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『がんになってわかった お金と人生の本質』を読んで
著者は2022年の夏に食道がんが見つかった。
本書は、がんと向き合いながらの心の葛藤や意思決定の過程をつづった記録である。
がんという現実に直面したとき、
人はどのように考え、どのように行動し、何を大切にするのか。
本書はその答えを探る旅のようなものだ。
日本では、2人に1人ががんにかかり、
3人に1人ががんで命を落とすといわれている。
たとえば、あなたの周りに3人いれば、
そのうちの2人ががんにかかり、
1人はがんで亡くなるという現実があるのだ。
この統計が示すのは、がんが私たちの日常にどれほど身近なものであるかということだ。
私たちはがんという病気を遠い存在だと考えがちだが、
それは実際には非常に近くに潜んでいる脅威である。
著者は余命を告げられてから、
自分の死や限られた時間の存在を強く意識するようになったと語っている。
それにより、何が本当に大切なのかがはっきりと見えてくるのだという。
限られた時間の中で、何を優先し、
どのように生きていくのか。
その選択は、健康である私たちにとっても重要なテーマである。
私たちは健康であることがまるで当たり前だと感じがちだが、その"当たり前"は何かのきっかけで一瞬にして崩れ落ちることがある。
病気や事故など、どんなに健康に気をつけていても予期せぬ出来事が起こり得る。
そのような可能性を頭の片隅において、日常に感謝し、健康であることを大切にしながら過ごすことがいかに重要かを改めて考えさせられる。
先日、私はサウナで外気浴をしているとき、
空を見上げながらふと考えた。
「もし自分が病気でベッドに伏していたら、この空を見て何を思うのだろうか」と。
健康で自由に動けることが、
どれほど貴重なことか改めて感じた。
普段の生活の中で、私たちは健康の有難みを忘れてしまいがちだ。
しかし、健康であることがどれほどの幸せか、
失ったときに初めて気づくのでは遅いのだ。
この記事を読んでいる多くの方も、
健康であることを当然だと感じているかもしれない。
しかし、誰しもが限りある命を生きており、
先に述べたように2人に1人はがんを患い、3人に1人はがんで命を失う。
この現実を受け止め、健康な日々に感謝する気持ちを持ち続けることが大切である。
本書のタイトルにある「お金と人生」については、
以前の記事で取り上げた『DIE WITH ZERO』と同じ考え方が根底にある。
若い頃に貯金ばかりしても、
老後にそれを使い切ることができなければ、意味がない。
今という瞬間を大切にし、
お金をどう使うのかを真剣に考えるべきである。
お金は墓場まで持っていくことはできないし、
若いときにしかできない体験や挑戦もある。
著者は、がんを告知された後、自分の余命を計算し、
その限られた時間に合わせて生活の優先順位を見直した。
そして、がんの転移などで時間がさらに限られたとき、
そのたびに再びポートフォリオを組み直してきたという。
その過程と考え方、そして得られた結果が本書には包み隠さず描かれている。
著者が実際にどのように生活を見直し、
どのように自分の時間を使うべきかを考え抜いたか、
その具体的なプロセスが読者に多くの示唆を与えてくれる。
家族との時間、
仕事でお客様と関わる時間、
そして自分一人の時間
——どの時間も大切にし、今を生きることの意義を考えさせられる。
本書を通じて、私たちは「生きること」と「死ぬこと」についてより深く考える機会を得ることができる。
そして、どのようにお金を使い、
どのように人とのつながりを大切にしていくべきか、
改めて考えるきっかけとなる。
がんと向き合う著者の姿勢は、
私たちにとって最も大きな関心事である「生きること」と「死ぬこと」について、多くの気づきを与えてくれる。
その中で、
お金の使い方、
時間の使い方、
人との関わり方について、
一人ひとりが見つめ直すべきテーマが見えてくる。
本書は、がんという病に直面した著者の真摯な記録であり、
同時に私たちが今後どのように生きていくべきかを考えるための指針となる一冊である。