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【超初心者向け】バックオフィスのための内部統制入門

バックオフィス地位向上委員会(仮)のukakです。会員はまだいません。
私は、経理メインで労務や総務や経営企画っぽいことをやっていたら、いつの間にか取締役(監査等委員)になっていたバックオフィスゼネラリストです。
今年もSOU-MU部 Advent Calendar 2024に参加してます。

会社の土台を支えるバックオフィスにとって、内部統制はとても大事です。
でも、

「内部統制」って言葉を初めて聞いた

「内部統制」って最近よく聞くけどなんなのかわからない…

そんなバックオフィスの方々がステップアップするため、このブログをお届けします。

はじめに

近年、企業の不正会計や情報漏洩など、組織における管理体制の不備が原因となる問題が相次いで報道されています。このような事態を防ぐために、「内部統制」の重要性が以前にも増して高まっています。

内部統制とは、簡単に言えば「組織の中で、ミスや不正を防ぎ、効率的に業務を行うための仕組み」のことです。難しく聞こえるかもしれませんが、実は私たちの日常業務の中にも多くの内部統制の仕組みが組み込まれています。

この記事では、バックオフィス業務における内部統制について、なるべく具体例を交えながらわかりやすく解説していきますので、内部統制の基本的な考え方について理解の助けになればと思います。

内部統制ってなに?

内部統制を理解するために、まず身近な例をあげてみます。
例えば、自宅を出るときに「戸締り」をするのも一種の内部統制です。玄関の施錠を確認し、窓が閉まっているか確認する。これは「防犯」という目的のための管理の仕組みと言えます。

会社でも同じような考え方が適用されています。例えば、

  • 経費精算には領収書の添付が必要

  • 重要な書類は複数人でチェック

  • 会社の物品は定期的に棚卸しを実施

  • パソコンにはパスワードを設定

これらは全て、ミスや不正を防ぎ、業務を適切に進めるための仕組みです。

では、なぜこのような仕組みが必要なのでしょうか。
それは、人は誰でもミスを起こす可能性があり、また残念ながら不正を働く可能性もあるからです。内部統制は、そのようなリスクから会社を守る「安全装置」として機能しています。

バックオフィスでよくある内部統制

経理部門の例

請求書の確認方法
請求書が届いたら、まず注文や納品内容と照合します。金額、数量、取引条件が合っているか、担当者と経理担当者の双方でチェックします。
さらに、一定金額以上の支払いには上長の承認が必要といったルールを設けている会社も多くあります。

現金の管理方法
現金は特に厳重な管理が必要です。現金の入出金は必ず複数人で確認し、金庫の開閉も記録を残します。また、定期的に現金残高の実査を行い、帳簿との照合を行います。

小口現金の使い方
小口現金は日々の少額の支払いに使用されますが、使用の都度、領収書を保管し、使用記録をつけます。また、定期的に残高確認と補充を行い、適正な金額を維持します。
また、小口現金は横領リスクがとても高いため、廃止する会社も多く見られます。

経験談その1
経理担当者が小口現金の金庫からお金を抜き出して私用に使い、後日使用分を返金する、という行為を繰り返していたことが抜き打ち検査で発覚。

総務部門の例

備品の管理方法
会社の備品は定期的に棚卸しを行い、所在と状態を確認します。また、高額な備品には管理番号を付与し、使用者や保管場所を記録します。

社印の使用ルール
社印は不正使用を防ぐため、専用の保管場所で施錠して管理します。使用時は使用記録簿に記入し、使用目的と押印書類を明確にします。
最近は電子押印の導入も増えており、押印担当者の適切なアカウント管理が重要です。

来客対応の手順
来客時は身分確認を行い、来客記録をつけます。また、情報管理のため、社内の立ち入り制限区域を明確にし、必要に応じて従業員が付き添います。

契約書管理
契約書は重要書類として、専用のキャビネットで保管し、閲覧・複写の記録を残します。また、定期的に契約内容の見直しと更新確認を行います。
契約締結の際には事前の反社チェックも重要です。

人事部門の例

個人情報管理
従業員の個人情報は、アクセス権限を限定し、施錠された場所やパスワード保護されたシステムで管理します。また、定期的に入退社等の情報の更新と不要データの廃棄を行います。

経験談その2
入社書類のチェックから、遠方の事業者の責任者が勤怠記録を偽造し、存在しない社員に対する給料を着服していたことが発覚。

給与計算プロセス
給与計算は複数人でチェックを行い、入力ミスを防ぎます。また、振込データの作成から送信まで、各段階で承認プロセスを設けています。

内部統制の基本的なルール

ダブルチェックの重要性
重要な業務は必ず複数の目でチェックします。これは単なるミスの防止だけでなく、不正の抑止力としても機能します。例えば、請求書の確認や給与計算、重要書類の作成など、複数人でチェックすることで、意図的・非意図的なミスを防ぐことができます。

経験談その3
絶対に間違えてはいけない原稿の校正作業で、一人は読み上げ、それを聞きながらもう一人は原稿を目で追う、というチェック体制をとっていました。

記録を残すことの大切さ
業務の透明性を確保するため、重要な作業や判断については必ず記録を残します。「いつ」「誰が」「何を」「どのように」処理したのかが後から確認できるようにすることで、問題が発生した際の原因究明や改善に役立ちます。

定期的な確認の必要性
日常的なチェックに加えて、定期的な棚卸しや残高確認、規程の見直しなどを行います。これにより、日々の業務の中で見落としていた問題点を発見することができます。

経験談その4
タクシーチケットの経理側の払い出し簿と、事業部側の受け入れ簿を照合したところ、数字が合わず、事業部側のタクシーチケット受領者が着服していたことが発覚。

例外が発生したときの対応方法
業務にはときとして例外的な状況が発生します。そのような場合でも、むやみにルールを破るのではなく、上長に相談し、適切な承認を得た上で対応します。また、例外的な対応を行った場合は、その理由と対応内容を必ず記録に残しておきます。

内部統制でやってはいけないこと

絶対に避けるべき行為をいくつか挙げてみました。これらは、たとえ善意からの行動であっても、重大な問題につながる可能性がありますので、気を付けてください。

  • 上司の承認印を代理で押すこと:たとえ上司から口頭で了承を得ていても、印鑑の代理使用は厳禁です。

  • パスワードを共有すること:「便利だから」という理由でのパスワード共有は、情報セキュリティ上の重大なリスクとなります。

  • 確認せずにハンコを押すこと:内容を十分確認せずに押印することは、思わぬトラブルの原因となります。

  • 規則を守らない理由をつくること:「今回だけ」「急いでいるから」という例外を作ることは、内部統制の形骸化につながります。

まとめ:明日から始められる内部統制

内部統制の取り組みは、大きなところから始める必要はありません。まずは自分の日常業務の中で、確認作業を丁寧に行う、記録をしっかりつける、分からないことは上司や同僚に確認するなど、気負わずにできるところから始めましょう。

困ったときは、上司等に相談することが重要です。一人で抱え込まず、組織全体で小さな取り組みを積み重ねる姿勢が会社にとっては大切です。


ちなみに個人的に内部統制初心者向けのブログサイトを作ってますので、内部統制に興味が湧いたら覗いてみてください。


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