壁にもたれ1人
どうしましょう、どうしましょうどうしましょう。
今私は男性に自分の下の名前を呼ばれました。なんだか胸がやけにうるさいのです。耳の奥がぎゅうぎゅうと閉まるようで、頭が考えることをやめ、目圏に皺がよっているような気がします。私は手のひらを頬に当て、顔を隠します。髪の毛が手のひらと頬の間に挟まってきても、構いません。顔を隠したいのです。きっとりんごの皮のように赤くなっているでしょう。りんごの皮以上、ビーツのようになってしまっているもしれません。かっかと熱を感じるのです。いやいや、今の私の顔を見ては駄目。たかが下の名前を呼ばれただけで、ここまで体がおかしくなるなんて、そんなことがあるのでしょうか。否、実際今の私がその証拠。うずくまっても顔が赤いことが髪の毛を通しても見えてしまいそうです。私は壁に寄っかかりました。壁にもこの私のゴウゴウとした熱が移ってしまうかもしれません。誰もいないことを確認して私は水を飲みます。ああ、水がぬるく感じてしまう。喉をうまく通らないこの言うことの聞かない体が嫌になる。飲んだ水かゆっくりじんわり体に巡り、大きく一呼吸。少しは落ち着きました。はぁ、これらの免疫をどうつけていくか。