【日記】羽根付き餃子を食べた。

最近なんだかモヤモヤとしてあまり気分があがらないので、今日は外食をすることにした。

入店したのは、以前から目に止まっていた中華料理のお店。
入り口の立て看板に、『オススメ!羽根付き餃子!』と書かれていたので、羽根付き餃子を注文することにした。

メニューをとりに来た若いお姉さんにオーダーを伝えると、お姉さんは突然その場に泣き崩れた。

「私にはもう、羽根がない...」

お姉さんは泣きじゃくりながら厨房に消えていった。

待っている間、ずっと中国語の歌が流れていたけれど、合間にアリスの『チャンピオン』が流れていて、選曲がよく分からなかった。

「お待たせヨー」と、おばちゃんが羽根付き餃子を運んできた。
テーブルの上に置かれた羽根付き餃子はパリッパリで、とても美味しそうだった。

沸き立つ食欲をジワジワと感じながら、タレ皿に酢醤油を作り、パリパリの羽根部分を剥いでいると、ふと、背部に鈍い痛みを感じた。

「おにさん、もう、飛べないヨ」

おばちゃんがニヤリと笑いながら、水を注ぎに来た。

おばちゃんのこの言葉に愕然としたが、同時に、確かにその時、パリッと思考のモヤがひび割れる音を感じた。

ああ、これまで私は己の欲を満たすために、自らの羽根を捥いでいたのだ。

「私にはもう羽根がない...」

頬を伝った雫がポチャッとタレ皿に落ち、ラー油の気泡と混じり合った。


灰羽連盟
シーズン1 ★★★★☆ (66) 2002 すべて
少女ラッカが夢から目をさますと、そこには頭に光輪をかざし、羽を生やした少女達が迎えてくれる。 壁に囲まれ、灰羽連盟に守られているグリの街の暮らしは仲間とふれいあいながら、過ぎていく。 不思議で幸せすぎる毎日だが、言伝えによれば灰羽はその時がくると壁の外に飛び立たねばならないという。 どうして灰羽になったのか。自分が何者だったのか。穏やかなグリの街の生活を続ける中で、やがて自分の、そして仲間の謎が明らかになっていく---。 ©安倍吉俊・光輪密造工房
出演 広橋涼, 野田順子, 宮島依里
オーディオ言語 日本語