話が通じない医者。心が通じる医者。 【婦人科手術を受けるまでの道①】
わたしは子供を産んだことがない。結婚もしていない。
それを言い訳にするつもりはないけど、やはりそういうベースもあって、婦人科慣れしていなかったとおもう。
20代の頃からそうだから、結婚とは関係ないかもしれない。でもわたしの姉は20代で結婚も出産もしているから、やはり自分でいろいろ学ぶし体験もしているし、わたしよりはるかに詳しい。子育ても若いときから必死でやってきてるわけだからなにかと情報にたいして常に攻めの姿勢がある(すごいね。親になるって)。それに対してわたしは無知のままだし、できれば知りたくないことが多く、極端にいえば、大丈夫なのかどうかだけ知りたいくらいのスタンスでしか婦人科には行っていなかった。
今思えば、かなり前からLEGHの症状は確実に出始めていた。特徴的な症状のひとつとして、オリモノが多い、しかも水っぽいオリモノが多いというのがある。いつ頃から自覚症状があったのかと思って記憶をさかのぼってみたけれど、思えば20代で一番最初に行った婦人科検診ですでに「みずっぽいですねえ」とは言われていた気がする(それがすでに関係あったのかはわからない。)そのあとも、急にドッと出てしまうことが怖く、常にナプキンを持参するようになり、それがうっとおしいのでなんとか吸水ライナーでまかなえないかなど試行錯誤していた時期もある。
そういう経緯もあり、たまにいく婦人科検診で毎回「オリモノが多いんです」とは言ってみていた。でもわたしが行っていたクリニックの先生は言葉が少ないというか、余計なことを言いたがらないというか、「そうですねえ。少し様子見たらいいんじゃないですか」で終わってしまうこともあった。とりあえずいつも「様子見ましょう」。
経過を観察しましょうというのはいいのだが、なんせ他の説明が一切ない、質問してもYes/Noのお答えしかないので、わたしにはちっとも理解ができないし、こちらも勉強不足・経験不足で、突っ込んで聞くほどの知識もない。結果的に「婦人科苦手」という意識だけが出来上がっていたと思う。
そのうちそちらの先生には行きたくないと思うようになり、会社の健康診断で行く検査クリニックでオプションの婦人科検診をつけるようになった。そこである時、はじめてある先生に「ちょっと気になることがあるから、再検査してみましょうか」と言われたのが手術へ向けてのはじまりだった。
そのときは「なにもないとおもうんですけどね」との前置きで、でも少し嚢胞が大きくなっているのが気になるから再検査行ってくださいとのことでした。前から嚢胞があることはわかっていたし、嚢胞なんて友達に言ってもみんな「わたしもあるよー!」、Oh yes we are 嚢胞 sisters、大丈夫だよー、みたいな反応が多くて、どこかで「たいしたことないだろうな」ってたかをくくってたところもある。そのときもまた検査行くの面倒くさいなーなんて思っていた。
そんな心が見えてしまったのか(笑)部屋を出ようとした私に、小柄な女医さんが再度寄ってきて腕をとりながら「絶対に行ってくださいね。お願いですから。」とおっしゃった、それが後からふりかえってもすごく印象的だった。なんであんなに念を押したんだろうってどこかでずっと気になっていたし、今となっては感謝したい。
でもせっかくそう言われたのに、再検査ってどこですればいいのかちっともわからない。
婦人科苦手意識が強くなったいつものクリニックには行きたくない。だけど他のクリニックなんて知らないし。
そんなことを思ってやり過ごしているうちに一年近くの時間が経ってしまう。(つづく)