見出し画像

"choir"voice.6「数億光年の砂場から」

"choir"voice.6「数億光年の砂場から」
act:砂場(ウエスト) / Wee Small Hours

タイトルは、砂場の主催イベント「世界の砂場から」、
(そもそも「世界の車窓から」が元ネタなのでハトコくらい遠いけど)
そこにSmall Hoursということで、逆に。
光年の長さ速さはぼくら体感できないけど、それは須臾だってそうだ。
ひっくりかえせば「瞬間と永遠」(曽我部恵一)だよなあ。
(※由来はジャズです)

ツーマン、ふつうに60分ずつでもぜんぜんやれる2組だけど、
おなかいっぱいになるより、腹八分目、ちょっと物足りない、くらいで観たい、
そっちのがはっきりうつくしいとおもったから40分ステージで。
あと、やはり長丁場になりすぎると、シンメトリー感が出てきちゃって、
それがいいときもあるけど、予定調和めいてしまうケースもなくはないから。

◆Wee Small Hours
優勝です。
とにかく音楽にも、ことばにも、体幹に迷いがない。
けんけん(歌って、ギター弾いて、サックス吹いて)の高精度な期待をはらんだプロバビリティ、
うねりまくるジーマのベース(それでいて円相を描くような淡さもよい)、
げんちゃんはもはやドラマーというより「げんちゃん」だ。
手数も多いけど、そこに欲かかない、つまり過不足がない。それでいて平坦じゃない。
ずっきーのマルチプレイヤーっぷりもウワモノとしてめいっぱい透きとおっていた(Shadow and actのギターだったの知ってびっくり!)。
フォーキー&ソウルを標榜する彼らだけど、
けっしてそれだけじゃなく、ジャズやロック、AOR、ありとあらゆる音像のはざまから、
ひょっこり「こんにちは」してくるのがほんとうにえげつなく気持ちいい。
余談だけどけんけん(山本夜更)とは、奇遇に奇遇がかさなり、
今月4回もご一緒できるのもふくめて、とってもこれからもたのしみ。
「回転体」「環状線」などぐるっとまわる曲線的なアプローチのなか、
突き抜けるとこは突き抜けたんねん、って、その意気や、超、よし。

◆砂場(ウエスト)
優勝です。
日本のアイルランド新潟~長野を経て、東京や名古屋、福岡、兵庫など、
どうでしょう的な旅をつづけるナツキくんの絶妙に不安定ながら芯のあるヴォーカルアプローチ。地味だけど確実に朝露をふくんだような潤いあるギターソロやリフ。
まさか「ラジオ」からはじめるとおもわんかって、
長年の名曲と新曲のバランスもすごくよかった(「薄氷」最高だった)し、
アンコールの「朝靄」でぜんぶもっていかれた。
今回のツーマン、しいていえば、陽性にしたがるわけではないけど「yeah」ってなるWeeと、内向性がすてきな砂場、この2組の位相や象限を考えたうえで組んで、でもめっちゃ正解だった。
松川の神経質にみえて意外と茫洋、というか時々「イッチマイナー!」なドラム、
くぼんぬのぬるっと歌によりそうヴィレバン系サブカルベース、すばらしかった。
ナツキくんに関していえば、「拝啓バンドマン」や「ひとりきりでうたううた」で、
一瞬3markets()っぽい方向に寄ってた(と感じた)時代をおもいだしたけど、
再解釈してんだなあ、って拳をかかげたよ。

こころのそこからすてきなツーマンでした。
それはやっぱり、バンドの基礎体力と反射神経だとおもう。
信頼できるから信頼する。
あたりまえのことだけれど、演者もお客さんも響きまくってるのが伝わってきて、
ブッカーとしてこれ以上のしあわせなんてないよ。ありがとう。

なにより、Weeのときは松川やくぼんぬが、
砂場のときはジーマやげんちゃんがノリノリで踊ってたの、最高だった。
これがあるから、ブッキングはやめられない。

今後も絶対どんな一夜でも意味のある夜にするので、
どうぞおつきあいください!!

音楽は最高だ!!!

※なるべく自分のブッキング日の感想は書こうとおもいますが、
常にできるかは確約できないので、そこはご海容くださいー。


 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?