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『荘子』中の孔子
『論語』微子篇に、孔子が楚の変人・接輿(せつよ)に会った話がある。
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楚の狂接輿が歌いながら、孔子の側を通り過ぎて言った。「鳳よ鳳よ、なんとまあ、徳の衰えたことか。過去は改めようがないが、未来はまだ間に合う。よしな、よしな。今の政治に携わる者は危ないぞ」。孔子は車から下りて
彼(接輿)と話そうとしたが、走って身をかわしてしまい、話すことがてきなかった。
『荘子』人間世(じんかんせい)にも同じような話があるが、接輿のセリフ?はもっと長い。
「あわれ気高き鳳よ、なんじが徳こそ衰えたれ、
見ぬ世を待つは詮もなく、往にし世追うも甲斐あらず。
聞くならく、道の天下に在るあれば、聖人は己が身を修め、道見えざれば、独り生く。
さてこそあらめ、今し世は道の見えざるのみならず、罪免れんこと難し。
羽より軽き福も、手に取る方便さらになく、地よりも重き禍いも、避けん手段なし乱るる世。
されば、やみなん、仁義もて世をも人をも導くは、
危なからずや汝が所業、大地に直き法だに彫らばやと、憩わん日止めん日知らに走りあるくよ。
さもあらばあれ棘木や、我が歩み行く足脛を、うたて傷つくることなかれ、我が歩みかつ引きかつ巻きたゆえば、やよ傷つくることなかれ。」
こちらは、孔子が車から下りて話そうとするシーンはない。
『荘子』には、孔子が出てくる章がいくつかあるが、たいていおちょくられる場合が多い。老荘思想の荘だからかなぁ?
🐻