くらげの花 讃
ワンマンはりくへの行きかたを海老長老に伺
いましたが、顔色がよろしくありません。
ワンマンは海老長老に「もしもし」と声をか
けてみました。陸へは行けないのだろうか、
それとも陸とは未知のもので、まだ誰も行っ
たことのないところなのだろうか。ワンマン
は沢山考えましたが、未知のことを考えるの
は、大変難しいことなのでした。
海老長老は言いました。
「陸とは。今君がいる世界とは全く違う世界である。森が揺らぐこともなければ、息をするのも大変だと聞く。」
ワンマンは恐ろしくなりました。その
ような場所にはなは咲いているのかと。心が
汗をかきました。
しかし、ワンマンは恐ろしさと同時に好奇心
が湧いたのです。
自分の知らない未知の世界、はなという存
在、それらはまるで神様が下さった知識の贈
り物だと。それらを私に解明してみせよと、
お告げがあったような、そんな気がしたので
す。ワンマンは海老長老に
感謝の言葉を述べ、も一度感謝の言葉を述べ
とっぷんかっぷん揺れながら、チカチカと光
る部屋を急いで出てゆきました。
その姿を見た海老長老は、笑っていたのです
。
とても穏やかな顔で。
そして、自分の本来の目的のため勉学クラス
の教壇の棚に仕舞われていた出席簿を取り、
職員室へと持っていくのでした。