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「たまこラブストーリー」に学ぶ演出技法 【物理的な距離と心の距離】
映画においてキャラクターの心の距離感を描く際に様々な方法があるかと思います。たまこラブストーリーでは、たまこともち蔵の心の距離を物理的な距離感や接触で描いています。
一般的に言われるパーソナルスペースなどと同じで、キャラクター同士の距離感などが親密さの表現になっています。
告白シーン
たまこラブストーリーでは、TVシリーズであるたまこまーけっとでたまこに対する気持ちを伝えられなかったもち蔵がついにたまこに好きであることを伝える場面があります。
告白の直前たまこはもち蔵とは違う飛び石に立っています。
引用元:たまこラブストーリー
その後たまこはもち蔵と同じ飛び石にのり、足を滑らせて川に落ちそうになったところでもち蔵がたまこの腕を掴んで助けます。
もち蔵はたまこの腕を掴んだまま告白を始めます。
引用元:たまこラブストーリー
物理的な距離が近づき、接触がある状態で好意を伝えることで心と心がつながろうとすることを表しています。
物理接触(ゼロ距離) = 心をつなげようとする
ただし、この場面ではもち蔵がたまこの腕を掴んだまま一方的に気持ちを告げています。
その言葉を受け止めきれず、たまこは混乱し腕を離してしまいます。
引用元:たまこラブストーリー
物理的な接触を断つことで、気持ちがつながらなかったことを表現しています。
接触を断つ = 気持ちがつながらなかった
ラストシーン
映画のラストシーンで、たまこは東京へ向かう新幹線に乗ろうとするもち蔵を呼び止め、もち蔵からの好意を受け止め自分ももち蔵を好きであることを告げます。
このシーンでは重要なキーアイテムである糸電話が使われています。もち蔵が投げた糸電話をたまこがキャッチし、たまこがもち蔵を好きだと伝えるのですが、投げられた糸電話がもち蔵の気持ちの象徴であり、それを受け止めることでたまこがもち蔵の気持ちを受け止めることができたという表現になっています。
引用元:たまこラブストーリー
そして糸電話は糸で物理的につながっている構造になっているため、二人の心がきれいに繋がった表現にもなっています。
糸電話をキャッチする = もち蔵の気持ちを受け止める
糸電話でつながる(物理的につながる) = お互いの気持がつながる
まとめ
このように物理的な距離感や接触を心の距離などの表現に使うことができます。また、今回の糸電話のように小道具を使うことで心のつながりを表現することもできるので、小道具になにを用意するか、またはどの小道具をキーアイテムとして使うのかの指標にできるとよいですね。
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