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lovely_zebra99
おばあさんの金木犀(300字)
食パンに塗った絵の具は
ひからびてパサパサ。
ヒザの穴を縫ったおばあさんは
椅子でぼんやり。
茹でたとうもろこしの香りが
ただよってきたリビングに、
NHKが事実を告げている。
週に2回のお掃除を
おばあさんはぼんやり見てくれている。
窓をあけると金木犀の香り。
「トキさん、庭の金木犀が立派ね。」
おばあさんはぼんやりと
私の後ろ姿を眺めている。
また来週よろしくです。
夕日のキツイ玄関を出ると、
かすかにコオロギの声。
中央線は人の匂い。
人の合間からビル街のネオン。
おばあさんの夜はどんなだろう。
とうもろこし食べてくれてるかな。
家族はどこにいるんだろう。
改札を抜けると首筋がひんやりとした。
来週はタライで足湯をしてあげよう。
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