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おっさんが10年間通勤時間に英語を聴くとこうなった

ロサンゼルスの入国審査で、「さいとう寝具店でーす!」(sightseeing ten days)と発するおっさんがいた。現地で宿泊したホテルにあるテレビのCNNだかABCニュースを見ても何を伝えようとしているのか全く理解することができず、聴きとれるようになる手段さえ頭に浮かばなかった。唯一、映画チャンネルHBOで放送していた”インディ・ジョーンズ最後の聖戦”のセリフのない場面だけは楽しめた。
帰国してから何を思ったのか、そのおっさんは英語を必死になって勉強せず、ただ10年以上聞き流しを続けることを決意した。おっさんは、その年で英語を覚えても役立つことも限られているだろうし、しかしデメリットはなさそうなので続けた。耳にイヤホンを装着して自宅から駅まで歩いた、そのまま電車に駆け込んだ。
イヤホンに集中していたつもりでも、無意識に頭の中の回路が停止してしまって、イヤホンからの音が子守唄になっていることもしばしば。
不思議と苦痛はないので、とりあえず続けるだけ続けた。
スタートしたのは40歳後半の頃で、もう10年以上続けたことになる。
実は、とにかく通勤時間をドブに捨てることだけは避けたかっただけである。
そのおっさんは私だ。

結論から言うとこうなった

✔ とにかく単語だけはよく聞き取れるようになり単語もたくさん覚えた。
✔ 単語のアクセント位置が自然に身に着いた。
✔ リーディングは日本人式棒読みを卒業することができた。
✔ 字幕なしの洋画鑑賞では何を言っていることがわからないことがまだ多い。しかし理解できる場面がちらほらあり字幕が直訳ではないことがわかるようになった。
✔ 音声ニュースは話題が推測できる場面になると100%理解できることはあるが、理解に苦しむこともあり、かなりのムラがあると感じる。何の話題だということはわかるようになった。
✔ シャドーイングの能力が向上した。
✔ ディクテーションの能力が向上した

通勤時間と引き換えに、何かしら得られるものがあった。

具体的に何をイヤホンで聞いていたか?

「キクタン」と「Podcast」を交互に聴き流し、それだけ。
キクタン:20分/Day
Podcast:80分/Day

キクタンとは

ご存じ本屋さんに売っているCD付きの本、音楽のリズムに乗って英語単語→日本語訳の繰り返しを聴く教材だ。
無限リピートして長時間聴く勉強法、バックグラウンドに軽快な音楽が流れているので脳は拒否しないが、心地よいので脳が眠ってしまうこともしばしばあった。
集中していれば英単語の暗記もできたが、単なる聴き流しでは暗記はできなかった。
しかし、驚くことに英単語の発音が聞き流しによって脳に溶け込んでいく。
溶け込んでも自覚は無いが、Podcastのナチュラルスピードの英語を聴いてみると英単語がくっきり浮かび上がって聴き取れるのだ。
聴き取れると聴いたことある単語なのだけど、意味は何だったか?となる。そうなるともう半分完成だ。その場で辞書やスマートフォンで意味を調べると、そこで完成する。その聴き取って意味を調べる行為で脳の抽斗<ひきだし>に単語の発音とその単語の意味がセットになって格納される。この抽斗には、日本語訳ではなく単語の意味を格納するようにする。一発ではなかなか難しく、数回その場面に遭遇すると完全なものになっていった。
キクタンを聴いていると、知っている単語、初めて遭遇する単語、アレっと思う単語に分かれる。その、アレっと思う単語は意外と覚えやすいのだ。最近出くわした単語でいうとrecite=朗読する、後日気がついてリサイタルの動詞だとわかるという風に。
このキクタンで脳に溶け込んだ単語であれば、ナチュラルスピードでも、さらに早口でも、映画で遺言(笑)のセリフの場面でも単語だけはわかるようになる。
英語は発音できなければ、ヒアリングもできないと聞いたことがあるが、あれは大きな間違いであると確証した。
そして、キクタンで聞いた単語のスペルは見ておいたほうがよい。
そうしないとキクタンで覚えたはずの単語が入った英文が読めない!(笑)
キクタンで脳の抽斗に、「聴く能力」と、「意味」を入れたが、もうひとつこの大まかなスペルも入れた方がよい。試験を受けるわけではないので、スペルは映像として記憶するだけにしている。
脳に溶け込むまでには、ひとつのユニットを繰り返し一週間ぐらいは聴いている。不足していたらさらに一週間追加といった感じで調整が必要。全て覚える必要はないので、適当なところで次のユニットに進むこともある。

恐るべし、キクタン!

このキクタン初期はCDしかなかったが、昨今スマートフォンのアプリで入手することができる。アプリであればスペルや例文がすぐに表示されるので便利だが、残念なことにアプリの品質が悪いためアプリが強制終了(私のスマホだけか?)することが頻繁に発生する。
アプリの更新はないため改善は絶望的。

Podcastとは

音声を自宅のWi-Fi環境でダウンロードして、外でラジオのように楽しむもの。
海外のコンテンツをダウンロードすれば、英語の教材になるってことだ。
当時から今まで聞いていたPodcastの番組を思い出してみると・・・
✔ CNN News
✔ English as a Second Language (ESL)→有料化に伴い現在は聞いてない
✔ WSJ This morning
✔ Voice of America Learning English→シャドーイングに適切
✔ ECC英会話
✔ 実践!Let's Read the Nikkei in English

色々と聴いたが、現在では毎日更新の30分番組WSJ This morningが一番のお気に入りだ。
毎日聴くものなので、更新間隔が長い番組は敬遠ぎみになり一日一回以上更新するニュース系になってしまう。
しかし、Podcastを聴き流すだけでは、英語を聴いて理解する能力は全く向上しない。
それだけは言える。
唯一、英語を話しているリズムだけは身についたと思う。
だから、あのキクタンがセットで必要なのだ。
キクタンとPodcastはチャーハンと餃子のようなもの。

雑談

最近、ある半日の英語講座に参加するチャンスがあった。
講座の中で講師が、これ聞いてみてと言って突然英語の音声を再生した。
何を語っていたのか隣の人と話し合いなさいというのだ。
私は隣に首を回転させた、わかってはいたのだが若い娘じゃなく若い係長っぽい男だ。その係長は「ヤバ、ワッケンネエ」と呟いた。私は聴き取ったことを100%ではないがその係長にやさしく話してあげた。
講師が答え合わせをしたら概ね聴き取った内容と合致していた。やさしく話した私は心の中で力強くガッツポーズをしていると、係長はこっちを向いて「このおっさんヤベエ」と目が喋ったのだ。
本当は、係長は目で舌打ちしていたのかもしれない。
そんなこともあり、多少の自信も出る場面もちらほら。

最後に

何もTOEICや英検を受験するつもりはない。
趣味の範囲でこれからもまだまだ続ける、
  「キクタン+Podcast」の聴き流しを。

おっさん達よ!
明日から英語の聴き流しにハゲめ!

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