2024.10.28
友達が妊娠したのをきっかけに入籍した。もう5年以上付き合っていて長く一緒に住んでいるカップルだったから、籍を入れるのはタイミングの問題と言っていた。誕生日にするかとか大安がどうとか、記念日になるものだから大事に決めたい気持ちと、結婚したからって特別何か変わるわけではないから急ぐ必要性もない、そんなところだったのだ。それが突然、妊娠したから籍を入れないと、に代わり、両家の挨拶をして住む場所を変えて…と着々と話は進んでいった。進まないといけないようだったし、進むべきだから進ませているようだった。選択肢があるようでないような、忙しいけどでも幸せだねって言って嬉しくなった。
婚姻届の証人欄にサインをするのはこれが2度目だ。
1度目は約2ヶ月前、大学の友人で原宿にある今流行りのグリークヨーグルト屋さんで書いた。テーブルを入念におてふきで拭いて、ペンは3種類くらい用意してくれていて好きなの使って、と貸してくれた。
2度目の昨日は、突然だった。なんの予告もなしに、そうそうサインしてほしい書類があってと言ってカバンからクリアファイルをゴソゴソ出してきたときは、えっ婚姻届の証人?と思ったが、うぬぼれで間違っていると恥ずかしいから、なになに?なんですか?としか言えなくて、でもやっぱり婚姻届だった。しかも国際結婚の婚姻届だ。普通の婚姻届と違ってただの白黒コピーのA4用紙で味気なくて驚いた。言われるがままに名前と住所を記入して、「いや、でも私に書かせてくれるなんてありがとう!(なんでわたし!)」って言いたいけど無駄なお喋りすると書き損じてしまいそうで、ちゃんと2枚×2回書いてから口を開いた。
会社の人に得意げに「このまえ婚姻届の証人になったんですよ~」と自慢したら「え!その年ですごいね!」と言われた。年齢かよと思って話の広げ方に不満を抱いた。もっとさ、そんなに仲良しなんだね、いつからの友達なの?とかそっち方面に興味を抱くべきだと思うんだけど、会社の人とは話が合わないことのほうが多い。
早速彼氏にも自慢をした。
「また婚姻届の証人のサインしてきた!しかも国際結婚の!」
29歳で2度も婚姻届の証人になるなんて、なんて名誉で光栄なことなのだろうとしみじみと感慨深くなった。そんなふうに私のことを信頼してくれるなんて、実は私自身気づいていなかった。嫌われているかと心配したり、頼ったら迷惑になるからと気をつけたりしていた。でもそれって、私が彼・彼女達の気持ちを読み取れていない、あるいは読み間違えているということだ。過剰に警戒しておかしな勘違いをしているなんて、勿体ないことを今までしていたんだと気づいた。一緒にいるときは実態があるから思い違いしていることないんだけど、ひとりになると想像の世界に行っちゃって悪いことばかり考えてしまっているように思う。想像の世界なんて所詮、私ひとりっきりの考察とアイディアで構成されていて、いわば独断と偏見の塊だ。非常によくない癖がついてしまっていると思う。
「人は結局裏切る」これが有力な説になってしまっている私は、なんて寂しい人間なんだろう。1年くらいじゃ全然拭いきれないみたいだ。
私が婚姻届の証人としてサインをした二組のカップルは、相手のことを互いに信頼していて、それも信頼していることが日常であってまるで「疑う」という概念を知らないみたいだ。きっと彼・彼女らが私を信頼してくれているんだから、私だってみんなみたいにできるはずだと思えてきて、それは誇り、勇気になった。もし、また悪い想像に苛まれたときは、「私は証人だ」という事実を思い出して、心を強く持ちたい。証人にしてくれてありがとう。きっとこんなふうに思われているなんてまさか微塵にも思っていないだろうけど、感謝の念が巡っているのを感じた。
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