「その日、朱音は空を飛んだ」読了しました。
武田綾乃さんの「その日、朱音は空を飛んだ」を読みました。
物語は進学校に通う川崎朱音が、いじめを苦に自殺したところから始まります。
川崎朱音と関わりがあった人物の考えや行動を、1つずつ追う展開です。
何故、彼女は自殺をしたのか。
これは本当にいじめだったのか。
学校という狭い世界の中で起こったスクールミステリーです。
読了後、怖いなと思いました。
物語としても怖いと感じたのですが、人の感情1つでたくさんの人を巻き込む行動力。
思いついた時は、そこまで大事にならないと考えていた。
けれど実際は、行動してたくさんの人が関わることになってしまった。
朱音自身に信念はあったけれど、正しいか正しくないかは分かりません。
でも辛かった。そのことは分かります。
学校、1クラスという狭い世界の中で、どの登場人物もみんな抱えている感情は共感できます。
（個人的には、川崎朱音と朱音の幼馴染みの高野純佳に共感しました）
誰が悪い悪くないの話ではないのですが、朱音と朱音の関わる人たちがちゃんとコミュニケーションを取れていたら、最悪な結果は変わっていたのかなと思ってしまいます。
また朱音自身が、行動、言動を変えていたら孤立を防げていたと感じます。
大人でもなく子供でもない、彼ら彼女らの感情描写が刺さる1冊でした。