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「SSSS.GRIDMAN 第1話」に学ぶ演出技法
久々に演出解析を再開したいと思います。
2018年放映の「SSSS.GRIDMAN」をもとに各話で使われている様々な演出を拾い上げてまとめていきたいと思ってます。
ネタバレを含むため、未見の方はご注意ください。
鬱屈した気持ち
冒頭ヒロインの一人である新条アカネが学校の屋上で柵に肘を付き下を見ているバックショットが写ります。
ここでは、画面センターに「SSSS.GRIDMAN」のタイトルが入るため画面真ん中を開けてある意味もあるのですが、真ん中を開けるのであれば空を写す画でも良かったはずですが、あえてこの構図を選んでいます。
引用元:SSSS.GRIDMAN
これは画面の上側(空部分)を狭めることで、画面に圧迫感を与え新条アカネの気持ちが沈んでいて鬱屈していることを表現しています。
画面上が狭い = 圧迫感、鬱屈している気持ち
この作品では度々この構図が使われています。緊張感があったりするマイナスな感情が出ている場面でこの構図が使われている傾向があります。
影の中と外
第1話冒頭で記憶喪失の状態で起きた主人公である響裕太が翌日登校し、教室に入ってくるシーンで、後々「グリッドマン同盟」と呼ばれる、響裕太、宝田六花、内海将の3人は日陰側に配置され、ヒロインであり、かつ敵方の怪獣を作成している新条アカネは日向に配置されています。
引用元:SSSS.GRIDMAN
これは新条アカネが近寄りがたい存在であるのと同時に、物語上主人公側3人の仲間ではないという暗喩になっています。
影の中と外に分けて配置する = 仲間ではない
この表現は他の作品でも使われており、過去にまとめたnoteに詳しく書いてあります。
ただし、第1話ではまだ新条アカネは明確に敵であることを明かされていないため、響裕太は新条アカネにもらったスペシャルドッグを食べるカットで半分だけ日向側に入っています。
引用元:SSSS.GRIDMAN
ここでは響裕太が(無理して?)新条アカネを受け入れようとしていることを描いていると思われます。
窓外が光り輝く
新条アカネが響裕太に自己紹介するカットで、背景の窓外が光り輝いています。
引用元:SSSS.GRIDMAN
この表現はこの作品でたびたび使われる表現で、主に新条アカネが「グリッドマン同盟」の3人に近づいて仲良くなろうとしたり、尋問めいた問い詰めをするシーンなどで使われています。
新条アカネから3人に対し、若干の圧力をかけつつ距離感を詰めようとする際によく使われている演出になります。
窓外を光り輝かせながら話してくる = 不穏な空気、圧力をかけつつ距離を詰める
立ち位置の入れ替え
怪獣とグリッドマンが戦う際にこの作品では「優勢な方がカミテ(画面右側)」、「劣勢な方がシモテ(画面左側)」に配置されています。
また、ヒーローの登場は必ずカミテ(画面右側)からという約束も徹底されているようです。
引用元:SSSS.GRIDMAN
これは日本の伝統芸能である能を源流に持つ舞台の基本配置である「カミテ・シモテ」の使い方に習ったものであり、舞台の演出でも強いもの、権力を持ったものをカミテ(客席から見て舞台右側)に配置し、弱い者をシモテ(客席から見て舞台左側)に配置すると言われています。
カミテ = 強い、権力を持っている
シモテ = 弱い、平凡
勝ち名乗り(勝ったあとのキメポーズ)もそれに習いカミテ側からシモテ側を見ている配置にされています。
引用元:SSSS.GRIDMAN
実際にここまで徹底してカミシモを守る必要はありませんが(上手くやらないと面白みのない画が続いてしまうためです)、カミテシモテの由来から来るヒーローの配置の仕方としての様式は調べてみると良いでしょう。(海外の場合カミシモが逆だったりします)
勝ったけど喜ばない
グリッドマンの勝利に終わった怪獣との戦いのあと、宝田六花は「いろいろ起きすぎだし、友達も心配」なので喜んでいる余裕がない様子に描かれています。
引用元:SSSS.GRIDMAN
これは、勝ったけど「人が死んでいるので、大々的に喜ばないでくれ」と演出した庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」と同じく時勢を反映した演出であり、今現在の日本の空気にも通じる命との向き合い方を表しています。
勝ったけど死人が出ているので大々的に喜ばない = 時勢を反映した命との向き合い方
また目の前の勝利ではなく友達の事を常に考え心配するという宝田六花の優しいキャラクター性を描いた演出でもあります。
まとめ
第1話は物語の最初であるのと同時に後々の話数に多数使われている演出がまとめて入っている話数となっていました。
おまけ
引用元:SSSS.GRIDMAN
アノシラス(二代目)が電車内にいます。後々ターニングポイントで出てくるキャラが1話にちらっと登場していました。
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