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安さだけでは生き残れない? 変わりゆくラーメンの適正価格
昨日、家族とラーメンを食べに行った。店頭で見かけたメニューはほとんどが1杯1,000円未満であり、消費者としてはありがたい価格帯だと感じた。しかし、昨今の物価高騰や材料費の上昇、最低賃金の引き上げなどを考えると、その価格で本当に十分な利益を出せるのかという疑問が湧く。飲食店に出向いた際、スタッフが少人数で大変そうに働いているのを見ると、経営の厳しさをつい想像してしまうのだ。
近年、ラーメン店の倒産が増えているとメディアやネット上でしばしば取り上げられている。ラーメンは日本人にとって日常的かつ人気の食事であり、海外からの観光客にも好評だ。そうした背景もあって参入障壁が低いぶん競争が激化し、結果として生き残りが難しくなっている面があるように思われる。
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帝国データバンクによれば、2024年に倒産した「ラーメン店」経営事業者(負債1000万円以上、法的整理)は72件にのぼり、前年の53件から3割超増加したという。人件費や電気代、原材料コストは相次いで上がる一方で、「ラーメン1杯=千円の壁」に代表されるように価格転嫁が難しく、閉店に追い込まれる店舗も少なくないようだ。
実際、全国平均で見てもラーメンの単価は700円を下回る水準が続いているとされ、値上げが進んではいるものの材料費や人件費の急騰には追いついていない。消費者にとってラーメンは「安くてうまい」イメージが根強いが、トッピングを付けずとも1杯あたり1,000円を超えると客足が遠のくとも言われる。そうした心理的ハードルが「適正価格」の設定を難しくし、利益確保を困難にしている要因でもある。
フレンチなどでは1,000円超えが当たり前の料理もあるが、日常的な外食ではラーメンに限らず「1,000円の壁」は存在すると考えている。アメリカではラーメンが3,000円ほどすると聞くこともあるが、日本ではラーメンはまだまだ「安価で気軽に食べられるもの」という位置づけが大半だ。
しかしながら、材料費が今後大幅に下がるとは考えにくく、最低賃金がさらに上がる可能性も高い。とりわけ中小の事業者にとっては負担がいっそう重くなるだろう。一方、大手チェーン店は規模のメリットによって仕入れコストを抑えやすく、味も一定の水準を保っている。どこへ行っても見かける大手チェーン店ばかりが増えていくと、地域色や個人店ならではの個性が失われてしまうのではないかという危惧もある。
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興味深いのは、コスト高騰の状況下でも増益を果たしている企業が4割近く存在していることだ。つまり、方法と対応次第では十分に経営を成り立たせる道があると示唆されている。コスト削減、省力化、付加価値の向上、そして必要に応じた値上げなど、経営努力で乗り越えられる可能性があるということだ。
消費者としては1,000円を超えない価格であってほしいという気持ちもあるが、将来的にはそうはいかなくなるかもしれない。安さと美味しさのみを追い求める姿勢を続けていれば、日本の生産性向上はいつまでも実現しないのではないだろうか。適正価格をしっかり転嫁しつつ、付加価値を高め、無理のない範囲で省力化を図ることが望ましいと考える。
ラーメンはこれからも日本の食文化の中心であり続けると確信している。だからこそ、地元の小さな店舗が経営を続けられる環境が失われないよう、われわれ消費者も「安かろう、うまかろう」だけではない多様な価値観を受け入れていく必要があるのではないだろうか。美味しいラーメンを手軽に楽しめる喜びを、末長く守っていきたいものである。
浮島達雄
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