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「安西先生…!!バスケがしたいです…」

私はあの有名なフレーズに悩んでいた

「安西先生…!!バスケがしたいです…」

(SLUMDUNK 完全版 第7巻(※1))

私の本名は、「安西」(やすにし)という。

アカウント名「うじょ」は、私の名前の「安」の字から昔の同級生がつけてくれたあだ名である。

SLUMDUNKに登場する安西先生が、「安西」の一般的な読み方を「あんざい」にして20数年がたった。

いつも知り合った方に、「あんざいさん」と呼ばれ、その場を空気を察しながら、「やすにしです」と訂正をする(100回に1回くらい)。

相手も私も気まずい。

過年の日本では、戸籍や住民票などで、漢字の読み方を登録しないため、私のある祖先が誤って(あるいは故意に)読み方を変えて、「やすにし」にしたと思う。
私は、「ある祖先は、祖先の祖先に背を向ける勇気があったんだ」と尊敬して、私も「あんざい」にすることで、ある祖先の勇気に背きたいと20数年思ってきた。

令和5年度の日本では、戸籍に読み方を登録するという動きがある(※2)。

このままでは、「やすにし」が公式になってしまう。

いつの世の中も勇気がある人が社会や自分の人生を変えてきた。

今、私に勇気があるのか試されている。

あのフレーズへの適切な返し

さて、SLUMDUNKの三井くんが放った「安西先生、バスケがしたいです。」というこのフレーズに対する安西先生の答えを覚えてるだろうか?

SLUMDUNKを読んだことがなかった私は、体育の授業でバスケをする度に、この言葉を投げかけられて、

「お、おう。頑張れ」や「いや、ちょうどおれもしたかったところ」、「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ…」といつも適当に返していた。

その頃から少し年老いて迎合しがちになった私は、SLUMDUNKの映画が流行っているので、エアプするために「人を動かす!安西先生の言葉「スラムダンク」から学ぶ最強のコーチング術」(※3)を読んでコスパの良いネタを探していた。

すると昔よく問われていたあのシーンの解説にあたり、衝撃を受けた。

漫画では、バスケで一度挫折し、荒ぶった時期を過ごしていた三井くんが、大きなトラブルの後に安西先生を見て、泣き崩れながら放った言葉が、

「安西先生…!!バスケがしたいです…」だった。

それに対する、安西先生の回答は

「…」。何も言わない。ただ、見つめている。

!!!ふぉっ、ッッッッッ!

衝撃だった。

何が衝撃かというと、幼い私に投げかけられたあのフレーズへの適切な回答が、「優しく見守る」だったとは

何と返すだろうかと見開いたあの時の、周囲の目はなんだったのだろうか。

今、私は2つの決意している。

SLUMDUNKをいつかは読む、

当面はやすにしで生きていく。

時間の許す方は安西のひとりごとを優しく見守っていただけるとありがたい。


(参照)

(※1)「SLUMDUNK 完全版 第7巻」,井上 雄彦,2001,集英社
(※2) 氏名の読みがな 法制化への課題,清永 聡,2023.2.3,NHK
             https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/479232.html
(※3)「人を動かす!安西先生の言葉「スラムダンク」から学ぶ最強のコーチング術」,遠越段,2022,中央精版印刷(株)

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