事業再構築補助金第12回公募の採択結果を通じて思うこと
先日、事業再構築補助金の第12回公募の結果が発表された。
採択率は26.5%と、前回の第11回公募と同様に非常に厳しい結果となった。
第10回公募の採択率が48%であったことを考えると、
採択率はかなり低下していることがわかる。
業種別の採択率を見ても、
製造業が43%と他の業種よりも高い数値を示しており、
建設業が25%、宿泊・飲食業が20%、生活・娯楽業が12%、不動産業が10%となっている。
特に製造業は他の業種よりも10ポイント以上高くなっており、
業種的に優遇されているといっても過言ではないだろう。
昨年の行政レビューで指摘された
エステやコインランドリー、インドアゴルフなどの業種は、
ほぼ採択されていない状況だ。
また、以前は比較的高い採択率を誇っていた
民泊やグランピングなどの宿泊業も同様に厳しい結果となっている。
製造業の採択率が高い背景には、
建物費の計上が少ない製造業が優遇された可能性があると考えられる。
事業再構築補助金は建物費の計上が絡むと、
交付申請や実績報告で多くの時間を要することがある。
差し戻しが10回を超えることも決して珍しくなく、
手続きが非常に煩雑である。
交付決定までに半年以上かかることもある。
この補助金が過去の不正行為を受けて
審査が厳格化されたのは理解できるが、
この補助金の趣旨である「コロナ禍を乗り越える支援」という目的から大幅に逸れてしまっている印象を受ける。
こうした状況から、補助金を途中で辞退するケースも増えている。
事業再構築補助金だけでなく、
ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金も、
今年は非常に厳しい審査が行われた。
一方で、不正が横行していると言われている「IT導入補助金」は高い採択率を維持しており、不均衡さが感じられる。
最近では、賃上げ要件などが加わり、
制度が複雑化している。
このようなルールは一度見直した方が良いと考える。
特に「最低賃金を上げれば補助金を出す」という方針は、
他の省庁の補助金にはあまり見られないものであり、
企業に対するペナルティのような条件は廃止するべきである。
実際に補助事業に挑戦し、
それが結果につながるかどうかは保証されていない。
新たな取り組みを行うこと自体、
企業にとっては大きなリスクである。
経営は外部要因や内部要因に左右されるため、
補助金事業以外の影響も常に受けている。
そのため、経営環境が悪化した際に
「ペナルティ」として補助金を返還させられるのは、
国の一方的な都合であり、不合理であると感じる。
制度を作る国や審査を行う担当者は経営者ではないため、
こうした現場の感覚に欠けているのではないだろうか。
事業再構築補助金の予算は、
不人気な「中小企業省力化補助金」に多くが割かれており、
来年度の開催は不透明である。
コロナ禍が収束したことから、
この補助金の目的自体が時代に合わなくなってきているとも言える。
もしかすると、来年度には
物価高騰などの新たな課題に対応するための
再構築支援制度が設けられる可能性もあるのではないか。
今年は中小企業向けの補助金制度の公募回数や採択率が減少したことから、
市場全体の設備投資が抑制されたのではないかと感じる。
私は、日本経済を活性化させるためにも、
もっと国の予算を中小企業支援に充ててほしいと強く願っている。
現在の緊縮財政では、日本の未来は決して明るいものにはならないだろう。
浮島 達雄
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