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もしも桃太郎のおじいさんが主人公だったなら

その日も俺はナイフを片手に山に入った。柴を刈りにだ。若い頃はジャックナイフの庄助と恐れられたもんだが、皮肉なものだ。今はそのナイフで柴を刈っている。

刈った柴はロープにひとまとめにして町に売りにいく。柴を買う人もいるのだ。柴は銭になりひとにぎりの米と塩を買い、山をこえて川のほとりに帰る。

赤子である桃太郎が寝入ると、
俺たち二人は家を抜け出し、
川に船を浮かべる。
川の流れはおだやかで、
俺たちはふるえながら、
やさしく、くるしく、むつびあう。

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