2週間で利回り4000%超を達成したトレーディングbot構築の考え方
UKIです。
6月に行っていたBTC-FXトレードの1万円チャレンジ(原資1万円を何倍にできるか)において、botによるトレーディングで2週間で+4678%(利益額+46万円)を達成しました。チャレンジ途中には、bitFlyer取引量ランキングにも入っていました(最高7位)。
また現在開催中のトレーディングbot成績を競う天下一bot会では、らっちょさん(@rc_uni0907)やまさおさん(@masao_FX)が高利回りを叩き出しています。
今回、このような高利回りbotを構築するための考え方をまとめます。
1.高利回りを達成するための考え方
実は、高利回りを達成するための考え方は連載中の「シストレのススメ」に全て記載しています。重要なのは以下の3点です。それぞれについて詳細を知りたい方は、各リンクをご参照下さい。
(1)トレード数を極限まで大きくする(シストレのススメ第3回)
(2)期待値の阻害要因を徹底的に排除する(シストレのススメ第4回)
(3)統計的に有意な投資指標を採用する(シストレのススメ第3.5回)
考え方は単純です。
投資指標の持つ統計的有意性をベースとし、大数の法則によって獲得利益を安定させるとともに複利効果を活用する、まさしく王道の考え方となります。今回のチャレンジでは、シストレのススメに記載した内容を自ら実証することができたと考えています。
2.具体的な手法
(1)トレード数を極限まで大きくする
トレード数を稼ぐためには当然高頻度で売買を行う必要があります。今回、私が使った手法はスキャルピングです。
・ある投資指標に従い、5秒間隔で買いか売りのどちらかに指値発注する
(5秒でタイムアウト)
・累積ポジションは、反対方向のシグナルが出たときに全決済する
(例.0.1の買い注文が3回約定した場合、次の売り注文は0.3を出す)
・利確・損切は設定しない
今回の私の戦略は、板の上下に指値を出すわけではありません。ただし指値を供給し続けるという意味ではマーケットメイク戦略の1つと言っても良いかもしれません(実際にマーケットメイク戦略には片側しか指値を打たないテクニックも存在します)。
この売買シーケンスには改良の余地が多分にあると思います。らっちょさんやまさおさんをはじめ、での人さん(@de_no_hito)やヨーロピアンさん(@sen_axis)など他のランカーは、このような単純な手法は使ってないと思います。
(2)期待値の阻害要因を排除する
この戦略は指値注文を使います。指値にしている理由は、スプレッド損失を抑えるためです。最近のbitFlyerではスプレッドが狭くなってきていますが、それでも成行注文で高頻度な取引を行うことは不可能です。
また、取引量が大きくなると自身のマーケットインパクトによって利益が出なくなります。今回のチャレンジでも、途中まではきれいな右肩上がりの日次損益曲線を実現していましたが、一定のロットを超えた後はきれいな右肩上がりを実現することが困難となりました。このような高頻度取引はマーケットインパクトにより途中で複利効果が頭打ちになります。高利回りを達成するために初期資金を低く設定しておくのも重要なテクニックの1つです(笑)。
もう1つ重要な要素が機会コストです。約定させようと発注しても、システムやネットワークの遅延によって約定を逃がすことが多々あります。この辺りも最低限のケアは必要と思います。私は専門家ではないので、これに関する対策は本当に最低限のものだと思います。
(3)統計的に有意な投資指標
今回のチャレンジで採用した投資指標は非公開です。今回はその特性のみを公開します。投資指標のパフォーマンスは情報係数で判断します。今回採用した投資指標は情報係数がおよそ0.17程度であり、かなり優秀な指標だと思います。
どのような指標が優れるかはご自身で探索すべきです。マーケットには永久に効果のある投資指標など存在しません。ご自身で探索した経験が次の発見への手掛かりとなるのです。
参考までに、短期の予測指標の候補としては以下のようなものが考えられます。
(a)テクニカル
BTC-FXは未成熟な市場であり、短期のリバーサル指標が効果的である気がします。またTick幅が1円に設定してあるためキューの概念がありません。チャート形状も汚く直近のヒゲや出来高が情報を含んでいる可能性があります。
(b)約定情報や板情報
約定情報(1回の約定サイズやテイカーサイドなど)や板情報は、通常のOHLCの価格情報には表れません。バックテストも難しく、それゆえ何かエッジが隠れている可能性があります。
(c)裁定
BTC現物・先物の値動きや他取引所の値動きによって、BTC-FXの値動きを説明できる可能性があります。自己の取引所だけでなく他にも目を向けてみることで何か発見があるかもしれません。
(d)市場間連動性
為替や商品の値動きによって、BTC-FXの値動きを説明できる可能性があります。特に為替はJPY建てのBTC-FXに影響を及ぼす可能性があります。
3.今後、市場はどう変遷するか
このようなbotが注目を集め、皆が作り始めると指値が供給過多になり約定競争が始まります。それによってスプレッドはさらに縮小し、市場の効率化も進むことでしょう。
アルファを観測できたとしても、それを得るためには更なる執行能力の向上が求められるようになります。同時にアルファの減衰速度はますます速くなり、場合によっては完全に消失することもありえます。
新規参入を考えている方は、この厳しい現実と真正面から向き合う必要があります。
マーケットは常に変化します。未成熟な市場であれば尚更です。この世界で生き残るためには、市場の変化を注視しながら次々と新しい戦略を考案し、試行錯誤を繰り返すことが求められます。
高頻度botを凌ぐbot-さあ、次の構想検討の始まりです。
本記事が仮想通貨界隈の更なる発展と取引参加者の意欲向上に貢献することを願っております。