あんときのデジカメ 1年続けた定点観測 with SONY Cyber-shot DSC-W35
(はじめに)この連載を始めてから1年が経ちました。通い続けたポタリングコースを定点観測しながら、文化の意味やカメラを使うということを考えてみました。
自分が楽しんで感性を失わないこと
はやいものでnoteを始めてから1年が経過しました。暮らしのなかで考えたことの記録としての「暮らしと学問」、そして、趣味の写真の記録としての「あんときのデジカメ」の2本立てでお届けてしているのですが、皆様お楽しみいただけてますでしょうか?
さて、三日坊主の自分自身がこれほど継続できていることの秘訣は何なのかと問えば、やはり、それは
「好きだから」
という一言に尽きるのではないかと考えています。
で、何が好きなのかといえば、考えることも写真を撮影することも「文化」ということであり、自分自身としては、やはり文化を大切にしているのではないかと考えています。
文化と聞けば大げさそうに聞こえるかも知れません。例えば、ダンテやシェークスピア、あるいはモーツァルトやブラームスなどを想起すれば、その大げささは理解できるかも知れません。しかし、文化において大切なことは、「自分が楽しんで感性を失わないこと」だと理解すれば、暮らしの中で考えることや写真を撮影することも立派な文化と言えるのではないでしょうか。
われわれの主な仕事は、自分が楽しんで感性を失わないことであり、親しい仲間が好きだからというより、ほかに似たもののない無限の価値をもっているものがあって、それに奉仕するためにわれわれを世の中へいわば押し出すように思えるというので、文化をひろめることなのである。
(出典)フォースター「文化の価値」、小野寺健編訳『フォースター評論集』岩波文庫、1996年、108頁。
小型の芸術家として定点観測
先の言葉は、イギリスを代表する小説家E.M.フォースター(Edward Morgan Forster OM,1879年-1970年)の評論集からの一節です。フォースターの出自は、いわゆるイギリス趣味の権化のようなアッパーミドルクラスの出身で、フォースター自身、ケンブリッジ大学で学んでいます。しかし、俗物趣味的なイギリス人感覚を徹底的に嫌悪をし、異なる価値観の調和を仰ぎ見た人物として知られています。
文化を排他的に独占しようとする心根の卑しさを見抜いた人物だけに、「文化の価値」の真髄を見抜いたその言葉には説得力があります。
芸術品にはこういう、人を突き動かす独特の力がある。それが創られたときの興奮が作品のまわりに漂っていて、その力を感じた人びとを小型の芸術家に仕立てるのである。
(出典)フォースター、前掲書、108頁。
さて、そういうことを考えながら、ひとびとがほとんどいない「定点観測コース」をポタリングしながらその様子をスケッチしました。
コースはいつもの定番の香川県三豊市から仲多度郡多度津町へと到る「浜街道」です。毎月通っているのですが、3月は仕事で忙しく定点観測出来ず、ゴールデンウィーク開始直前ぐらいに今回はゆるゆると散策してみました。
コロナウイルス感染症拡大防止の #styahome のような案件があり、ひとの姿は疎らでしたが、田植えの準備は始まってい、社会的な動向とは無関係に、人間の営みは継続しているのだなあとちょっと驚いちゃいました。
カメラは寝かしておくものではなく「使ってなんぼ」
今回の撮影行で使用したのは、2007年にSONYが製造販売したCyber-shot DSC-W35 になります。実はこのカメラは、東日本大震災の直後の1年間非常に使い倒したカメラで、僕にとっては馴染み深い機材ということになります。
手放したのち、3年前に再び買い求めたカメラですが、このカメラを使うたびにエントリークラスの限界ということをいやというほど考えさせられたものです。つまり、全体としてそれなりによく映るのだけど、望遠がもう少し欲しいとか、開放f値がもっと明るければなどと限界を考えさせられ、その御蔭で撮影の工夫を試行錯誤したものです。
では、簡単にスペックを紹介します。イメージセンサーは1/2.5型CCD740万画素で、レンズは、35mmフィルム換算で38-114mmの3倍ズームになります。なぜか筐体表面にはられている「ZEISS]の青い表記がいいですね。バリオ・テッサーレンズの開放値はF2.8と明るく(光学3倍ズームでF5.2)、マクロも最短2cmなので、エントリークラスのカメラとしては十分過ぎる仕様ではないかと思います。
実際の使用感に関しては、起動が早いこととバッテリーのもちの良さ、そしてレンズの明るさがこのカメラのアドバンテージになるのではないかと考えています。とはいえ、高級機に比べるとやはり、限界は感じるものですから、そしてそのことはこのカメラにだけ限定される問題ではないのですが、限界を超克するための創意工夫が撮り手には必要になってくることを痛感しています。まあ、そのことで撮影スキルが上がると考えればエントリークラスのカメラって重要かも知れません。
そして3年ぶりにバッテリーを充電し撮影したところ、ちょっとトラブルが多くなっていることに驚きです。おそらくセンサー異常だと思いますが、周辺が流れるように記録されたり、ノイズの映り込みや、望遠時の焦点不良などが頻発。
やはりカメラは寝かしておくものではなく「使ってなんぼ」なのかも知れません。
ということで以下、作例です。拙い写真ですが、ご笑覧くださればと思います。
さて、今回の撮影行では「お立ち寄り」ができず、近所のファミリーマートでチョコバニラバー「パリッとたべるチョコバニラバー」を頂きました。今季初のアイスクリームになります。
ということで撮影データ。プログラム撮影、ISO100、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は7Mで保存。撮影は2020年4月30日。撮影場所は香川県三豊市、仲多度郡多度津町。
氏家法雄/独立研究者(組織神学/宗教学)。最近、地域再生の仕事にデビューしました。