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ある日突然新年度の職を失った話。


お久しぶりです。
1月に掲げたnote毎月更新の目標が早速途絶えているこの現状。

実は私、この度退職してきました。

私のnoteを読んでくださっている人は「とうとう辞めたか」と思うかもしれないけれど、今回の退職、本当に突然の出来事であって私の意思ではない。

いや、一応自分の意思で辞表を出してきたのだが、そこに至る経緯は私が常日頃「仕事辞めたいー!」とうだうだ言っていたのとはかけ離れていて。

私は新年度も引き続き働くつもりだったので、そのつもりで準備もしていた。

3月頭に退職を決め、1ヶ月経たずしてスピード退職
新しい仕事も決まりひと段落ついたので、ようやくnoteに手が回ったというわけだ。


ことの起こりは2月末日

実はこの出来事の前に、勤めている施設の大元となる会社のトップが変わるという事件があった。

この就任は本来新年度に予定されていたものだったのだが、会社に関わる多くの人たちの反対に遭い、それを無視して前倒しされたものだった。

その影響で他の部署では優秀なスタッフが退職に追い込まれたり、新年度にむけて決まっていたことが急に覆されたりと、現場はてんやわんやの大騒ぎ。

この日もそうした諸々の事情で内示が遅れると発表されたばかりだった。

だから退勤して最寄駅に着く直前にあった着信にすぐさま折り返したのも、なにかを悟ってのことだったのかもしれない。


折り返しありがとう、と電話に出たのは、なんとうちの施設長だった。

施設長の電話番号を登録していなかったので、突然の出来事にぎょっとする。
平静を装いながら話を聞いていた私は、穏やかな口調で告げられたひと言に頭が真っ白になった。

「来年度から正社員として雇用する予定でお話ししていましたが、」
「理事長のご意向により、白紙に戻すことになりました」

・・・はい?

うちの職場では最初の2年は契約社員、3年目からは正社員になるのが慣例になっている。

この4月で3年目を迎える予定だった私は、8月の次年度希望調査の時点で正社員登用が内定しており、11月には同期たちとともに新生職員研修も受けていた。

まさに寝耳に水。
正直このタイミングでの電話に異動は覚悟していたが、契約内容そのものを白紙に戻されるのはさすがに想定外だった。

施設長からは、私の落ち度では決してないこと、他の同期たちも一律で同じ処遇であることなどが申し訳程度に語られた。

しかしそんなことを電話口で言われても到底納得できるものではなく、だからといって何を聞くべきかもわからず、とにかく施設長の話に相槌を打つしかなかった。


この電話のすぐ後に、同じ部署の同期から電話がかかってきた。
話していく中で少しは冷静さを取り戻し、同時に怒りが湧いてきた。

年度末も控えたこの時期に、一方的に契約を変えられたこと。

契約変更に関して、経緯や待遇などの説明がほとんどもらえなかったこと。

なにより、2年間契約社員として積み上げてきたものを、何も知らないお偉いさんに白紙に戻されたこと。

施設長は大変申し訳ないと謝ってくれたけれど、急に決まったことで詳しいことはわからないの一点張りだった。

「僕としては正社員になってほしかった」と言うのなら、その辞令が降りてきたときになぜ待ったをかけてくれなかったのか。

なにはともあれ当然このまま引き下がれない。

同期とその意志を確認しあい、私たちは翌日施設長に説明を求めにいくことにした。


ところが。
翌朝、施設長は職場にいなかった。

「明日の朝話せると思う」と電話口で言っていたのはなんだったのか。
近頃出張が多めの施設長が現れるかどうかなどわからなかったし、同期と相談した上で次期施設長に話を聞きにいくことに。

私たちに声をかけられた時点である程度察したのだろう。
この大変な時期に施設長職を譲られることになってしまった不遇な次期施設長は、忙しい時間を割いて私たち同期の話を聞いてくれた。

その上でわかったことは、この件は完全なトップダウンだということ。

次期施設長は私たちに電話がくる数分前にこの事実を知らされ、施設長に関しても15分前くらいにいきなり言われたことだったらしい。
その週に行われていた会議でもこの件についての話は出ず、本当に突然決定事項として伝えられたらしい。

申し訳ない。僕が知っていることはこれくらいなんだ。

そう言って頭を下げる次期施設長に、私まで申し訳ない気持ちになる。
次期施設長の頭を悩ませたいわけではないけれど、どうあってもこちらも譲れない。

ただ、「待遇はともかく説明責任を果たしてもらえないなら退職も視野に入れるしかない」と考えていた私は、次期施設長の真摯な対応に少なからず態度が軟化した。

説明がないのはさすがにおかしいと賛同してくれたことも、施設長が午後には来るから話してみるといいとアドバイスをくれたことも、退職すら辞さない構えの私に「人としては残ってほしいけど、この理不尽に耐えて残れとは言えない」と言ってくれたことも本当にありがたかった。

