東京の夢とうつつを切り取る - ストリートスナップ写真集と私の成長
こんにちは、ストリートフォトグラファーの上田けい子です。今回は、私が2024年2月に発売した写真集「夢とか うつつ -FANTASY TOKYO-」のKindle版制作・販売開始についてお知らせします。そして、この半年間で経験した写真家としての成長や、ストリートスナップに対する私の思いをお伝えしたいと思います。
写真集「夢とか うつつ -FANTASY TOKYO-」について
この写真集は、女性ストリートフォトグラファーのグループ「写道-shado-」の初グループ展に合わせて制作したものです。23枚のカラー写真で構成され、私の目を通して見た東京の街と人々の姿を切り取っています。
当初は展示会で販売させていただきましたが、より多くの方に手に取っていただきたいという思いから、このたびKindle版の制作・販売を開始しました。Kindle版は980円で販売しており、Kindle Unlimitedをご利用の方は無料でお読みいただけます。(販売価格は今後変更する可能性があります)
ストリートスナップとの出会い
私がストリートスナップを本格的に始めたのは、2023年4月に「写道-shado-」に参加してからです。グループの代表である田中操さんに誘われたのがきっかけでした。操さんは私の憧れの人であり、彼女のストリートスナップ作品からは、街と街にいる人々への深い愛情が感じられます。その真っ直ぐな視線に魅了され、私も本気でストリートスナップに挑戦してみようと思ったのです。
「写道-shado-」について
ここで少し、「写道-shado-」についてご紹介させてください。このグループは、日本の女性ストリートフォトグラファーが集まって設立されました。女性がストリートスナップを楽しみ、自己表現するための場を提供することを目的としています。
「写道」の「写」(sha)は「写す」(写真を撮る)という意味、「道」(do)は日本語特有の概念や哲学を表す言葉です。武道や芸道のように、技術や表現力の向上だけでなく、個人の内面や心の豊かさを育むことを目指しています。また、「道」(do)には「ストリート」という意味もあり、私たちは女性ストリートフォトグラファーのグループとして、「写道」(shado)を極めていきたいと考えています。
私とストリートスナップ
さて、私のストリートスナップについて少しお話しさせてください。よく言われるような典型的なストリートスナップとは少し違うかもしれません。私が目指しているのは、単に人や街並みを切り取ることではありません。東京の美しさ、そして普段東京に住む人が目にしてはいるけれど気づかない美しさを、自分の視点で捉えることです。
そのため、今回の写真集ではあえてカラー写真のみを使用しました。多くのストリートフォトグラファーはモノクロを好む傾向がありますが、私は東京の持つ色彩の豊かさを大切にしたいと考えたのです。
「fantasy」と「うつつ」の狭間で
写真集のタイトル「夢とか うつつ -FANTASY TOKYO-」には、私の写真に対する思いが込められています。「fantasy」は空想や幻想を意味し、「うつつ」は現実を表します。
私が美しいと感じながら撮る写真には、どこか「ファンタジー」的な要素があると感じています。しかし同時に、そこには紛れもない現実(うつつ)も写り込んでいるのです。
数年前、ある人から「東京をテーマに写真を撮ってください」と言われたことがありました。それ以来、「東京とは何か?」「自分にとっての東京とは何か?」を考えながら写真を撮るようになりました。今では、撮った場所が東京でなくても、自分の写真には常に「東京」が写っていると感じるほどです。東京を撮ることが、私の中に深く染み付いてしまったような感覚があります。
半年間の成長と自己省察
写真集を発売してから半年が経ちました。今、改めて「夢とか うつつ -FANTASY TOKYO-」を眺めてみると、恥ずかしさで赤面してしまいます。「この順番はおかしいのでは?」「もっと良い写真があったはず」「このレタッチ、少し失敗していないか?」...自分への突っ込みどころが満載で、特に最後の文章に至っては恥ずかしさのあまり直視できないほどです。
Kindle版の制作にあたり、写真の入れ替えやレタッチのやり直しも検討しました。しかし、あえて手を加えずにそのまま収録することにしました。たった半年で「恥ずかしい」と感じられるようになったこと。それは、フォトグラファーとしての私の成長の証だと信じたいからです。
迷いと再出発
グループ展直後、自分のストリートスナップと他の方々の作品との違いが分からなくなり、自問自答の日々が続きました。「私が撮る必要はあるのか」「何を撮ればいいのか」。まるで迷宮の奥深くに迷い込んでしまったかのようでした。
そんな時、ふと手にしたのが古いフィルムカメラでした。露出もピントも全てマニュアル。現在のフィルム価格、現像代、デジタル化の費用の高さに驚きつつも、それが功を奏しました。「とりあえず撮る」ということができず、一枚一枚、自分と向き合いながら撮影することになったのです。
多くの失敗作も生まれましたが、この過程こそが大切だと気づかされました。やがて、写真を撮る喜びを取り戻し、再び日常的にカメラを持ち歩くようになりました。この経験を通じて、技術だけでなく、自分の内面と向き合うことの重要性を再認識できたのです。
ストリートスナップの魅力
ストリートスナップの魅力は、人と街と自分とのつながりが瞬間的に写ることです。自分の集中力、感性、心の在り方、いろいろなものが重なり、そして街と人が重なって撮れる写真たち。その魅力にどっぷりとハマった私の写真には、やはり「東京」が写っています。
東京という地で夢を見ているのは私自身。それが写し鏡のように写真に映り込んでいるような気がします。時々、頭の中で「そんな夢みたいなこと言ってないで、ちゃんと働けよ」というどこかで聞いた言葉がこだまします。しかし、私は夢を追い続けることを選びました。
最後に
最後に、私が撮影できずにいた時も、何も言わず見守ってくれた写道-shado-のメンバーの仲間たち、そして私をストリートフォトの世界へ導いてくださった写道-shado-代表の田中操さんに、心からお礼を申し上げたいと思います。皆様のおかげで、私は成長し続けることができています。
これからも、カメラを通して見る世界を大切に、歩んでいきたいと思います。そして、私の写真を通じて、皆さんにも東京の新たな一面を発見していただければ幸いです。
写真集「夢とか うつつ -FANTASY TOKYO-」のKindle版を通じて、私の見た東京の姿を皆さんと共有できることを嬉しく思います。もし興味を持っていただけましたら、ぜひ手に取ってみてください。そして、あなたなりの「夢」と「うつつ」を見つけていただければ幸いです。
カメラを持って街に出かけると、いつもの景色が少し違って見えるかもしれません。そんな新しい発見の喜びを、皆さんにも感じていただけたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。これからも、私の「写道」は続いていきます。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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