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"choir"voice.8「その夕暮れに用がある」

"choir"voice.8「その夕暮れに用がある」
act:タカダスマイル / 杉本惠祐 / 戸田大地 / 山下慧

タイトルはそもそも、
「この日はタカダさんを若い衆が囲む日にしたいんですよ」というところからはじまった。
それで、「夕暮れブルー」と、なぜかサンボマスター「そのぬくもりに用がある」を、
魔改造したかたちで屹立しました。ぺんぺん。

弾き語りとはいえ、ジャンルでいうと、それぞれに親和性と、マリアナ海溝と、
どっちもあるなあとおもいつつ、でもそこがおもしろいでしょ、っておもったブッキング。
29歳から50歳まで。東京から京都まで。
……よく考えたら最年少が29歳で「若い衆」と言ってる時点で、
ぼくもたいがい37歳です。
さておき。

◆戸田大地
いい意味で完成されつつある。
それがキャパ40人でも、250人でも、あるいは3000人でもたぶん、変わらない。
こう貫ける、ならば行ってみようぜ、とおもう。

前回の出演時に「安定安心感」と評したけど、
彼も20代半ばくらいのころは、けっこう「キワをついてナンボやろ?」みたいなステージングとか、
せっかく演奏技術も歌唱力もパフォーマンスレベルも高いのに、あえてそっちへいきたいパンクスピリットを前面に感じることも少なくなく。
でもね、ぼくがおもう戸田大地は、へんな喩えだけど、見知らぬおばあちゃんの荷物持ってあげるやつです。
そういうのがこの15年くらいでだんだんいろんなものと相談がついてきたのかな。
見た目(容貌じゃなくてステージ上)はだいぶ重厚かつ「タンク&前陣速攻」の二律背反だけど、それをできるひと。
めちゃくちゃ繊細、ギターも勢い任せじゃなくてレンジが広いというかなんでもできる。
信頼できるミュージシャン。
曲前と曲終わりに拍手を求め……てはないのかもしれないけど、
そういう流れをつくって30分間で18回くらい拍手したので手は疲れたけどね!
しかし「七月の温度」「怪物惑星」(前回「怪獣惑星」って誤記してたごめん)はじめ、
そのときどきのタームではあんまりセットリストを変えてこないけど、
それでも全然、「ああ、あれね、知ってる」ってならない。
ライブやなあとおもいました。

◆杉本惠祐
名古屋(シャビーボーイズ)時代からドハマりし、いまは東京で活動してるけど、
ピーター(と呼んでます)はとにかく声がいい、歌がいい、詩がいい。
なにより、OASISとか英語圏のバンドはふつうに「~take、~make、~shake」とか踏むけど、
ウラル・アルタイ語族、膠着語たる日本語ではやりづらいその押韻(無理くりやるとオヤジギャグになりがち)を、
きれいに楽曲中に落とし込むそのセンスに脱帽です。どこのシューマンだ。
さらにはシャビー時代の名曲「海へ行こう」どころか、
当時のgt高津くんの今やってるバンド26時(高津ソロ、26日にVOX出るよ!)のカヴァーもふくめ、もりだくさんだった。
ピーターは日本語のことをほんとうによく知ってるな、っておもう。
芯のぶっといステージでした。
個人的には、PUB VOXhallに2ヶ月にいっぺんはいてほしいなあ(東京だけど)
親子丼を気に入ってくれたので、親子丼、バージョンアップしよまい?まこちん!(店長)

◆山下慧
work from tomorrowはものすごく観てるけど、実は弾き語りははじめて。
それでもこの夜に観たかったので忙しいなかSECRET ACTとして。
とくに、ピーターと慧を現場で出会わせたかった。
この2人は感応しあう確信があったから。
めっちゃよかった。
もちろんスリーピースのgt/voでソングライターなわけで、
技術的なこととかはアコギでもそう変わらないにせよ、
アプローチがバンドとはまた違って、そこは巧いなっておもった。
そもそも愛されキャラ(それをいえばこの日の4人全員せやな)だけど、
ハイボール飲んで板に上がる慧がなぜかいままででいちばんかっこよく見えた。
「ええ、おれはここにいます」というか。
慧は言葉や態度でなににも媚びないのに、なぜか観てる側を笑顔にさせちゃう。
これは才能だよ。
そして、ピーターからの流れが化学変化起こしとった。

◆タカダスマイル
タカダさんのすごいところをひとことでいうと、
「(ひとによっては)めんどくさいかもしれないけど、うさんくさくない」
に尽きるとおもいます。
この日ダントツの最年長50歳(次点の大地とも干支ひとまわり違い)だけど、
そういうキャリアに時としてありがちなウエメセではなく、
「50歳になって身体全部痛いねん」「60歳でおれ死ぬんちゃうかな」等、
そこはある程度関西言語にせよ、めっちゃフランク、ではなく、フラット。
だってそこには10代や20代や30代、40代のタカダさんも見えるから。
この道はいつか来た道、でもいいし、
ぼくのうしろには道がある、でもいいし、
そのうえで七転八倒五十肩しながら闘ってる、
でも闘ってることはあくまで自分の話やし、
敷衍することなく須臾の笑いに変えてこ、っていう姿勢に敬意を表します。
本編ラストに「夕暮れブルー」やってくれはったん、最敬礼。
ありがとう。
この先数十年、どんだけめんどくさくても、タカダさんのこと、すきです。

※なるべく自分のブッキング日の感想は書こうとおもいますが、
常にできるかは確約できないので、そこはご海容くださいー。

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