だから、多少理不尽でもこの人に苦労をかけたくないと思った。


そんな思いのまま業務をこなし、その日の業務終わり、施設長と面談に臨んだ。
・・・しかし。

施設長の対応はお粗末なものだった。

本来上がるはずだった給与や賞与を「たいしたことない」と言い放ち、「働く上で多少の理不尽は当然」と語り、挙げ句の果てに「怒る気持ちはもっともだが、子どもたちのために1年耐え忍んでほしい」と言う。

その上、トップからの説明についてはないと言い切り、該当者である私たちが説明を求めている事実を伝えてほしいと頼んだ時も色良い返事はもらえなかった。


途方に暮れた。
先輩や子どもたちの顔が浮かんでは消える。

まだまだここで学びたいこともたくさんある。
成長を見届けたい子どもたちもたくさんいる。

たしかに辞めたいと考えてはいた。
けれど結局それは自分の理想のライフワークバランスを叶えるためであって、ここでの業務が嫌だったわけではない。

たった1年と割り切ることもきっとできる。
第一、辞めたところで次の仕事がこの時期から見つかるだろうか。

それでも、自分の人生を考えた時に、いともやすやすと独断で契約内容を変えるような組織に、そして説明責任すら果たしてくれない組織に、奉職することがはたしていいことなのだろうか。

年度末ぎりぎり1ヶ月前という時期も、明文化されていない慣例を狙ってきたことも、服務規定の穴を突くようなやり方も、なにもかもが汚い

こんな信頼の置けないトップのもとで働けるだろうか。


どうにでもなれ、と信頼のおける先輩方を招集して相談にも乗ってもらった。
この人たちとこれから先も働きたいと思った。

悩みながら子どもの指導にもあたった。
辞めてしまったらこの子たちとも会えなくなるんだと思ったら、うっかり泣きそうになった。

それでも私は、職場に不信感抱えたまま働き続けるという決断ができなかったのだ。


退職の意向は次期施設長に伝えた。
施設長に言ったところで取り合ってもらえないような気がしたし、私が辞めることで迷惑を被るのは今年度で退職する施設長ではなく次期施設長だ。

次期所長は「3月末まではがんばってくれる?」と私に確認した上で、こんなことになって申し訳ないと謝ってくれた。
その姿に胸が痛んだ。


かくして退職を決めたわけだが、この話にはちょっとだけ続きがある。

まず、辞めると決めた瞬間高熱を出した
口内炎もできていたし絶対にストレスで免疫が下がっていたのだと思う。
おかげで推しの現場を1公演無駄にすることになった。

そして、さぁ最後の1週間だ、と気合を入れ直したところで、突然正社員になれることになった。

これまたトップの突然の判断で、私のいた部署が評価を得、それに伴って私たち同期の待遇が見直されたのだそうだ。

「正社員に登用するので来年度も残るように引き止めろ」という指令がくだり、退職日を1週間後に控えたタイミングで引き留めが入った。

これまでにもいろいろな方に引き留めていただいていたので、私の決意は揺らいだ。
施設長の説明を横で聞いていて首を傾げていた次期施設長から電話をもらったり、休日にもかかわらず副施設長からメールをもらったり、本当に多くの方が心を砕いてくれた。

いろいろ思うところはあれど、本当に人に恵まれたいい職場だった。

それでも。
あのトップをもう一度信頼しようとは、どうしても思えなかった。

退職を決めてから3週間
あっという間すぎて正直感傷に浸る暇などなかった。

最後まで全力で駆け抜けて、その合間に引き継ぎの準備をして。
当然片付けは終わらなくて、当初の予定より最終出勤日を1日延ばしてもらった。

迷惑をかけたくないところに迷惑をかけてしまう罪悪感と、たくさんの心残り

あの決断でよかったのかと、辞めた今でも思うけれど、逆にそれだけ残りたい理由があったのに「残る」と決めきれなかったことが答えだと思っている。


辞めると決めてからすぐに転職活動をしたおかげで、勤務先は割とすぐに決まった。
4月1日からでも働けそうではあったけれど、気持ちの整理をつけたくてしばらくお休みすることにした。

無職1日目。朝からゆったり。


お休み期間は、慌ただしくしてしまった引き継ぎを補うように元職場のスタッフと連絡を取ったりたくさん寝たり当日券で観劇に行ったりしてそれなりに有意義に過ごしている。

満喫しすぎてこのまま在宅ワークにシフトしたいくらいだったけれど、いろいろとそうも言っていられない。


正直緊張が止まらなくて。
業界は同じでも、場所によってやることはだいぶ変わってくる。
これまでの経験が活かせるかなとか、同僚はいい人かなとか、言葉にしない不安がいくつもあって。

それでも退職したことを後悔はしたくないから、なんとか頑張ってみようと思う。

今週から、私の新しい生活が始まる。

2年間お世話になりました。

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