最近観た映画2本
「シビルウォー」
とんでもなく面白くて、パンフレットを買ってしまった。アメリカでもし内戦が起こったらというSF設定だけど、ガザとかウクライナのニュースドキュメンタリーを観ているような感覚になった。
観る前は、USA!USA!的なインデペンデンスデイ風味を想像してたけど、全然違った。オープニングから、独特でお洒落な曲が流れていて、ちょっとアートよりの映画なのだろうか?と身構えてしまった。所々、諸情的なシーンはあれど、ほとんど戦争シーンで派手な画が多かった。
あと、IMAXで観たせいもあるだろうけど、銃の音がすんごい怖かった。最初、体がビクッとしてしまった。
女性のベテラン戦場カメラマンが主役で、スパイダーマンのヒロインをやってた人も随分、年齢を重ねたもんだ。冷徹に戦場を写すため、感情を押し殺して写真を撮り続けているけれど、夜寝る前にうなされている人。
もう一人の対照的な主演、若手カメラマンの娘。まだ子供っぽい顔をしてるけど、27くらいだそうだ。それから女性カメラマンの相棒のおそらくインタビュアーで記事を書く人と、女性カメラマンの師匠的な老人の4人で大統領のインタビューを取る為にニューヨークからワシントンまで行くだけのストーリー。
道中、あちらこちらで戦争があり、写真を撮ったりしながら進む。高校の時の同級生をリンチしてる人や、遊園地跡のスナイパーや、のどかな街だけど屋上に銃を持った人がいる街、様々な戦場を主役の人たちと追体験していく映画。
途中のどかな街の洋服屋の店員さんに主人公たちが「内戦中だよね?」的な事を聴くと「関わらないようにしてる」と言っていて、実際、ガザとウクライナとか聞いても、どこか他人事のような気持でいるから、日本で内戦が起こったとしても自分の住んでる地域じゃなかったら、自分もそうなるだろうな、と思ってしまった。
ただ、目的地近くで出て来る赤サングラス、ほんとに怖かった。アジア人てだけであっさり殺してくあいつ、ほんとやべぇ。
ラストシーンも本当に戦場にいるかのような臨場感で主人公たちにいつ銃弾があたりゃしないかとヒヤヒヤした。最後の方でベテランの方が、生き死にに戸惑って戦場で全く写真が撮れなくなり、新人の方がイキイキして写真を撮りまくる対比もなんだかリアルだったな。
たぶん、名作として語り継がれていくような映画になるのではないでしょうか。。観終わった後、しばらく呆然としてしまった。
「ジョーカー フォリアドゥ」
観終わってすぐは、なんだか腹が立ってしまった。そういえば前作も観終わった直後は腹が立っていた事を思い出した。
おもしろくないやつは、どうあがいてもおもしろくならない。と言われてる気がして嫌な気持ちだけが残ってしまった。
この映画までのジョーカーはダークナイトのヒースレジャーくらいしか知らないけど、ジョーカーでやらなくてもいいじゃない。と思ってしまった。ジョーカーでやるからいいのかな。結局、アーサーがジョーカーにはなれなかった話だもの。タイトルもジョーカーよりアーサーの方がしっくりくる。みんなはジョーカーを求めるけど、アーサーはバカで何もない人だからアーサーには価値がないみたいな、描かれ方。
前作で助けた小人の友人に裁判所でレディガガことハーレークインのおかげでジョーカーとして覚醒し、いきりちらすも言ってる事が全然面白くない。元々芸人に向いてない人なんだろうな。
法廷の爆破シーンからようやく悪に染まって、無秩序な暴力を振りかざすのかな、ってドキドキし始めたら、ポスターで楽しそうにジョーカーがハーレクインと踊っている階段で失恋して悲しみに暮れる。ポスターのあのシーン出てこないじゃない。
ラストシーンのジョーカーを引き継ぐ感じの人が出てきたのは、ちょっとびっくりした。
殺人を犯したただの小物。ジョーカーはいない。前作のせいで犯罪が起こったりしてるから、戒めもあったのだと思う。妄想で出て来るミュージカルもホアキンさんが悪いわけじゃないけど、アーサー歌が下手だし、何だか古臭いし、レディガガの歌がうまいだけでカタルシスもない。聴衆達が悪のヒーローを求めた人物は、ただの暗いおじさん。むしろ大衆の方がジョーカー像を作っているという事でしょうか。あんなものに憧れちゃダメ、というメッセージなのかしら。
いろんなレビューを読んでみて、続編のフォリアドゥを観てがっかりする人ほどジョーカーに踊らされていると書かれていて、なんだか申し訳なくなった。完全に踊らされた。ダークナイトばりに無茶苦茶いってしまえって思っていた自分がいた。
続編を観ている途中は、ジョーカーさん前作であんなに売れたのに、「まだその卑屈スタンスやってんすか?」と思ったけど、元々面白くない人は卑屈スタンス取っても、おもしろくない。暴力性が一番ウケてしまったから、承認欲求がそこにいってしまう悲劇。でも、あれも結構ひいてた人もいたもんな。
芸人じゃなくて行き過ぎた迷惑系ユーチューバーの悲劇だと思えば、そんなにムカつかなくなってきたな。考えてみれば、前作はネタ書いたりしてたのに、続編では、ジョークを求められても、答えなし、ネタ考えてる風には見えないし、妄想のミュージカルの設定もそんなにおもしろくないし、ジョーカーとして覚醒してからも、一番笑い取りに行けるムードはそろってるのに、法廷行く前に、ネタくったり練習してる様子もないもんな。そりゃ売れるはずもないか。
「ジョーカーフォリアドゥ」について最近ずっと考えさせられていて、完全に踊らされている気がする。腰を振って。
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