あんときのデジカメ 2月末日は海岸通りでヤシカレンズ YACHICA LENS ML 50mm f1.9+富士フイルム X-Pro1
(はじめに)ヤシカコンタックスマウントのボディとレンズを手に入れましたので、ヤシカの標準50mmレンズを富士フイルム X-Pro1に装着して、近所の老舗レストラン「海岸通り」を訪問しました。ナポリタンを味わいながら、成長の限界に直面する時代の働き方について考えてしまいました。ヤシカレンズはどこか懐かしい優しい写り具合です。
稼いだお金を何のために使うのか。
コロナだからという訳ではありませんが、最近、働くということについてよく考える、あるいは反省することがあります。
フルスロットルで走り続けるように働くことが無意味というわけはありませんが、がむしゃらに働き続けることって、人間らしい生活なのか? と自問することがよくあります。
もちろん、生活を継続していくという意味では、働いて稼ぎを上げることは必要不可欠です。
ですけれども、その内実をよくよく覗いてみると、本当に欲しいもののために稼いでいるというよりも、例えば、他人が持っているから自分も欲しい式の、つまり、本当に自分が望んでいる意志よりも、自分の外にある仕組みや競争に「追い立てられ」た欲望を満たすために働いているんじゃないのか知らん、と考えることがよくあります。
広告会社に煽られ、会社の競争に煽られ、消費を煽られ、煽られた挙げ句、「負けちゃだめだ」といいながら、ひたすら競争に明け暮れてしまう……。
僕たちを取り巻く働く環境ってこうした構造のなかで競争させられているのが実際じゃないのかなあという話です。
何のためにお金を稼ぐのか。
稼いだお金を何のために使うのか。
等身大の人間として生きていく意味を「働く」という切り口から、立ち止まって考え直すことが必要不可欠なんじゃないのかなあと。
一年前に、会社を一つ畳んだ。
そのために、会社が借り受けていた銀行やら政策金融公庫からの借金を一括返済せねばならず、家を売り、定期預金を解約し、借り入れ全額を返済し、全財産を失った。
同じころ、肺がんの宣告を受け、入院、手術で、右肺の三分の一を失った。
もう失うものがあまり残っていない。
失うものがないというのは、弱みでもあり強みでもある。
(出典)平川克美『21世紀の楕円幻想論 その日暮らしの哲学』ミシマ社、2018年、5頁。
「海岸通り」でゆったりとしたランチタイム
さて、先日、瀬戸内の多島美を眼前に楽しむことのできる、香川県仲多度郡多度津町の老舗レストラン「海岸通り」でちょっとおそい昼食を頂いて来ました。
さぬき浜街道沿いの名店で、ボリュームのあるメニューはどれも美味しく、時々、利用させて頂いているのですが、3月14日(日曜日、2021年)で閉店というインスタグラムの投稿を拝見し、驚いて駆けつけた次第です。
ちょうど混雑する時期が過ぎたところで、ライス系のメニューが終了しておりましたので、ナポリタンにコーヒーを合わせてみました。
こちらでナポリタンを頂くのは、実は初めてになりますが、程よい酸味とシンプルな付け合せで、
どこか懐かしい、喫茶店のナポリタン
という体で、美味しく頂戴しました。
お店の奥様と少しだけお話ししましたが、閉店については、
1つは、コロナウイルス感染症拡大の飲食店への影響という暗闇の明け方が見えないことです。例えば、8月までしのげば何とかなるという未来への見通しが立たないことが原因です。
もう1つは、年齢のことです。矍鑠とお店を切り盛りされていましたが、体が元気なうちにお店をたたんだ方が自分自身のためにも、そして、お客様にとってもよいのではないかという選択です。
ユーザーとしては非常に残念ですが、「元気なうちに」という言葉がとても印象強く残っています。
他人同士が、知恵を分け合って、不足を補い合って物事をすすめていくってのは、マイナス面を見れば、もたれ合い、なれ合い、のような感じに思われるかもしれません。
しかし、プラス面を見れば、共同体が生き延びていくための、知恵の集積がそこにはあるはずです。それを生かしていくのが、成長が難しくなった時代の経営者じゃないかと思います。
(出典)平川克美、前掲書、114頁。
The 1970年代 のフィルムカメラ用交換レンズ
今回使用した機材は、ヤシカコンタックスマウントのYASHICA ML 50mm F1.9cです。
YASHICA FX-3 super とセットで送料込みの3000円でしたので手に入れましたが、ツァイスのレンズではないヤシカコンタックスマウントのレンズははじめです。遮光の整備をしてからフィルムをいれてみようかと思っていましたが、先ずはデジタルで試写ということで、富士フイルムのX-Pro1に装着してみました。
ヤシカといえば、そして使ったことはないのですが、フィルムカメラで言えば、ヤシカエレクトロが想起されるように、AE機のコンパクトフィルムカメラのイメージが強くあるのですが、コンタックス再生の狼煙をあげる契機となったブランドであることも忘れてはいけませんね。
さてスペックですが、典型的な50mmの標準レンズになります。開放f値は、F1.9とやや控えめですが、控えめに設計されたおかげでしょうか……。安かろう悪かろうとは程遠いしっかりとした描写という印象です。
ちょっとだけ、草花を試写してから、「海岸通り」に持参してみました。
色ノリにケバケバしさがなく、ナチュラル、あるいは控えめな色ノリという印象ですが、開放f値での撮影では、ボケに煩わしさがなく、僕的には割と好感触なレンズという感です。
バブルボケとか、ぐるぐるボケっていうのも印象的でいいのはいいのですが、例えば、1970年代高度経済成長が一段落したファミリーなんかが、おそらくこうしたカメラを首からぶら下げて、家族の写真を撮影していたのじゃないのかなあと想像力をたくましくするなら、ちょっと「懐かしい」雰囲気の、そして飾りげのないシンプルなレストランには、こうした70年代のカメラがベストフィットするのじゃないでしょうか。
画像は、ほぼほぼ開放f値で撮影してみましたが、いかがでしょうか?
以下、作例です。APS-CのX-pro1に装着していますので、35mmフィルムカメラ換算で75mmとなります。しかし、考えてみれば、75mmのf1.9ってスペックは、恐ろしいほど高級なポートレートレンズってことにもなりますね。
ということで撮影データ。露出優先オートで撮影、ISO200、ホワイトバランスオート、露出補正なし。撮影は2021年2月28日。撮影場所は香川県仲多度郡多度津町見立。