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オーノー、木村拓哉

Netflixで「グランメゾン東京」を観ている。面白い……。

私が生涯で全話見た記憶のあるドラマ→ごくせん、瑠璃の島、女王の教室、野ブタをプロデュース、ウヨンウ弁護士は天才肌、アンナチュラル、MIU404
以上

ご覧のとおりほぼドラマを観ずに過ごしてきた生涯、キムタクが主演のドラマは星の数ほどあれど、これまで何ひとつとして触れてこなかったので、私が持つキムタクの知識や印象は薄い。

せいぜい、元SMAPである、明石家さんまと仲がいい、工藤静香が嫁、結婚発表当時に私の母親が「静香かよ!?!?」とテレビ前で絶叫していたこと、キムタクと工藤静香のハイブリッドとしか言いようがない顔の娘たちがいる、時々番宣でバラエティに出ているのは見るけど錚々たる芸能人軍団の中でもキムタクの雰囲気はちょっと浮いてんな……と思うことがある、くらい。

キムタクって、すごいかも。人生初キムタクドラマの人間がすみませんが、キムタク、すごい。

よく聞く「キムタクって何やらせてもキムタクだよな」たしかにそうだろうと思う。
まあ他を見てないから知らないけど、でも別にSMAPファンでもドラマっ子でもない私がなんとなく抱く「木村拓哉」イメージと、画面の中でコックスーツを着ているグランメゾン東京の「尾花夏樹」のイメージはそっくりそのまま重なる。

役自体が木村拓哉への当て書きなんだろうな〜とも思うし、脚本家が木村拓哉を想定して書いた「キムタクらしさ」を本物のキムタクがすべてさらりと呑みこみ膨らませている気もする。すごい。「キムタクって何やらせてもキムタクだよな」その言葉が示すのは落胆や揶揄ではなく、キムタクの素晴らしい安定感や圧倒的存在感への賞賛であるべきだ。



いちばん何にビビったって、キムタクの顔。

キムタク、かわいすぎ!!!!!

キムタクの視線は、いつもじっとりとこっちを刺す。あんまり真剣に見るから、こっちもついじろじろ見返してしまう。
あ、二重幅そんな広くないんだ。いや違うむちゃくちゃ並行なきっちり二重だ、目を伏せるとわかる。唇の形が特徴的だ。上も下も厚いのに、顔全体としてはバランスが取れている不思議。口角はいつも下がり気味で、いつも少し挑発的なような、不機嫌なように見える。なのに、笑うと、


えーーーーーーーーー!


笑うと、かわいすぎる!!


木村拓哉の笑顔は沢村一樹とは全然違う。突然沢村一樹?なぜ?と思う方、すみません。彼もグランメゾン東京に出演しているので。

彼もすごくチャーミングだった。沢村一樹は、常に口角の角度から目尻のシワの数まで計算され尽くした完璧な笑顔を作れる。余裕があって、爽やかで、穏やかで、私の帰る場所。それが沢村一樹の笑顔。
玄関を開けたらあの笑顔。おかえり。ただいま。「今日は俺の方が早く帰れたから」とあの笑顔で豚汁をかき混ぜるエプロン姿の沢村一樹。それを後ろから抱きしめる私。エプロンの下の部屋着から柔軟剤と汗とやや油っぽい匂いがする。
「おじさんの匂いがする」と言う私に「ちょっと、火使ってるから!」と困ったように、あの笑顔。沢村一樹は、そう。

一方木村拓哉の笑顔はといえば、

もう、むちゃくちゃ、

ガキンチョなのである!!!!

つまんねーー。楽しくねーーー。負けたくねーーー。そんなふうに不機嫌に歪んで見える彼の顔が、ふと綻ぶ瞬間の、その愛嬌といったら!

笑ってー!楽しそうに!楽しんで!満面の笑みで!ちょっとニヒルに!いたずらっぽい感じで!などなどなど、生涯で数え切れないほどの回数と種類の笑顔を求められてきただろうアイドル・木村拓哉なのに、彼がドラマで作る笑顔は全然、作られていない。いたずらが見つかった子供のような、面白い漫画を読んでいる時のような、超えたい壁が見つかったときの流川楓のような。

心の底から湧いて出るようなその笑顔に、私はやられてしまった。

木村拓哉の笑顔は、少女漫画のヒーローの笑顔だ。

いつもはぶっきらぼうなのに、ヒロインの突拍子もない言動に「ぶはっ」と吹き出し、顔をくしゃっとさせて笑うヒーロー。よくあるやつ。キラキラのトーン貼られて。ヒロインは目を見開いて。
「……いつもそうやって笑ってればいいのに」
「は?何急に」
「あ!なんでやめちゃうの!もっかい!もっかい笑って!」
「笑ってって言われて笑えるかよ」
「お願い!」
「うぜーって」
ほらもう、完全にキムタク。


あとキムタクが女の子に料理教えるシーンあるんですけど、その絵面を見た瞬間、人生で感じたことがない部類の興奮を覚えて怖かったです。「木村拓哉が女の子に料理を教える姿」というピンポイントすぎるツボが私の中にあるらしい。

グランメゾン東京、最終回だけを残して観られずにいる。観たら終わってしまうから。観たらこのキムタクとはお別れだから。尾花夏樹、好きだぜ。
このキムタクが終わって、期待を持って次のキムタクに触れたとき、「私の好きなキムタクじゃない!」ってなったらどうしよう。

まあキムタクは何をやってもキムタクとの評もあることなので、恐れずに、いきたい。
私は、ともすればすべて嘘になってシラケてしまいそうなドラマの世界をどこまでも「生」(なま)にする木村拓哉の演技が好きです。せい、ではなく、なま。


全然関係ないけど、沢村一樹が「さわむらいっき」と「さわむらかずき」のどちらなのかの自信が持てず、人前で沢村一樹のことを呼べずにいる。どちらでしたか?

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