ラフ画に雑な着色を施してStable Diffusion XLのi2iで仕上げる話
ラフからi2iで成形。これはある意味、ものすごくずぼらな生成方法といってもよいかもしれません。適当なラフさえあれば、あとはだいたいのところをAI先生が綺麗に仕上げてくれます。
今年1月にNovelAI Diffusionを使った類似の投稿をXにしたことがありますが、
今回は主にStable Diffusionを使って、SNSに投稿したこの画像を成形していく工程です。
ラフスケッチの用意
まずはじめにラフなスケッチを用意します。最近は超適当な手描きから綺麗な線画やラフに変換してくれるAIもあるので、手描きの子供が描いたような崩れた絵からスタートしても大丈夫です。
NovelAIのディレクターツールを利用すると、手描きの絵でもAI生成画像でも一度ラフに戻してくれるので、ざっくりで生成した画像をディレクターツールで一度ラフに戻すのも有りです。
大雑把に色を塗る
次に、「こんな配色にしてほしい」という案としてラフにざっくりと色を乗せます。今回は「これくらい適当でも大丈夫だよ」というイメージが伝わりやすいように、できるだけ雑ではみ出る箇所も残したまま塗ってみましたが、可能ならこの段階で光源を考慮して影になる部分を若干濃く塗っておくと、AI判断でおかしな陰影がつきにくいのでおすすめです。
この作業、私は「生成AIは私たちの未来ではない。」でおなじみのProcreateを用いましたが、クリスタでもibisPaintでも使いやすいものなら何でもOKです。
t2iオンリーでの生成では「ここの色はもっとこうして欲しい」とか「あー、こっちは別の色なんだよなぁ」ってことが起こりやすいですが、自分で着色する工程を入れてのi2i仕上げなら、塗ったとおりのイメージで完成に近づいていくのでその辺が楽々すぎの拍子抜けレベルです。
※この色の工程を省く場合は、後で触れるi2iを行う際に一度Denoising strengthを大きめにして着色もAIにお願いする必要が出ます。
Stable Diffusion XLでi2i
着色した画像をStable Diffusion XLに取り込んでi2iで仕上げていきます。プロンプトは品質系のもの以外は、見たとおりに
black hair, black eyes, detailed eyes, red mechanical body,
などを打ち込んで、i2iのときにAIが迷わない程度にガイドとして入れます。
Denoising strengthの値に注意
i2iで仕上げていくときの肝は(個人的には)Denoising strenghtの値だと思ってます。元のラフがかなり抽象的で崩れている場合は、一度この値を0.5以上にして形を整えてあげるほうが上手くいくことが多いですが、そうじゃなければ0.4付近で変化を見ながら少しずつ仕上げていくほうが仕上がりがよくなりやすいかなと。
i2iをかける都度「顔は崩れていないかな?」「手指はおかしくなってないかな?」と細部を確認しながら進めます。
※上で触れましたが、ラフ画を着色せずそのまま取り込んで仕上げていく場合は、各所の色のプロンプトを指定してあげるとともに、Denoising strengthを一度大きめにとって(0.6以上とか)色を乗せてあげる必要が出てくるはず。
気になる箇所に加筆・修正
ある程度の形になってきたら、再度お絵かきソフト・アプリに戻して加筆や修正を入れます。
AI任せで生成すると乳首の位置に円形の装飾を入れたがりますが、それだとXやInstagramに投稿するときセンシティブ判定を受けやすい傾向があるため、ここでは同系色で塗りつぶして無しにしました。
同様に、崩れかけている指の部分にも色をざっくり乗せて修正。
再度Stable Diffusion XLのi2iで調整
加筆・修正が完了したら、再度Stable Diffusion XLに持っていってi2iで仕上げていきます。仕上げの段階では、先ほどのDenoising strengthの値を0.5以上にはせず微調整的に何度かi2iをかけていきます。
手で描いたり塗ったりしたような雰囲気を残したい場合は、よりDenoising strengthを小さめで調整しながら必要に応じてwatercolorなどのプロンプトも追加するとよいかも。
全体的な色や明るさの調整
画像が概ね整った段階で、Photoshop(スマホの場合はPhotoshop Express)を使って明るさ等の調整を行います。黒髪の黒さがあまり出ていなかったので、この時点で強めました。また、挙げているほうの腕の太さなども微調整しています。
最終調整して完了
最後に全体を見渡して、挙げていないほうの腕の太さも少し(太めに)調整、また髪の動きも不自然に感じない程度に不要なものを削除して作業完了です。
ラフ画との比較
元の画像との比較です。最初に用意した画像がかなり粗いものでも、i2iで調整を加えるうちにそれっぽい綺麗な画まで持って行けました。
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