル、前方部幅36メートル。大きすぎて、どの方面から撮っても入りきらない。
遠くから撮ろうにも、木にさえぎられてただの森にしか見えない。想像以上に古墳が大きすぎて、古墳を丸ごと撮ることができない。どうしよう。
国土地理院に頼ろう。
小さいものの撮影
帰りの清水駅のキヨスクを見ると、静岡の土産菓子の「こっこ」が売っていた。ウィキペディアで調べると、「こっこ」の画像がない。
撮ろう。2個入り250円。
「こっこ」という土産菓子は、黄色くて丸くて、シャモシャモした紙で下がつつまれていて、さらに中に白いクリームが入っている。
これを三枚の画像で説明するのはかったるい。書く方としても、読む方としても、一枚の画像で済めばそれに越したことはない。
で、2個入りというのはまさに願ったりかなったりである。すなわち、片方は紙をむき、もう片方は中身を見せればいい。
まとめ
この半日の遠征によって、ウィキペディアの5つの記事に、新たな画像が増えた。実際に検索してみると、私の撮った画像がグーグルやウィキペディアに出てくる。ウィキペディアの画像は(国土地理院などの公機関でないかぎり)ほぼすべて、こうやってボランティアが撮影している。
この記事を読んだ人の中から、ウィキペディアに画像を挙げてくれる人が一人でも出てくると、私はとても嬉しい。日本の画像提供依頼は、たまりにたまっている。